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2011年08月19日
番外編 『ベトナム旅行記』
カノウユミコです。
7月31日から8月7日までベトナムに行ってきました。
今回の旅は、愛用する「カンホアの塩」の視察を兼ねた家族旅行。
私と高校生の息子、一緒に働いている妹一家が一緒です。
塩田を訪ねたり、精進料理教室に参加したり……。
「菜菜ごはん日記・番外編」として、ベトナム紀行をお届けします。
7月31日(日) くもり
成田を出発、ホーチミンへ
[昼]
ベトナム航空のベジタリアン機内食
・野菜のパスタ
・野菜サラダ
・フルーツ
・パン
・かぼちゃプリン
+コーヒー
[夜]
ベトナム在住のきくみさん宅にて
・ゆで海老+塩、こしょう、ライム
・ラグー、バゲット
・沢蟹のスープ
・さんまのニョクマム煮
・ライス
・マンゴスチン、ライチ
+ベトナムビール
朝早いフライトだったので成田に前泊し、朝食は空港でうどん。
10時発のベトナム航空でホーチミンへ向かう。
ベジタリアン指定をした機内食は、野菜とフルーツ中心の洋食だった(味は……)。
約6時間のフライトで夕方到着。日本との時差は2時間だ。
市内のホテルにチェックイン後、近所の市場を見学。
夕方、河村きくみさんのマンションを訪問した。
きくみさんはベトナム在住17年、私が愛用する「カンホアの塩」の
現地スタッフ&通訳として働いている。
ベトナム人のハイさんと結婚して、2人の男の子がいる。
今回の旅はきくみさん家族4人も同行、総勢10人のツアーだ。
夜は、料理好きのハイさんが、ご自慢のベトナム料理でもてなしてくれた。
ゆで海老は、トムスーという新鮮な天然海老をゆでたもので、
天日塩にベトナム産のこしょう、ライムの搾り汁を合わせたソースでいただく。
ベトナム産のこしょうは香りがよく、海老のおいしさを引き立ててくれる。
塩+こしょう+ライムの組み合わせは、どんなものもおいしく食べられそう。
ラグーはフランス語で「煮込み」という意味で、
にんじん、じゃがいも、玉ねぎ、トマト、豚肉を煮込み、塩だけで味つけたもの。
シンプルで飽きないおいしさ。私は野菜だけをいただく。
そして、最も手間がかかったという蟹のスープは、
淡水の蟹を殻ごと水と一緒にミキサーにかけてすりつぶし、煮込んでから漉し、
モロヘイヤやへちまなどを加えて煮たもの。
あっさりとしていながら、深いコクと旨みがある逸品だった。
さんまのニョクマム煮は、ニョクマムのほかに砂糖や唐辛子が入っていて、
日本の甘辛いさんまの煮ものに近い味。
そして、締めくくりはベトナムで旬のマンゴスチンとライチを山盛り。
ハイさん、ごちそうさまでした。
8月1日(月) 晴れ
ニャチャンへ
[朝]
・バゲット
+ベトナムコーヒー
[昼]
さつま揚げのバゲットサンドイッチ
+ビール
[夜]
歓迎ディナーにて
・ゆで渡り蟹
・イカの一夜干しの炭火焼
・イカのねぎ蒸し
・カインチュア鍋(ハタの酸っぱ辛いスープ)
・ライス
朝早い便でニャチャンに移動するため、
6時にホテルでバゲットとコーヒーの簡単な朝食をとる。
1945年までフランスの植民地だったベトナムには、
フランス食文化の影響が色濃く残っている。
バゲットとコーヒーは、ベトナム全土で食べられているらしい。
どちらも大好きな私にとっては、うれしいフランスの置き土産だ。
ニャチャンはベトナム屈指のビーチリゾートであり、
漁業も盛んで新鮮なシーフードが食べられる。
カンホアの塩の会社もここにあり、立ち寄ってあいさつをした。
その後、今日の宿泊先である海のそばのリゾートホテルへチェックインし、
途中で買ったさつま揚げ入りのバゲットサンドとビールで簡単なランチをした。
これは揚げた魚のすり身をカットし、
たっぷりのきざんだ小ねぎ、香菜、きゅうりと一緒に
バゲットにはさんだサンドイッチで、
食べる直前にニョクマムとチリソースをかけていただく。
魚の旨みに薬味の香りとピリ辛ソースがよいアクセントになって、
とてもおいしかった。もちろん、ビールにもよく合う!
これは日本に帰ってから、真似できそう。
午後はホテルのプールや美しいビーチでのんびりと過ごし、
夜は地元のレストランで、カンホアの塩のスタッフによる歓迎ディナー。
工場長が魚市場で新鮮な食材を集めて持ち込んでくれたので、
カニ、イカ、ハタなどのシーフードは絶品!
