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2011年06月14日
第11回(6月5日 ― 6月11日)
料理教室の生徒さんたちと、山形・庄内へ「庄内の食を訪ねる旅」に行ってきました
6月5日(日) くもりのち晴れ
[昼]
機内でお弁当(赤坂「浅田」製)
■ 一の重
・サーモン西京焼き
・鶏松風焼き(レーズン入り)
・さつま芋甘露煮
・海老寒天玉子寄せ、ししとう素揚げ
・茄子揚げ煮、黒蒟蒻炒り煮
・隠元胡麻和え
・おから煮
■ 二の重
・じゃこ山椒御飯
・寿司(烏賊手毬寿司、椎茸手毬寿司、酢取茗荷)
+味噌汁
[夜]
「アルケッチャーノ」にて
・ワラサと塩
・燻製にしたイワナのテリーヌ
・岩ガキのモロヘイヤソース
・海老のリゾット
・新玉ねぎの低温炒めと
グラーナパダーノチーズ
・佐藤さんのキュウリと
マスタードのジェラート
・ジャガイモの68℃煮込み 羽衣仕立て
・ガンバレ東北 笹かまぼこのパン粉焼き
アオサとローリエのバターソース
・ホタルイカとフキノトウの手打ちストラッチ
・月山筍の生ハムフリット
・鯛と山菜のルッコラアクア
・のどぐろと長芋のグリル
・ホヤとマンゴー
・柿酢のシャーベット
・キャラメルのムース
+シャンパン、山形産白ワイン
「カノウユミコと行く 庄内の食を訪ねる1泊2日の旅
―庄内イタリアン・アルケッチャーノ オーガニック・天然食材を味わうー」
を企画し、料理教室の生徒たちを中心に25人と庄内へ。
お昼の羽田発の便を予約したついでに、
普通席でも食べられるというプレミアムシート用の食事も予約しておいた。
今回は赤坂の料亭「浅田」のお弁当で、
温かいお味噌汁がついていて量もちょうどよく、ヘルシーでおいしかった。
……のだが、飛行時間が短くて食べる時間が20分くらいしかなく、
食べ終わったらすぐに着陸という感じで慌ただしかった。
庄内空港で“庄内ベジ・イタリアン”を掲げるイタリア料理店
「アルケッチャーノ」の奥田政行シェフと合流。
奥田シェフにガイドしていただき、庄内のこだわりの生産者を訪ねた。
奥田シェフは、庄内の親善大使として精力的に地元の農産物の発展やPRに
努めているが、シェフにならなかったらバスガイドやツアーガイドをしたかったらしく、
悦に入ったガイドぶりだった!
まず「植酸農法」という、土を健康にして、野菜の食味をよくする
オーガニック栽培のきゅうり畑となす畑に行き、
その後、放し飼いの健康卵を育てている鶏舎を訪ねた。
こだわりの農産物を育てる生産者には
優しくおだやかな中に芯の通った強い信念があり、その理想を追求する生き方が、
素晴らしいものを作り上げているのだと実感。
野菜を食べればそれを育てている人もわかる、というものなのかもしれない。
もちろん、庄内という恵まれた風土があってこそ。
夜は、奥田シェフのイタリアンディナーを堪能した。
食材を自分の感覚で深く追求している奥田シェフだからこそできる、
シンプルだが、素材のさまざまなおいしさを引き出した素晴らしいコースだった。
奥田シェフが食事に合うようにセレクトしてくれたワインがおいしくて
ついつい飲み過ぎてしまった。
食事が終わってホテルの部屋に着いたら23時半をまわっていて、
消化を助ける「百草丸」を飲んですぐに就寝。
6月6日(月) 晴れ時々くもり
[朝]
ホテルで朝食バイキング
・ひじきの煮物、納豆、
山形の「だし」のっけご飯
・ふのりと三つ葉の味噌汁
・イチゴと大根のサラダ
+梅醤番茶(持参したもの)
