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2012年01月31日

第40回 (1月22日 ― 1月28日)

1月22日(日) 雨

20120122.jpg[夜]
・大根のしょうゆ煮込み鍋
(大根、真昆布、油揚げ、舞茸、
 エリンギ、白菜、小松菜)
・発芽玄米ごはん
・自家製赤カブの塩漬け

1日家で撮影のレシピ原稿書き。
途中息抜きを兼ねて、行きつけの地中海料理のお店で友人とランチをした。
夜は、皮つきのまま大ぶりの輪切りにして蒸し煮しておいた大根と、
いろいろな野菜をしょうゆで煮込んで鍋仕立てにした。
おかず的な鍋なので、赤唐辛子の輪切りとしょうがの薄切りを入れて
味にアクセントをつけ、ごはんがすすむようにまとめた。


1月23日(月) くもりのち雨のち雪

20120123.jpg[夜]
・知床産エゾバフンウニの丼
・大根とおぼろ豆腐の味噌汁
・すっぱいたくあん、すっぱい白菜漬け

お昼に目黒で妹と待ち合わせてランチを食べ、明日の撮影の買い物と準備をした。
夜は、北海道から予約していた最高級のエゾバフンウニが届いたので、
たっぷりのせて丼にした。
めったに食べないけど、ウニは基本的に大好き。
濃厚で甘く、とろけるようなおいしさは、年に一度のぜいたく。
旬の極上のものをほんの少し食べると、
「もう食べなくてもいい」と思うほど舌も心も満たされる。
ぜいたくなごちそうは、祭りと同じで旬に一度食べれば充分。
今後1年食べようとは思わないので、かえって経済的だ。

今日は午後から雨が降り出し、夜9時くらいから雪に変わり、
あっという間に4cmから5cm積もって美しい雪景色に。
真っ白な神聖な雪が、街中の毒を結晶化してデトックスして
くれているような気がする。


1月24日(火) 晴れ

20120124.jpg[夜]
学芸大学の「山もと」にて
・九条ネギと焼き油揚げの和えもの
・旬菜の炊き合わせ
・玉子豆腐のズワイガニあんかけ
・北海道産山わさびごはん
20120124_1.jpg+純米酒の燗酒

昨日降った雪が凍ってアイスリンクのような状態なので、
自転車を引きながら歩いてお店へ向かった。
今日は、雑誌の特集ページの撮影。
20120124_2.jpgテーマは「春野菜をたっぷり使った小学生向けのお弁当とお父さん向けのお弁当」。
春野菜のミニ春巻き、春キャベツといちごのサラダ、新にんじんのカレー風味グラッセ、
新筍としいたけの唐揚げ風、菜の花とタラの芽の生姜風味ごま和え、
グリーンピース100%コロッケなど全部で12品作って、お弁当箱に詰めた。
春野菜は香りや甘みがあり、冷めてもおいしく色も形も美しいので、
お弁当に好適な素材が多い。

私も『菜菜ランチ』というお弁当の本を出しているが、
お弁当のおかずは常備菜やパーティ料理にも使えるので、
レパートリーを増やすと楽しい。

今日のお昼は「ノルド」で、晩ごはんは学芸大学の「山もと」でお酒を飲みながら……。


1月25日(水) 晴れ
20120125.jpg[昼]
「ノルド」にて
・生野菜のサラダ、枝豆チーズ、
 ポテトサラダ添え
・キャベツと牡蠣のスパゲッティ
+ソイラテ

20120125_1.jpg[夜]
居酒屋にて
・自家製かぶら寿司
・野菜蒸し、ポン酢
・自家製燻製
・自家製がんも
+麦焼酎のお湯割り

朝は、昨日撮影したお弁当の残りをアレンジして、
久しぶりに息子にお弁当を作った。
ちょっと大きめの曲げわっぱのお弁当箱を買ったので、使いたくなったのだ。

20120125_2.jpg中身は
・ミニ春巻き
・じゃがいものピリ辛煮
・ひじきと絹さやのペペロンチーノ
・いちごとキャベツのサラダ
・3分づきごはん、にんじんそぼろのせ

そして午後からは「大学生のための苦手野菜克服メニュー」の撮影。
帝京大学が出している学生向けライフスタイルマガジンの企画。
苦手野菜として、大根、ピーマン、トマト、セロリの4品が挙げられていたので
それぞれ「大根カツ」「ピーマンの蒲焼」「トマトの韓国風マリネ」
「セロリの中華風八角煮」を作った。
そもそも、私自身も野菜が苦手だったので、野菜の味をごまかす術は得意中の得意。
下味をつけたり、じっくり加熱して野菜のくせをとばし、
香辛料をきかせて個性のはっきりした味つけをすると、
野菜の味をあまり感じることなくすんなり食べられる。

お昼はいつものように「ノルド」で、晩ごはんは最近開拓した居酒屋で飲み。


1月26日(木) 晴れ

20120126.jpg[夜]
・湯豆腐
・3分づきごはん
・自家製漬けもの

私のお店「仙」の仕込み日。
寒い日が続いて野菜が高騰しているが、「仙」では出始めのめずらしい山菜や根菜、
豆、乾物などをおもに使うのであまり影響はない。
そもそも日本では、冬は基本的に畑はお休み。
家庭でも根菜、海藻、豆、乾物、野草など冬の食材を食べる方が、
体にも地球にも負担がないと思う。
トマト、キャベツ、レタス、きゅうり、トマト……と年中同じような野菜を
供給し続け、買い続けること自体に問題があるような気がする。
今日は山菜は昆布締めにし、ほかに豆を煮たり、野菜の下ゆでをしたり、
飛龍頭を作ったりした。

