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2012年08月29日

ドイツ菓子は生地を味わう菓子 『ドイツ菓子大全』 編集担当者より♪

06149.jpg『ドイツ菓子大全』
著者:柴田書店編
発行年月:2012年9月1日
判型:B5 頁数:272頁


「ミュルベタイクから撮りますか? それともバニレクレメにします?」

慣れないドイツ語の単語に戸惑いながら、撮影がスタートしたドイツ菓子大全。
日本にもなじみ深いジャンルでありながら、あまりにも知られていないドイツ菓子の、
本格的な製菓教科書をつくりたい。
その想いで集まった制作チームです。


06149_1.jpg菓子づくりを担当してくださったのは、
この道何十年、先日には厚生労働省から
「現代の名工(卓越した技能者)」として表彰された
ユーハイムの安藤明さん。
ドイツの製菓マイスターの資格をお持ちです。


ユーモアも飛ばしながら、一見簡単そうにつくっていかれますが、
そこはやはり匠の技。
熟練のスピードで、おいしいドイツ菓子が仕上がっていきます。

安藤マイスターの得意技はバウムクーヘン。
ユーハイムといえばバウムクーヘンというほどの看板商品ですが、
それらはいまでも職人さんたちの手で味が守られているそうです。

06149_5.jpg◎バウムクーヘン
 マイスター安藤オリジナル

基本配合より水分を多く、
しっとりしたバームクーヘン。
素朴で奥の深い味わいは日本人好み。


ドイツのマイスターたちも注目する安藤マイスターのバウムクーヘンの製法が、
本書ではすべて公開されています。
非常に贅沢ですね。

さて、意外にもドイツ菓子の甘さは控えめ。
クリームも軽やかで、とても食べやすいのが特徴です。

「ブッタークレメ」とドイツ語でいうバタークリームもよく登場しますが、
これはバターをクリーム状にしただけのものではありません。

バニレクレメという薄いカスタードクリームをバターと混ぜ合わせた、
なめらかで口当たりのよいクリームなのです。
日本で昔使われていた質の悪いバタークリームのイメージとはまったく違う、
上品で洗練されたものです。

ヨーロッパ菓子の多くが宮廷文化と結びついて発展しました。
ドイツ菓子でもそのことがうかがえます。
同心円に美しく飾る大型のトルテや、バウムクーヘンが
群雄割拠したゲルマン諸国の宮廷を彩ったことでしょう。
こうした菓子はウイーン菓子やフランス菓子と同じ、
ヨーロッパ菓子のひとつの源流です。

一方で、素朴な生地の菓子もたくさん残されています。
スパイスと蜂蜜と粉を練ってつくるレープクーヘンという生地は、
中世、教会で使う蝋燭のために蜜ロウを製造していた業者が、
副産物である蜂蜜を使ってつくりだしたのが始まりと言われています。
森の国ドイツではいまでもレープクーヘンが名産品として製造されています。

ドイツ北方はオランダやベルギー、デンマークなど
北ヨーロッパとの交易の中心地です。
オランダからホットココアがもたらされました。

人気店 「ホレンディッシェ・カカオシュトゥーベ」
もともとカカオ試飲店として開業した経緯があり、
いまでも温かいココアが人気商品です。

本書では バウムクーヘンザントクーヘン のレシピを紹介しています。

06149_2.jpg


現地では若い職人の中にはフランス菓子の修業を積む人も多く、
保養地バーデン=バーデンの人気店 「カフェ・ケーニッヒ」 のオーナーも
フランス修業ののち、菓子店を経営しています。

しかし、いまでは大型でありながら
軽やかなドイツ生トルテの良さに立ち戻っているといいます。
この店の近くには有名な「黒い森」シュヴァルツヴァルドがあり、
本書でも名物 シュヴァルツヴェルダーキルシュトルテ を披露します。

06149_3.jpg


小さな田舎に原風景が残されているのもドイツの魅力です。
第二次大戦以降に変化した都市部と違って、
田舎町ならではの伝統があります。
ミヒェルシュタットはフランクフルトの郊外にありますが、
この町から菓子の世界チャンピオンが出て活躍しています。
さまざまな国で活躍する 「カフェ・ジーフェルト」 オーナーが、
本書では古典的な レープクーヘン の技法を教えてくれます。

06149_4.jpg


はじめてのドイツ菓子。
けれども、決して初対面とは思えない、懐かしくおいしいお菓子たち。
きっと本書を読む皆さまの、お菓子の世界を広げてくれる
素晴らしい出会いになるでしょう。

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投稿者 webmaster : 2012年08月29日 10:41