[昼]
農家レストランでランチ
・山形産さわらとわかめの蒸しもの
・ごま豆腐のあんかけ
・野菜の炊き合わせ
・春菊の白和え
・わらびの煮もの
・夏大根と厚揚げの粕汁
・玄米ご飯、かぶの塩糀漬け
・おからのチーズケーキ
+コーヒー
朝早く起きて山形の郷土料理「だし」(きゅうり、なす、みょうが、しそ
などをきざんで醤油漬けにしたもの)などの朝食を食べ、7時半にホテルを出発。
サービス精神旺盛な奥田シェフに「10時までならご一緒できます」と
言っていただきアルケッチャーノでシェフと合流し、ツアーの続き。
今日は、奥田シェフのおすすめ「秘密の森」を訪ねた。
秘密の森は、シェフが自分に戻りたい時に歩く、妖精が住む聖なる場所だという。
そして、そこは山菜の宝庫だった。
わらび、ぜんまい、山三つ葉、コシアブラ、アマドコロ、山ウド、こごみ、
赤ミズ、青ミズ、カタバミ……歩いている小道も森も、すべてが山菜という感じ。
山アスパラ、そして山菜の王様、幻の山菜と呼ばれる最高においしい「シオデ」も
たくさん自生していて、私は山にあるのを初めて見たので大感激。
森の入口には山ブドウの畑があり、小さな納屋にはバルサミコ酢の樽が眠っていた。
今、熟成7年目だそうだ。
日本でバルサミコ酢を作っているところがあるなんて!!
ここで奥田シェフとは別れ、修験道の山である羽黒山に向かった。
あいにく五重の塔まで石段を往復するだけの時間しかなかったが、
滝もあり、水が豊富で大きな木が茂り、清らかで美しい山だった。
おかげで身も心も洗われた。
その後、農家レストランで地元の野菜や山菜を使った自然食をいただき、帰路へ。
短い間だったが、奥田シェフと庄内という土地のおかげでとても充実した旅だった。
6月7日(火) 晴れ
・発芽ビーンと舞茸の和風チャーハン
紫キャベツスプラウト、青じそのせ
・空豆の豆乳すり流しスープ
お昼は妹といつもの「ノルド」で待ち合わせ、ビジネスランチ。
山形ツアーの疲れか夜になってもあまり食欲がなく、
晩ごはんはチャーハンを少し食べただけで済ませた。
空豆の豆乳スープは、少量の水だけで蒸し煮した空豆と豆乳、昆布だし、
塩をミキサーにかけただけのシンプルなもの。
6月8日(水) 晴れ
[昼]
カリフォルニア料理にて
・空豆のスープ
・タスマニアサーモンのカルパッチョ
・フランス黒鶏のグリル
・自家製パン
+白ワイン、コーヒー
[夜]
ワンプレートごはん
・豆カレー
・野菜の塩グリル
・海藻ごはん
・塩らっきょう
+玄米コーヒー
お昼は、近所のカリフォルニア料理のお店で妹とゆっくりランチ。
私はワインの酸化防止剤に
選んでいるが、あいにくなかったので普通の白ワインを飲んだら、
案の定ひどい頭痛と眠気に襲われ、1時間ほどお店で寝込んでしまった。
やれやれ……。この世のすべてのワインをオーガニックにしてほしいものだ。
いや、ワインだけでなく農産物全部がそうなるとよいが……。
午後は、鳥取の両親から野菜が届いたので、なんとか復活して下処理をする。
春野菜や山菜はほとんど終わり、夏の野菜はもう少し先というところで、
空豆、グリーンピース、ツル菜、スイスチャード、新じゃがという、
さみしい顔ぶれだった。野菜は時々、生で味を確かめながら下処理をし、
調理法やメニューを考えている。
夜は、カリフラワーと空豆ときのこを
フライパンで塩だけでじっくり時間をかけてグリルしたものを、
私の開発した豆カレー(日本の豆カレー)にのせ、一皿ディナーにした。
ゆっくり時間をかけて味をひき出した野菜は冷たくなってもおいしいので、