晩ごはんは、湯豆腐用の豆腐を取り寄せたので、さっそく湯豆腐にしていただいた。
とろけるような甘みがあり、豆腐を食べるたびに「おいしいっ!」と叫んだ。
湯豆腐だけで、こんなに感激できるなんてありがたい。


1月27日(金) 晴れ

20120127.jpg[昼]
ノルドにて
・生野菜のサラダ
・しらす入り和風スープスパゲッティ
+ソイラテ

20120127_1.jpg[夜]
自然食レストランにて
・豆乳鍋、胚芽米の雑炊
+生ビール

「仙」の営業日。
お店が始まる前におにぎりを食べ、閉店後に遅いランチ、
晩ごはんは、自然食レストランで1人分の豆乳鍋を友人とつまみながら軽く飲んだ。

毎日寒くて体が固くなっているので、最近朝晩ストレッチをしている。
体が温まり、胃腸の調子もよくなる気がする。


1月28日(土) 晴れ

20120128.jpg[夜]
葉山の「琢亭」にて
・前菜の盛り合わせ
(黒ごま豆腐、蒸しウニとせりの和えもの、
 自家製カラスミ、蒸しだこ、菜の花)
・新たけのこと白魚の生青海苔風味椀
20120128_1.jpg・お造り
(赤貝、さより、あおりイカ、スズキ)
・太刀魚の西京焼き、焼き野菜添え
・かぶと車エビの煮もの、西京味噌がけ
・あんこうと水菜の小鍋
・うるいの酢のもの
20120128_2.jpg・焼きおにぎり、香のもの、赤だし
+純米酒の燗酒

今日も「仙」の営業。
お店が終わってから逗子の知り合いの家へ1泊旅行。
晩ごはんは、ミシュラン1つ星をとった葉山の「琢亭」で
懐石料理をごちそうになった。
旬の極上の素材が繊細な感性でまとめられていて、
びっくりするくらいおいしかった。
さすがに星のついているレストランは格が違う。
食後は女ふたり、深夜までこたつでおしゃべりを楽しんだ。

[著者略歴]
カノウユミコ
鳥取県の専業農家に生まれる。生来の料理好き。高校生の頃から自然食に興味を持ち、ベジタリアン料理、精進料理を研究する。精進料理「菜懐石 仙」のオーナーシェフ。家庭でかんたんに楽しめるベジタリアン料理教室も主宰する。著書に 『菜菜ごはん』 『ますます菜菜ごはん』 『菜菜スイーツ』 『菜菜ランチ』 『菜菜おつまみ』 『菜菜おつまみ2』(すべて柴田書店)、『やさいのかみさま』(小学館)、『ベストヒット野菜料理』(講談社)ほか多数。最新刊は『菜菜おつまみ2』。

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2012年01月24日

第39回 (1月15日 ― 1月21日)

1月15日(日) くもり

20120115.jpg[昼]
・発芽ビーンズとひじきのピリ辛チャーハン
 ブロッコリースプラウトのせ
・自家製赤カブ漬け
・海苔のスープ

20120115_1.jpg[おやつ]
干しいも

20120115_2.jpg[夜]
自然食レストランにて
・玄米焼きおにぎりの根菜スープあんかけ
+ハーブティー

1日オフだったので、図書館から借りたカメラの基礎知識の本を熟読し、
カメラで撮りながら写真教室のおさらいをした。
もう少し慣れたら一眼レフカメラを首にぶらさげて、外出してみようと思う。
写真教室の時「カメラが重いのがねー」と先生に言うと、
「赤ちゃんよりも軽いし、じっとしていていい子だから楽だよ!」と言われた。
カメラを愛しい我が子のように思い、一緒に外出すると思えば、
それほど苦でもないかもしれない……。

お昼ごはんは、冷蔵庫に残っていた食材とごはんを炒め、
味噌と唐辛子で隠し味をつけたピリ辛のチャーハンにし、生野菜をのせて食べた。
発芽ビーンズは、枝豆感覚で食べられて気に入っている。
晩ごはんは、友人と自然食レストランで食べた。
根菜たっぷりのあんかけは、この時期体があたたまってうれしい。

そして9月ごろに予約した究極の干しいも「薪ふかし干し芋」がやっと届いた!
江戸時代から作り始められたと言われる干しいもは、
今はボイラーの蒸気で蒸すのが一般的。
昔ながらの薪で蒸かしている農家は、ほんのわずからしい。
けれど、いもの甘みを100%引き出すには、ゆっくりと熱を伝えて
蒸かすことがポイントで、蒸し上がるまで3時間以上かかる薪ふかしは、
理想の蒸かし方のようだ。
実際食べてみると、「これ、干しいも??」と思わず口にしてしまうほど、
ようかんのように甘い。
今は便利で楽なやり方に流れがちだけど、作り手の妥協を許さぬこだわりで、
手間ひまをかけて作られたものにはシンプルで深いおいしさがある。
この干しいもに出会えたことに感謝!


