日本におけるチェーンストア経営指導の第一人者、渥美俊一氏による外食経営指南書の決定版。
すかいらーく、吉野家、サイゼリヤなど、現在の外食市場を代表する大手企業のほとんどは零細の頃から渥美氏の薫陶を受け、ビジネス化と店舗展開を軌道に乗せました。そこから得られた経験法則はそのまま、日本の外食チェーン化の理論的バックボーンとなっています。
ビッグビジネス化を実現し、社会貢献度を高める外食企業になるためには、何をすればよいのか。それを一貫した論理のもとに学べるのが、上下巻で構成された本書です。
「経営戦略篇」の上巻は、規模拡大のため本当に努力すべき課題と、とるべき軌道をわかりやすく解説します。
明晰な理論に貫かれ、かつ膨大なノウハウが詰め込まれていながら、きわめて読みやすく理解しやすい点が本書の最大の特徴です。
また、見開き2頁前後の1テーマごとにつけられた見出しも、その理論が集約されたもの。商品問題における「商品のモデルは『スーパーのコロッケ』」、仕入れ対策での「『決してまずくなく、安い』ものを探す」といった具合です。
流行りに乗っただけの小手先の商略に対しては「『朝どり野菜』の大いなる誤解」と切って捨てる明快さにも、渥美氏の本領は発揮されています。文中に出てくる経営用語の解説、それをさらに踏み込んで解説したコラムも併載。本書の理解を助けます。
章立ては全部で4章。
第1章「ビジョンと成長戦略」では、どのような長期目標のもとにビジネスをはじめるべきか、具体的な計画の立て方と課題を解説します。
第2章は「人材対策、組織問題」。外食を支える最大のファクターである人材について、教育や評価の仕方、組織づくりのノウハウが示されます。
第3章「商品、価格問題」では、多店化に必須の課題であるポピュラーアイテムづくりを主題として、仕入れ対策から健康対策までを網羅します。
そして、これからの競争時代に不可欠な「売り方」の突き詰めと、出店対策を解説したのが最終章「業態、出店問題」。現在、全国を席巻しているショッピングセンター立地の捉え方についても、明確な指針が示されます。
- [担当編集者より]
- 80歳を超えてなお、国内、海外を含めて休みなく現場指導を続ける渥美氏。自身が主宰する「ペガサスクラブ」でのセミナーも年間数十回におよび、そのすべてでエネルギッシュな講義をこなしています。
執筆活動にも旺盛に取り組み、小売業の分野では数多くの著作がありますが、外食経営に特化したものは本書の他にありません。外食における「渥美理論」を学べるのは本書だけ。
外食の世界で本当にビッグになりたい人、外食のビジネス化に人生を賭けようと思う人は、まず本書を開いてみてください。知らず知らずのうちに渥美理論に引き込まれ、読み終わったときには、新しいビジョンと志に燃える自分に気づくはずです。
◎渥美俊一(あつみ・しゅんいち)
大正15年生まれ。東京大学法学部卒業後、読売新聞社入社。「商店のページ」担当主任として商業経営の革新運動に入る。昭和37年、チェーンストア経営研究団体「ペガサスクラブ」を結成。昭和42年、読売新聞社を退社し日本リテイリングセンター(株)を設立、本格的なチェーンストア経営のコンサルティング活動に入る。この活動を通じて、年商1億から30億円の小売、外食の中小企業を約700社、ビッグストアと呼べる規模にまで育て上げた。「月刊食堂」では創刊以来の常連執筆者。