たっぷり作って冷蔵庫へ入れ、常備菜に。
6月9日(木) 晴れ
[夜]
友人の家にて持ち寄り飲み
・酢豆腐
・千寿豆(麹菌発酵大豆)
・野菜の塩グリル
・チーズディップ、ベーグル、野菜スティック
・アジの塩焼き
・根菜煮
+ビール、オーガニック赤ワイン
今日は1日、お店の仕込みをした。
鳥取から送られてきたじゃがいもがおいしそうなので、
明日のメインの焼きものは「魚もどき」に決め、じゃがいもをすりつぶして、
炒めたせん切りのしょうがとえのきを混ぜ合わせ、湯葉にくるむ。
どこから見ても魚にしか見えない(もちろん、食べても魚の味)「精進さわら」が完成。
普段は基本的に野菜の味を生かす料理をしているが、
野菜の味をあえて殺した「もどき料理」も楽しい。
時々コースに加えると、お客さまの受けもすこぶるよい。
夜は近所のママ友の家で、おかずを持ち寄り、2人飲み会をした。
私は鮒寿司の要領で豆腐を漬けた「酢豆腐」と大豆を麹菌で発酵させた「千寿豆」、
常備菜としてストックしていた野菜のグリルを持参。
私は発酵食品が大好きなので、めずらしいものがあるとすぐに取り寄せて
冷蔵庫に常備。おやつやおつまみにしたり、友人にプレゼントしたりしている。
酢豆腐はチーズのようで、千寿豆は干し納豆に少し似ていて、止まらないおいしさ。
チーズディップと野菜スティックは友人作。
近所のママ友は、年齢も同じくらいで、
ふたりとも父親のいない母子家庭で子育てをしているので、
時々飲みながら、仕事や恋愛などいろいろな話をして励まし合っている。
女ひとりで子育てをするのは、心身ともに本当に、本当に大変なことなのだ。
支え合える友人がいることに感謝!
6月10日(金) くもり
[夜]
・根菜の青じそ風味黒ごまあえ
+生ワイン
久しぶりに「菜懐石 仙」の営業。
『やさいのかみさま』(小学館)を読んで感動し、お店の予約をしてくださる
お客さまが最近多い。今日も2冊サインを求められた。
また、例の魚もどきを入れたコースが好評で、
「お店に来る前はちょっと落ち込んでいたのに、ひと皿ごとにテンションが上がり、
すっかり元気になりました」という言葉をいただき、とてもうれしかった。
お店が終わった後に遅いお昼ごはんを食べたので、
夜は根菜をつまみながら軽く飲んだだけ。
6月11日(土) 雨のち晴れ
[昼]
「ノルド」にて
・蒸し鶏のせ生野菜のサラダ、
きのこのトマト煮添え
・ミニトマトとナスのカプレーゼ風スパゲティ
+生ビール、ソイラテ
今日もお店の営業。
だいぶ前にひいきにしていただいていたお客さまが
7年(?)ぶりくらいにいらっしゃった。
なんだか元カレに久しぶりに会う時のようで(笑)、
「こんなに成長しましたよ」と内心伝えたくて、料理にいっそう力が入った。
満足そうに帰る後ろ姿を見送りながら、ホッとひと安心。
今日もお昼ごはんが遅かったので、晩ごはんは食べなかった。
[著者略歴]
カノウユミコ
鳥取県の専業農家に生まれる。生来の料理好き。高校生の頃から自然食に興味を持ち、ベジタリアン料理、精進料理を研究する。精進料理「菜懐石 仙」のオーナーシェフ。家庭でかんたんに楽しめるベジタリアン料理教室も主宰する。著書に 『菜菜ごはん』 『ますます菜菜ごはん』 『菜菜スイーツ』 『菜菜ランチ』 『菜菜おつまみ』 (すべて柴田書店)、『やさいのかみさま』(小学館)、『ベストヒット野菜料理』(講談社)ほか多数。最新刊は『菜菜おつまみ』。
投稿者 webmaster : 2011年06月14日 09:42