1月16日(月) くもり

20120116.jpg[昼]
料理写真教室にて持ち寄りランチ
・カブと油揚げの煮もの
・ポテトサラダ
・人参とレーズンのサラダ
・キャベツサラダ
・根菜とセロリとドライトマトの韓国風煮もの
・蓮根きんちゃくの煮もの
・3分づきごはん

20120116_1.jpg[夜]
・春菊と白菜の豆乳玄麦ラーメン

料理写真教室3回目。
今回はホワイトバランスについて学んだ。
光については、今まで明るいとか暗いとしか考えていなかったが、
光の波長や色温度の調整を学んでから
目の前にある光の性質や光源について考えるようになった。
カメラに表示されるグラフのような情報もほぼ解読でき、
自分にとって適正な方向へ修正できるようになり、ワクワク楽しい。

お昼ごはんは、受講生が一人1品持ち寄りしたものをシェアしていただいた。
私の精進料理教室の生徒さんが多いので、すべてベジタリアン料理で、
どれを食べてもおいしかった。
ちなみに私は、根菜とセロリとドライトマトとこんにゃくという
異色の組み合わせを、コチュジャンとすりごまで韓国風の煮ものに仕上げた。
ピリ辛でこくのある味つけは、どんな材料も、
有無を言わさずまとめてしまうすごい力がある。

夜は、自然食品店で購入した「豆乳玄麦ラーメン」の素で、
春菊をたっぷり入れたラーメンを作った。
たくさんの野菜、豆、きのこを煮込んだスープをベースにした完全菜食の
スープだったが、しっかりとうまみがあり、期待以上のおいしさだった。


1月17日(火)晴れ

20120117.jpg[夜]
・黒豆納豆とじゃがいもとにんじんの
 きんぴら風味丼、青じそのせ
・干しこごみと干し菊のくるみ和え
・大根と白菜と海苔の味噌汁
・自家製赤カブ漬け、すっぱいたくあん
・3分づきごはん

明日からの料理教室の準備をした。
今月の料理教室は「きなこ」をテーマにした料理を5品。
お餅やおだんごなどにしか使われない「きなこ」だが、もともと大豆なので、
水分を加えると豆のペーストとしていろいろな料理に使える。
しかも大豆を焙煎しているので、炒り大豆と同様うまみもあり、
「きなこ」=「ダシ炒り大豆パウダー」と考えるとよい。
常温で長期保存でき、ゆで大豆と同様に簡単にたんぱく質が豊富な料理が作れるという日本が誇る素晴らしい食材なのだと、私は思っている。
メニューは
・きなこのコロッケ
・具だくさんのクリーミースープ
・きなこマヨドレッシングサラダ
・きなこふりかけごはん
・きなこと黒ゴマの真っ黒ケーキ

20120117_3.jpg

というわけで、買い出しではお店にあったきなこをほとんど買占め。
レジの人は、餅つきのイベントがあるのかなぁと思ったに違いない。

お昼ごはんはいつものように、「ノルド」でパスタランチ。
晩ごはんは、蒸し煮にしていたじゃがいもとにんじんを甘辛く炒め、
黒豆納豆とあわせ丼仕立てにした。
じゃがいもと納豆は、相性がいい。
練り辛子を多めに入れてきかせるのがポイントだ。


1月18日(水) 晴れのちくもり

20120118.jpg[夜]
・トマトチゲ小鍋(大根、白菜、
 豆腐、小松菜、舞茸)
・海藻ごはん
・自家製大根葉漬け、赤カブ漬け

今年初めての料理教室。
生徒たちには、きなこふりかけときなこマヨドレッシングが好評だった。
商品化したら、意外に豆文化のある海外で受けるかもしれない。

晩ごはんは、オーガニックのトマトピューレにコチュジャンや薬味を入れて、
トマトチゲ鍋にした。
息子は煮込んだトマトの味が嫌いだが、チゲ風にすると食べてくれる。
だいぶ前に作り、チルドルームで熟成させている大根葉&かぶ菜漬けが、
乳酸菌発酵してとてもおいしくなった。
春まで少しずつ楽しみたい。


1月19日(木) くもり

20120119.jpg[夜]
ノルドにて
・生野菜のサラダ、
 タコのマリネとポテトサラダ添え
・ホタテと青菜のスパゲッティ
 ししゃもフライのせ
20120119_1.jpg+ソイラテ

[夜]
・おにぎり2個
+3年番茶

料理教室2日目。
今日は初めての生徒さんがいらっしゃっていて、しかもきなこ嫌いの方で、
内心大丈夫かなぁと案じていたが
試食後「きなこはダメなのに、先生のお料理はきなこ臭くなくて
全部おいしかったです!」とうれしいお言葉をいただいた。
何を隠そう、実は私自身もきなこが苦手で(笑)、
「きなこをなんとかおいしく食べられないだろうか」と思って料理を考えたのだった。
間違いなく私の料理の発想力は、「好き嫌いが多いこと」がもとになっている。
「好き嫌い」というのは、味覚が敏感すぎるという利点なのかもしれない。

夜は「J‐POP 青春の‘80」というNHKの公開番組収録が当たったので、
NHKホールに行って楽しんだ。
五輪真弓、岩崎宏美、世良公則、大橋純子、八神純子……と、
昔と変わらない素晴らしい歌声のヒット曲を生で鑑賞し、大感動、大満足だった。
昔の歌を聞くと、いろいろな思い出が蘇り、心がいっぱいになった。

お昼ごはんは「ノルド」で。夜はNHKホールで収録前に、お手製のおにぎりを食べた。
自分で作るおにぎりは、塩加減もにぎり具合もパーフェクトでおいしい。
しっかりと手に天日塩をつけ、炊きたてのごはんを軽やかに握るのがコツだ。