シンプルにゆでたところを、塩、こしょう、ライムをつけて食べるほか、
さまざまなソースやハーブを食卓に並べ、
香りや味わいをプラスして食べるのがベトナム流。
カインチュアという酸っぱいスープはベトナム料理の定番で、
白身魚とトマト、パイナップルをはじめたっぷりの野菜が入っていて、
甘酸っぱくさっぱりとした味つけになっている。
豪快に入れた高級魚のハタは別に取り出し、ニョクマムや唐辛子をかけて食べる。
トマトとパイナップルを入れるのは、なるほど酸味、甘み、旨みが加わり合理的。
ぜひ、日本に帰ったら作ってみたい。
このスープをハーブとともにご飯にかけた“汁かけごはん”はとてもおいしかった。
日本の鍋のあとの雑炊と同じようなもの。
ベトナムの歓迎会は、何度も何度も乾杯してそれを飲み干さなければならず、
途中で酔いつぶれるのが普通らしいが、
私は乾杯だけで飲み干すのは勘弁してもらった。
8月2日(火) 晴れ
カンホアの塩田見学
[朝]
・イカのバインセオ
・野菜とハーブの盛り合わせ
(ミント、バジル、レタス、たで、もやし)
・ニョクマムスープ
[昼]
ホテルにて
・ばい貝のしょうが蒸し
・豆腐のきのこ煮込み
・豆腐のレモングラス&唐辛子焼き
・はすの茎のサラダ
・カインチュア
・ライス
[夜]
地元のレストランにて
・空心菜の炒めもの
・豆腐のトマト炒め
・イカのフライ
・貝のレモングラス蒸し/ねぎ蒸し
・ガーリックライス
+ビール
この日の午前中は、塩田見学。
途中、街の食堂でイカのバインセオを朝食に食べる。
新鮮なイカがたっぷり入った米粉のお好み焼き。
ニョクマムの入りのあっさりしたスープに浸し、ハーブや野菜をたっぷりのせ、
ライムを搾っていただく。止まらないおいしさだった。
塩田では、塩の結晶を見たかったのだが、
私たちが来る前の天候が悪かったらしく、あいにく見ることができず、
塩を袋詰めするまでの工程を見学させてもらった。
太陽と風の力だけで天日している塩は、異物が混入しやすく、
それを取り除く作業をたくさんの女性スタッフがやっていた。
おいしい塩を作るために、塩田にはさまざまな工夫がなされていて、
本当に大変な手間をかけて、こだわりの天日塩はできているんだと感動した。
その後、ホテルに戻ってホテル内のレストランで豆腐料理とシーフードのランチ。
はすの茎のサラダは、海老せんべいにのせて食べたが、
香りと旨みがあり、パリッとしたせんべいとの相性がよくてビールが進む。
午後はホテルでのんびりし、
夜は砂浜を歩いて近くのレストランへ。
途中、砂浜でデザートを売る人から、
ふるふるの温かい豆腐にしょうがのシロップを入れた
デザートを買って食べてみた。
やわらかい豆腐にしょうがのシロップがからみ、あまり甘くなくておいしかった。
晩ごはんは、シンプルな炒めものやフライを中心に、
子供たちが食べられそうなものをオーダー。
海辺で潮風を感じながら食べるのは新鮮で、楽しい時間だった。
食後は満天の星を見ながら、海辺を歩いてホテルに戻った。
8月3日(水)
ニャチャンのホテルへ
[朝]
ホテルにてビュッフェ
・おかゆ
・アヒルの塩卵
・海藻スープ
・ミニバゲット
・生野菜、香菜
・落花生おこわ
+ベトナムコーヒー
[昼]
ホテルにて
・春雨の精進野菜スープ
+ビール
[夜]
シーフードレストランにて
・ごまの米せんべい
・シーフード春巻き
・さとうきびを芯にした
魚のすり身焼き
・伊勢海老の刺身
・ハーブの盛り合わせ
(ミント、バジル)
・きのこと魚介の鍋
朝5時に起きて、ホテルの前のビーチで素敵なサンライズを堪能。
朝食はビュッフェで、ランチは春雨の麺のようなもので簡単に済ませた。
私は、ベトナムに来てからよく食卓に出てくる
のこぎりコリアンダー(のこぎり型のコリアンダーの香りがするハーブ)が
お気に入りで、ちぎっていろいろなものに入れている。
ニャチャンのホテルに移動後、
晩ごはんはホテルの近くのシーフードレストランで。
ごまの入った生春巻きの皮のようなものを、ぱりっと焼いたものは、
食事の前によく出るが、あっさりとしていて香りがよく、
塩味も軽く効いていてビールのおつまみになかなかよい。
ここは伊勢海老がたくさん獲れ、安く食べられるということで、