1月20日(金) 雪

20120120.jpg[夜]
・大根と油揚げと小松菜のさっぱり煮もの
・しじみの味噌汁
・すっぱいたくあん、野沢菜漬け、
 自家製梅干し
・3分づきごはん

20120120_1.jpgめずらしく雪の一日。
雪が多い鳥取県で生まれ育ったせいか、
冬に雪が降っていると落ち着く。

ずっと乾燥していたので、ミニトマトを丸ごと天日干しドライトマトにしようと
頑張っていたが、やむなく屋内へ。
外に置いておくと腐ってしまうトマトと、腐らないで乾燥するトマトがあるが、
たぶん農法によって違いがあるのだろう。

料理教室は3日目。
今日は遠く山形からいらっしゃっている方がいた。
地元で自分のお店を持つのが目標らしい。
夢に向かって学んでいる人は、目がきらきらして輝いている。

お昼ごはんは、「ノルド」で。
夜は、寒いので土鍋でゆっくりと大根と油揚げを炊いて薄味の煮ものを作った。
少し味つけをひかえると、野菜の味が生き生きと感じられる気がする。
沸騰させないくらいのとろ火で時間をかけて煮込むと、
大根の中まで味がしみておいしい。


1月21日(土) 雨時々くもり

20120121.jpg[昼]
ノルドにて
・生野菜のサラダ、スペインオムレツ、
 ポテトサラダ添え
・生ガキ
・ブロッコリーとトマトと貝柱のスパゲッティ
+オーガニック白ワイン、ソイラテ

[夜]
干し芋

料理教室最終日。
終了後、「ノルド」で白ワインと生ガキをプラスしてゆっくりランチ。
疲れていたので晩ごはんは抜き、干しいもを少し食べた。

寒い時期は、ただでさえ代謝が落ちている。
ましてや過労気味の時は、食べ過ぎると内臓が弱って抵抗力も弱り、
てきめんに風邪を引いてしまったりする。
腹八分(自分の感覚で、いつもの半分くらいがだいたい八分目)にしたり、
食事を抜いて体をいたわることが、冬を元気に過ごすためにとても大切だと思う。


[著者略歴]
カノウユミコ
鳥取県の専業農家に生まれる。生来の料理好き。高校生の頃から自然食に興味を持ち、ベジタリアン料理、精進料理を研究する。精進料理「菜懐石 仙」のオーナーシェフ。家庭でかんたんに楽しめるベジタリアン料理教室も主宰する。著書に 『菜菜ごはん』 『ますます菜菜ごはん』 『菜菜スイーツ』 『菜菜ランチ』 『菜菜おつまみ』 『菜菜おつまみ2』(すべて柴田書店)、『やさいのかみさま』(小学館)、『ベストヒット野菜料理』(講談社)ほか多数。最新刊は『菜菜おつまみ2』。

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2012年01月17日

第38回 (1月8日 ― 1月14日)

1月8日(日)晴れ

ひどい頭痛で一日寝込んでしまった。
最近「そうなってほしいということを、すでに起きたということにして
感謝の言葉を添えると実現する」という本を読んだので、早速実行。
「頭痛がすっかりよくなりました。感謝します!」と
激しい頭痛のなか、呪文のように唱え続けた。
すると、少し頭痛がやわらぎ、とても眠くなり、
トイレに行く以外はずっと寝ていて、夜も普通に寝た。
おかげで、頭痛をなんとかやり過ごすことができた(呪文がきいたのか?!)
寝ていたのと、頭痛の最中は吐き気がして、何も食べられなかった。


1月9日(月) 晴れ

昨日に引き続き頭痛……。
締め切りの原稿をかかえていたので、昨日と同様に呪文の言葉を唱え、
なんとかパソコンに向かって数分文章を打ち、頭痛に耐えられなくなると寝込む
というのを一日繰り返していた。
私はしょっちゅう激しい頭痛に襲われるので、
「頭痛がひどくて死ぬかも?」と周りに言っても
「ふぅーん。またいつもの頭痛でしょ?! そのうち治るよ」と受け流されてしまう。
そのうち頭痛で死ぬようなことになっても誰も来てくれないという、
オオカミ少年のような事態になりそうで怖い。
今日も何も食べられなかった。


1月10日(火) くもり

20120110.jpg[昼]
表参道「たまな食堂」にて
・黒豆と野菜のマリネ
・自家製厚揚げのロースト 青唐辛子の麹醤油
・ひよこ豆のポタージュ
・テンペと季節やさいのサラダ
 豆乳ヨーグルトドレッシング
・玄米の茶がゆ
+オーガニックコーヒー

20120110_1.jpg[夜]
・味噌仕立ての小鍋
・発芽玄米ごはん
・大根葉のこしょう漬け
 自家製梅干し

何とか頭痛がおさまり、妊娠中の友人と妹と3人で
表参道の「たまな食堂」でランチを食べた。
ここは発酵食品を取り入れたヘルシーな野菜&玄米のごはんが食べられる。
私も妹も自分の妊娠・出産の経験をもとに、
友人にはいろいろなアドバイスをした。
次男を産んでから18年くらい経っているのだが、
不思議と昨日のことのようにリアルに覚えている。
私は、2人とも母乳100%で育てた(長男は1歳、次男は3歳まで飲んでいた)が、
食べものは玄米や分づきのごはんに味噌汁と漬けものが基本の粗食にしていた。
その方が、さらりとしていて甘い、おいしい母乳になるような気がする。

晩ごはんは、根菜をたっぷり入れた味噌仕立ての鍋に隠し味にコチュジャンを
入れたものに、玄米ごはんと漬けものをプラスして簡単に済ませた。
コチュジャンは、かんずり感覚で少し辛味をきかせたいときに少量加えている。


1月11日(水) くもり時々晴れ

20120111.jpg[昼]
「しとらす」のワンコイン弁当
・野菜のキムチ炒め
・かぼちゃの煮もの
・ひじきの煮もの
・いんげんの黒胡麻和え
・カニ玉
・ロールキャベツ
・ごはん+ふりかけ

20120111_1.jpg[夜]
・塩こうじ鍋(白菜、えのき茸、
 紅芯大根、完熟大根、油揚げ)
・ほうれん草とひじきのおひたし
・3分づきごはん
・すっぱいたくあん
 自家製梅干し

私のお店「仙」の仕込み日。
飛龍頭、漬けもの、デザートなどを作り、和えものの下ごしらえをした。
デザートは、練り黒ゴマと黒豆のきなこで作る生地に
ブランデー漬けのドライいちじくを加えて焼いた真っ黒いケーキ。
隠し味にしょうゆや白味噌を加えて、こくや風味を出している。

いつもランチを食べている「ノルド」がお休みだったので、
近所のおしゃれな立ち飲み屋さん「しとらす」のテイクアウト弁当を食べた。
バラエティー豊かな手作り惣菜が詰め放題+温かいごはんでなんと500円。
老若男女問わず超人気で、すぐに売り切れてしまう。
晩ごはんは、塩こうじと昆布だしをベースにしたスープで野菜を煮た鍋もの。
紅芯大根を使ったので、ピンク色のスープになった。
塩こうじを入れると、スープにこくや甘みが出るし、
野菜もとろりと柔らかく煮え、どんな野菜でもおいしく食べられる。
翌日も温め直して食べたいのでたっぷり作った。
とてもおいしかったのに「ピンク色のスープが気持ち悪い」と、息子には不評……。


1月12日(木) 晴れ時々くもり

[朝]
・塩こうじ鍋の残り
・おにぎり2個
・すっぱいたくあん

20120112.jpg[昼]
「ノルド」にて
・生野菜のサラダ、スペインオムレツ、
 きのこのトマト煮、ポテトサラダ
・しらすといくらの和風スパゲッティ
+ソイラテ

今年初の「仙」の営業日。
前菜をお重に詰めたりして、新年を意識した料理に仕立てた。

朝食は昨日の鍋の残りをあたためて、おにぎりと一緒に食べた。
寒い朝に煮込料理を食べると、体が温まって元気が出る。
ランチは、久しぶりに「ノルド」のパスタを食べた。
食べるものがいつもの仕事の流れ(私の場合おにぎり→ 「ノルド」のランチ)
になると、頭も体も仕事モードに切り替わるような気がする。

20120112_1.jpg昼ごはんが夕方だったので晩ごはんは抜き。
じゃがいもとにんじんを多めに蒸し煮にし、
それをベースに息子にはクリームシチューを作り、
残りは冷蔵庫にストックした。
煮込みや味噌汁はもちろん、オムレツや炒めもの、
サラダにしたりといろいろ応用できる。
根菜類や芋、豆など、加熱に時間がかかるものは同様に蒸し煮しておくと
調理時間が短縮できて便利だ。

20120112_2.jpg朝食でも食べた乳酸発酵している「すっぱいたくあん」は、私の食卓の常連。
まとめて山形から取り寄せていて、本日到着也。


1月13日(金) 晴れ

20120113.jpg[夜]
・フリーズドライのオーガニックフルーツ
 (りんご、バナナ、オレンジ、マンゴー)

「仙」の営業日。
お店が始まる前におにぎりを食べ、お店が終わった後「ノルド」でパスタを食べた。
今日もランチを夕方に食べたので、晩ごはんは抜いて、
フリーズドライのオーガニックフルーツをつまんだだけ。
アメリカからフラワーレメディを購入する際に、一緒に取り寄せているもの。
甘みなどは一切加えず、無農薬のフルーツをフリーズドライにしただけなので、
甘みが凝縮され、栄養も生きているすぐれモノのおやつだ。

めずらしく息子が早く帰宅したので、夜ゆっくりおしゃべりを楽しんだ。
時間をさかのぼるドラマの話になって
「過去に戻れるとしたら、いつに戻りたい?過去でやり直したいことある?」
と息子に聞いたら「今がいちばんいいから、過去には戻りたくない」。
大好きな今を迎えるには、どんな過去もすべて必要で何一つ欠けてはいけない。
「お母さんも同じだよ」と私は言った。


1月14日(土) 晴れ

20120114.jpg[夜]
・ホットワイン
・精進うどん(栗と京にんじん入り
 自家製飛龍頭、ひじき、キクラゲ、
 青菜、三つ葉)


引き続き「仙」の営業。
今週のお重に詰めた前菜の写真を撮ったので、内容をご紹介。
20120114_1.jpg・山形産干しこごみと
 青森産干し菊のクルミ和え
・にんじん芋と
 りんごのシナモン風味きんとん