思い切ってお刺身をオーダーして、こわごわ(あたらないかと)食べた
(お腹をこわさないように整腸剤を飲んでいたからか、大丈夫だった)。
ベトナム料理は野菜たっぷりでバランスがよく、
生のハーブをたくさん摂るせいか、消化もよい気がする。
これまで見ていると、ベトナムで食べられているハーブは
バジル、赤じそ、のこぎりコリアンダー、ディル、オリエンタルバジル、
ドクダミ、コリアンダー、ペパーミント、ヤナギタデなど。
ハーブによって消毒、消臭、解毒、体を冷やすなどさまざまな作用がある。
これらに加え、にんにく、レモングラス、エシャロット、ライム、青唐辛子、
赤唐辛子、ウコンなどを薬味やスープ、煮込み料理に使うことで、
料理の素敵なアクセントにもなっている。
8月4日(木) 晴れ
ニャチャン観光
[朝]
ホテルのビュッフェにて
・青菜のフォー
・バゲット
・ミニ青りんご、バナナ
+ベトナムコーヒー
[昼]
仏領時代の建物・バオダイ邸にて
・はすの茎とシーフードのサラダ
・川魚のカインチュア
・川魚のトマト&ニョクマム煮
・ライス
+ビール
[夜]
フォー専門店にて
・野菜とハーブのフォー
今日は朝食後、ニャチャン近海のボートトリップ&水族館に出かけた。
昼ごはんは、フレンチコロニアルスタイルのバオダイ邸へ。
定番の酸っぱいスープ・カインチュアと川魚の煮ものをメインにし、
おかずとハーブをライスにのっけて食べ、最後はスープをかけて締めくくる。
毎晩食べ過ぎなので、今夜はおいしいと評判のフォー専門店で軽く済ませた。
私は肉抜きのフォーにしたので、麺とフォーとねぎだけ。
これにたっぷりのもやしとハーブ、そして唐辛子やライムをかけて食べた。
時間をかけてとったスープはあっさりとしていながら深いコクがあり、
さすがフォーだけを売りにしているお店だと納得。
8月5日(金) 晴れ
午後ホーチミンへ
[朝]
ホテルのビュッフェにて
・蓮の実のおかゆ
・バゲット
・スイカ、青りんご、バナナ
+ベトナムコーヒー
[おやつ]
精進まんじゅう
[昼]
お寺の菜食レストランにて
・のっけご飯
(豆腐、グルテン、野菜の炒め煮いろいろ)
・トマトとはすの茎のカインチュア
[夜]
5ツ星ホテルの日本食レストランにて
・ソフトシェフクラブの巻き寿司
・ざる蕎麦
・フルーツの巻き寿司
朝はホテルのバイキングを食べ(私は青いバナナがおいしくてお気に入り)、
午前中はニャチャンの市場を見学。
途中、菜食専門店で精進まんじゅうを食べる。
お昼は、お寺の境内にある精進レストランで精進ランチをいただく。
ベトナムには仏教文化から発達した「コム チャイ」という精進料理があり、
旧暦の15、30日には寺を詣で、精進料理をいただく習慣があるらしい。
そのため、お寺の境内にはたいてい精進料理のレストランがある。
いわゆる“もどき料理”が中心で、ステーキもどきや魚貝もどきなど、
さまざまな種類があっておもしろかった。
午後、ニャチャンから飛行機でホーチミンへ戻る。
最初に泊まったホテルに再度チェックインし、
さすがに疲れたので夜は隣りの5ツ星ホテルで日本料理にする。
日本料理といっても、ここはベトナム。
寿司もフルーツやベトナムの魚貝類を使ったオリジナルのもので、
みんなでわいわい言いながら楽しんで食べた。
フルーツ(ドラゴンフルーツ、マンゴー、パイナップル)の巻き寿司は、
まあ悪くはなかったのだけど、周りのチョコレートパウダーが余計な気が……。
8月6日(土) 晴れ
メコン川沿いの町ミトーへ小旅行
[朝]
ホテルにて
・バゲット
・卵焼き
+ベトナムコーヒー
[昼]
メコン川沿いのレストランで郷土料理
・カータイ・トゥーン・チン・スー
(象耳魚の素揚げ、生春巻き、ブン、
生野菜、ハーブ)
・ソイ・チェン・フォン
(餅揚げ風船、地鶏のロースト)
+ビール
<夜>
・うなぎ春雨炒め、せんべい
・生春巻き
・かぼちゃの花のにんにく炒め
・千里の花のにんにく炒め
・チャーカー(魚とディル)
・貝の詰めもの蒸し
・コムモカウ
(くず米蒸し+ピーナッツ、
魚の発酵したもの、
レモングラスのつくだ煮)
・魚の内臓鍋
・はすの実のチェー、緑豆と粟のチェー、緑豆のチェー
+サイゴンスペシャルビール
朝食を済ませてホーチミンから車でメコン川沿いのミトーという街まで行き、