 (甘みを加えず、
 塩だけで素材の甘みを引き出したもの)
・春菊の柚子香おひたし
・千石黒豆のスイートマスタードマリネ

 (固めに塩ゆでした小さな黒豆を、メープルシロップ入りの
 粒マスタードでマリネにしたもの)
・自家製豆腐の味噌漬け
 (2週間くらい麦味噌に漬けているのでとろりとしたチーズのようになる)

冬は干した野菜をよく使うが、生のときよりも食感もよく、
風味も味わいも濃縮されてしみじみとおいしい。
「仙」では主に和えものや煮ものにしているが、パスタや洋風のスープ、
煮込みにも合うので、もっとたくさんの人に使いこなしてほしいと思う。

朝はおにぎり、昼は「ノルド」でカニのスパゲッティを食べ、
夕方友人と会い、ホットワインを飲みながらおしゃべりをした。
晩ごはんは、お店で残った栗の飛龍頭とひじきを入れて温かい精進うどんを
息子に作り、私は少しだけ食べた。


[著者略歴]
カノウユミコ
鳥取県の専業農家に生まれる。生来の料理好き。高校生の頃から自然食に興味を持ち、ベジタリアン料理、精進料理を研究する。精進料理「菜懐石 仙」のオーナーシェフ。家庭でかんたんに楽しめるベジタリアン料理教室も主宰する。著書に 『菜菜ごはん』 『ますます菜菜ごはん』 『菜菜スイーツ』 『菜菜ランチ』 『菜菜おつまみ』 『菜菜おつまみ2』(すべて柴田書店)、『やさいのかみさま』(小学館)、『ベストヒット野菜料理』(講談社)ほか多数。最新刊は『菜菜おつまみ2』。

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2012年01月11日

第37回 (2011年12月25日 ― 2012年1月7日)

あけましておめでとうございます、カノウユミコです。
今年もよろしくお願いします。
さっそく、年始をまたいで2週間分の日記です。


12月25日(日) 晴れ

20111225.jpg[昼]
・豆腐ハンバーグ
 蒸し煮にんじんグラッセと生野菜
・キャベツの塩糀漬け、赤カブ漬け
・紅芯大根スープ
・春菊と菊花の酢のもの
・3分づきごはん

20111225_1.jpg[夜]
「美々卯」にて
・天ぷら
・わかめうどん
・根菜の煮もの
・かやくごはん、漬けもの
・レアチーズ風デザート


1日オフ。お店の残りものでお昼を済ませ、片付けと掃除を続行。
1ヵ月前から断捨離をしてかなり捨てたので、
クローゼットも納戸も、人が寝られるくらいのスペースができた。
収納場所にゆとりがあると、自分の所有している物が一目瞭然で、片付けも掃除もはかどる。
キッチンの器や調味料、乾物なども思い切って捨てて、必要最小限にした。
香辛料、調味料、乾物などは、賞味期限を過ぎても腐ることはなく、
「いつか使える」と思って長期保存してしまいがち。
でも、日常使っているのは、その中のわずかなもの。
「いつか使うもの」を手放すことで、創作意欲も湧いてくるような気がする。

夜は渋谷で友人と会い、「美々卯」でうどんを食べた。
私は関東のうどんが苦手なので、薄口しょうゆベースのうどんのお店はありがたい。


12月26日(月) 晴れ

20111226.jpg[夜]
居酒屋にて
・宮崎産地魚のお造り盛り合わせ
・自家製がんも
・蒸し野菜、ポン酢
・牡蠣の土鍋ごはんとだし茶漬け
+純米酒の燗酒

妹と待ち合わせて「ノルド」でごはんを食べ、お世話になった方へ年賀状を書いた。
1年分の名刺を集めると、カメラマンさん、スタイリストさん、ライターさん、
編集者さんなどかなりの数になる。
これから先、もう会うこともないだろうという人もいて、
いつも一期一会の気持ちを持ち続けなきゃと改めて思いつつ、ペンを走らせた。

夜は、居酒屋を新規開拓。
若い男性が一人で切り盛りしている、新しい居酒屋に入ってみた。
素材にこだわりすべて手作り。全体的にヘルシーなものが多く、燻製まで作ってる。
おまけに日本酒もすべて一合600円とコスパも申し分ない当たりのお店だった。
常連になりたいお店に出会えると、宝くじにあたったようにうれしい。
それほど少ないということだけれど……。

夜遅くに、冬休みになった長男が突然やってきた。
「まだ何も食べてない」と言うので、冷蔵庫に入っている大根の煮ものや漬けもので、
3分くらいで晩ごはんを用意した。こういう時に常備菜はありがたい。
「空腹の人が待てるのは3分間」と私は思って、いつも備えている。


12月27日(火) 晴れ

20111227.jpg[夜]
・おでん(がんも、こんにゃく、
 豆腐、有精卵、完熟大根)
・3分づきごはん
・赤カブ漬け、大根葉のこしょう漬け

長男と妹と一緒に「ノルド」でランチをしたあと、引き続き年賀状書き。
寒い時期は、リビングも暖まる土鍋を使った料理が多くなる。
今日はこだわり豆腐店のがんもと甘い完熟大根を使ったおでん。
私は練り製品が好きではないので、おでんはがんもと大根とこんにゃくが中心。
切り落とした完熟大根の葉は、塩と香りのよいこしょうとゆずの皮で即席漬けにした。
私はベトナム・フーコック島のこしょうがお気に入りだが、
上品な香りのこしょうは、赤唐辛子の代わりに漬けものに入れるとおいしい。