川沿いのレストランで郷土料理を楽しんだ。
象耳魚という白身魚を素揚げにして、立てるように盛りつけたものは、
見かけの迫力とは違って繊細であっさりとした味わい。
ライスペーパーにのせ、生野菜やハーブ、ブン(米麺)と一緒に包み、
たれをつけて食べる。
ライスペーパーは、手巻き寿司の感覚で何でも巻いて食べてよいのだ。
もうひとつのメコンの名物料理ソイ・チェン・フォンは、
米と緑豆を混ぜ合わせた生地を丸く揚げ(中は空洞)、甘く味つけしたものを
地鶏のローストと一緒に食べるというもの。
大きな揚げボールは、「これなに!?」というインパクトのある姿だが、
店員さんがうまく切り分けてくれ、グリルした地鶏との相性もよく、
楽しいごちそうだった。
午後はメコン川クルーズ。
島に上陸してはワニ釣りをしたり、ココナッツ教団の跡地を見学したり、
はちみつティーを飲んだり、歌を聴いたりと、観光コースを楽しんだ。
夜はホーチミン市内のレストランでベトナム料理を堪能。
いろいろな花の炒めものが、なかなかおいしかった。
食後、きくみさんがたくさんのチェーを味見したら? と頼んでくださり、
いろいろなチェーをみんなで少しずつ食べた
(私は甘いのが苦手なので少しだけ)。
チェーは、ベトナム版のあんみつといったところ?
8月7日(日) くもり
精進料理教室へ
[朝]
カフェにて
・蟹のせチーズトースト
+ベトナムコーヒー
[昼]
ベトナム精進料理教室にて
・精進フォー
・精進生春巻き
・フルーツのチェー
[夜]
フエの宮廷料理ディナー
・バイン・ベオ
・からし菜巻き
・バインチャンヌン
(ジャックフルーツの炒めサラダ)
・魚のすり身焼き
・コム・ヘン
(しじみご飯のしじみ汁かけ)
・はすの実のご飯
・ベトナムプリン
+サイゴンスペシャルビール
今日は楽しみにしていた精進料理教室の日。
先生は、ホーチミンの老舗ホテル「マジェスティック」や
日本のベトナム料理レストランでシェフを務めてきた実力派のムイ先生。
日本人スタッフによる通訳付きなので、とてもわかりやすかった。
フォーの精進スープの作り方から生春巻きの包み方、こだわりのたれの作り方
など、じっくり時間をかけて教えてもらい、大満足の教室だった。
生春巻きの皮をもどす時は、はけで水を全体に軽くぬるだけ。
まだ、固いのでは?というくらいで巻いていたのが印象的だった。
ベトナム最後の夜は、フエ料理で締めくくり。
13代にわたって王朝が続いたフエ。繊細で美しい宮廷料理がある。
小皿ごと蒸した米粉の餅「バイン・ベオ」は、何個でも食べられるおいしさ。
しじみご飯にピーナッツ、ごま、せんべい、ハーブを混ぜて唐辛子みそで
味つけし、じしみ汁をかけて食べる「コム・ヘン」は、
いろいろな味が複雑にからみ合い、絶品だった。
子供が熱を出したりと、多少のトラブルはあったが、
無事にベトナムの旅を終え、真夜中の便で帰途についた。
おまけ・ベトナムの市場について
旅の合間に何度か市場に立ち寄りました。
上は、ベトナムに着いた当日に行った、ホテル近くの小さな市場。
主婦の人が買いに来ていましたが、夕方だったので、肉や魚は終わっていて
野菜も少しだけ残っていた、という感じ。
野菜は大根、にんじん、キャベツ、青菜など日本と同じようなものが
中心ですが、ハーブや野菜の花が充実しているのが印象的でした。
細長いものはバナナの花。
もやしのような感覚でスープや鍋に入れます。
みじん切りにした薬味やおそうざいなど、そのまますぐに使えるもの、
食べられるものがたくさん売られていました。
こちらは8月5日に行ったニャチャンの市場です。
午前中に行ったので、魚や肉はもちろん、収穫したての新鮮な野菜も
たくさん並んでいて活気がありました。
ニャチャンは漁港があるので魚介の種類が豊富。
また、写真の葉野菜は炒めものやスープ、お鍋に入れるもので、
日本では見かけないものが多くありました。
苦みがあったり、ぬめりがあったり、香りが強かったりと、
クセのあるものが多く、それぞれの特性を生かした使い方があるようです。
どのお店も、野菜や果物がお供えもののように、
とてもきれいに陳列されていたのが印象的でした。
投稿者 webmaster : 2011年08月19日 10:39