12月28日(水) 晴れ

20111228.jpg[昼]
・ポテトサラダ入り生野菜のサラダ
・小松菜としらすのスパゲッティ
・生牡蠣
+オーガニック白ワイン、ソイラテ

20111228_1.jpg[夜]
・大根葉チャーハン、わら納豆のせ
 ゆずの皮のせん切り、赤カブ漬け
・おでんの残り
・のっぺい汁

今日は私の店「仙」の大掃除をした。
冷蔵庫や冷凍庫のもの、引き出しのものなどを全部出し、きれいに拭いて整理した。
最近、日ごろの感謝をこめて「ありがとう」と唱えながら掃除をしているのだけど、
そうすると単なる道具でも、内側からの輝きが増すような気がする。
お店もキッチンも清々しい空気に包まれ、〆飾りをつけて、来年の新しい気を迎える準備万端。
今日でお店の仕事はおしまい。
お店さん1年間、本当に御苦労さまでした!

「ノルド」のランチも今年最後。
ごちそうさまのあとに、オーナー夫婦へ感謝の言葉と「よいお年を!」を添えた。
日々ノルドでどれだけ癒され、元気をもらっているか。
言葉では言い表せないくらいだ。

夜は、昨日作った大根の即席漬けを細かくきざんでチャーハンにし、わら納豆をのせて食べた。


12月29日(木) 晴れ

20111229.jpg[昼]
精進にゅうめん

20111229_1.jpg[夜]
蕎麦屋さん「月心」にて
・自家製ぬか漬け
・牡蠣ねぎ汁の田舎蕎麦
+純米酒の熱燗

お店は冬休みに入ったが、私は年末締め切りの原稿書きが残っている。
これが原稿用紙20枚分とかなりの量。
いつもながら、締め切りギリギリでないとエンジンがかからない性質なので、
明日と明後日が勝負だ。
……というわけで、パソコンの前に座って数行書いては、
大掃除をしたり、料理をしたり、という感じで1日過ごした。

夜は、大好きなお蕎麦屋さん「月心」でこだわりのつまみを少し頼み、
純米酒の熱燗を飲み、おいしい蕎麦で仕上げた。
私は、お気に入りのお蕎麦屋さんで飲むのが好きだ。
純米酒に合う気のきいたつまみがあるし、
仕上げに蕎麦&蕎麦湯というのも、消化によくて体にもうれしい。


12月30日(金) 晴れ

20111230.jpg[夜]
・ベビーリーフとかいわれ大根と
 紅芯大根のサラダ
・むかごのオリーブオイル炒め
・京壬生菜と厚揚げの味噌汁
・3分づきごはん
・野沢菜古漬け、赤カブ漬け

1日原稿書き。
途中、友人と行きつけの目黒の地中海料理のお店でランチ。
夜は料理をする時間的な余裕がなく、ありあわせのもので簡単なごはんを食べた。
息子には肉料理をプラスして。

夜は「10万年後の安全」というDVDを観た。
フィンランドのオルキルトという小さな島に建設中の、原子力発電所で出る核燃料廃棄物の最終処理施設「オンカロ」。……地下500mの深い穴に放射性廃棄物を埋蔵して封鎖し、人が近づけないようにする。
放射性廃棄物が完全に生物に無害になるには10万年かかると言われている。
それまで持ちこたえ、誰にも発見されず、忘れ去られ、10万年後の気の遠くなるほど
先の未来まで完全に無視されることが求められているという話。
もちろん、この最終処理施設はフィンランドの核燃料廃棄物だけでいっぱいになってしまうので、原子力による発電を続ける限り、このような施設が地球にいくつも必要となる。
本当に、1日も早く、原子力発電をやめてほしい。
そして現存する放射性廃棄物の処理の研究に力を注ぎ、
未来に害のないように処理してほしいと祈るばかりだ。


12月31日(土) 晴れ

20111231.jpg[昼]
・寄せ鍋(塩味)
・そうめん、三つ葉、ゆず
・3分づきごはん
・紅芯大根の酢漬け
・あたご梨

20111231_1.jpg[夜]
・発芽玄米ごはん
・根菜味噌汁(20年ものの豆味噌)
・野沢菜古漬け、赤カブ漬け

20111231_2.jpg・精進年越し蕎麦

今日も1日原稿書き。
「もう鍋はやめてくれ!」と叫ぶ息子を説き伏せ、お昼も鍋もの。
仕上げにうまみの出ただしに、ゆでたそうめんと三つ葉、ゆずの皮を散らして
にゅうめんを作ったが、これがなかなかおいしかった。
塩鍋→にゅうめんというのは、おすすめ。
20111231_3.jpg晩ごはんは、今年のデトックスモードで、20年ものの豆味噌を冷蔵庫の奥から引っ張り出し、根菜たっぷりの味噌汁を作り、発芽玄米ご飯を食べた。
原稿は夕方にはほぼ仕上げ、夜はNHKの紅白を観ながら精進仕立ての年越し蕎麦を食べた。
ごぼうと舞茸と油揚げを入れたつゆにはこくと香りがあり、蕎麦にとても合う。息子には、地鶏を入れた。

原稿の仕事をためこむと本当に大変だが、集中して書き、
終わった後の爽快感は何ものにもかえがたい。来年も同じパターンを続けそう……。
というか、私は一生こんなふうにしか仕事ができないかもしれない。


1月1日(日) 晴れ

20120101.jpg[昼]
友人宅にて
・銀座「六雁」のおせち
・長野「犀北館ホテル」の信州産食材の
 ヘルシーおせち

20120101_1.jpg[夜]
・3分づき米の5分粥
・野沢菜古漬け
・千石黒豆の塩煮
・紅芯大根の酢漬け
・山ゴボウのしょうゆ漬け
・海苔

◎ 「六雁」の五段重
20120101_2.jpg

◎ 「犀北館ホテル」の三段重
20120101_3.jpg

10年以上前から、毎年元旦は、友人宅で選りすぐりの豪華おせち料理を
ごちそうになっている。妹夫婦や私の息子、知り合いも参加し、
にぎやかにワインや日本酒とともに味わった
(私は魚介類をほんの少しいただく程度で、もっぱら野菜担当)。
今年は、銀座の日本料理店「六雁」の伝統的なおせち料理が球体のモダンな
お重に入ったものと、信州産のぜいたくな幸をふんだんに使ってヘルシーにまとめた
「犀北館ホテル」のおせちの2種。
メニューを見ているだけでもその贅沢さがわかるが、
こうしたおせちは毎年私の刺激になっている。
今回も、六雁のパプリカの南蛮漬けやドライトマト紅白なます
(ドライトマトのコクや酸味が大根なますとよく調和していた)、
犀北館ホテルの天城のワサビであえた黒豆の蜜煮など、
参考になるなぁと思うものがあった。
いつももてなしてくれる友人には、心から感謝している。

中・高校生の頃の私は、おせち料理を手作りしていた。
他にも、塩で〆た鮭と酢漬けのカブで紅白の笹寿司も作ったりして、
家族にも好評だった。
ただ、年末に料理を頑張りすぎて、お正月は寝込んでいることが多かったが……。

贅沢おせちのあとは、お粥にするのが恒例。
お粥のおともは、冷蔵庫の常備菜や漬けものたち。
土鍋でゆっくりと炊いたお粥は、食べ疲れた体にやさしく染みてゆく。


1月2日(月) 晴れ

20120102.jpg[昼]
・玄米餅と海苔のお雑煮
・山ゴボウのしょうゆ漬け
・大根なます、いくらの白しょうゆ漬け
・千石黒豆の塩煮
・にんじん芋のきんとん

20120102_1.jpg[夜]
・梅干しのおにぎり
・大根と海老芋と三つ葉の味噌汁
・赤カブ漬け

20120102_2.jpg私がこのお正月に作った料理は
・山ゴボウのしょうゆ漬け
・千石黒豆煮
・人参芋のきんとん
   の3つだけ。

もちろん砂糖もだしも使わず、塩やしょうゆだけでシンプルに仕上げて。
元旦に豪華なおせちを食べているという理由もあるが、
昔と違って普段からごちそうを食べているので、年末年始は胃腸を休め、
どちらかというとデトックスしたいと思う。

私のお雑煮は、昆布だしをしょうゆと塩で調味し、小松菜と海藻ときのこ入れた汁に、
焼いた玄米餅を入れるのが定番。
鳥取の実家では、小豆を煮て丸餅を入れ、その上にお砂糖をかけるという
お汁粉のようなお雑煮だった。私は小豆も餅も砂糖も好きではなかったので、
お正月のお雑煮が大嫌いだったのだ。
地方によっていろいろなお雑煮があるようだが、私は伝統にとらわれず、
自分がおいしいと思えて、体も喜ぶものを作りたい。


1月3日(火) 晴れ

20120103.jpg[昼]
・野菜の塩味中華丼
・大根のなます、ブロッコリースプラウト


お昼ごろまで寝て、ごはんを食べたらまた夕方まで昼寝、そのまま夜も寝た……
という寝正月の1日。
お昼は息子のリクエストで中華丼を作った。
ごま油でしょうがのみじん切りを炒め、いろいろな野菜やきのこを塩をふりながら炒めたら塩を加えた昆布だしでさっと煮て、吉野葛でとじたものをごはんにかける。
炒める時に塩を加えることで野菜の甘みを引き出し、
その塩によって野菜から出た水分で、昆布だしにはこくや甘みが加わる。


1月4日(水) 晴れ

20120104.jpg[昼]
・うどん鍋
 (白菜、地鶏、大根、油揚げ、海老芋)
・ベビーリーフとスプラウトと
 スモークサーモンのサラダ
・赤かぶ漬け
・3分づきごはん

今日も基本寝正月。
そして性懲りもなく、またお昼から鍋。
大学生の長男、高校生の次男の2人が揃うと異常な量を食べるので、
大きな鍋でたっぷり作らないとお腹が満たされず、
食後にラーメンやチャーハンを追加で作らされるはめになる。
今日は、鍋の前に、炊きたてのごはんでおにぎりを作ってまず食べさせ、
それから鍋という流れにした。
ちなみに私の作るおにぎりは、息子たちに
「セブンイレブンのおにぎりを超えた究極のおにぎり」と評され、すこぶる受けがよい。
天日塩をしっかり手につけ、くずれないぎりぎりのやわらかさに握っているだけなのだけど。

私は明日から温泉旅館に行ってごちそうを食べるので、
晩ごはんは米グルトだけにした。


1月5日(木) 晴れ

20120105.jpg[昼]
「ホテルクラスカ」にて
・にんじんと小柱とトマトのスパゲッティ
・生野菜のサラダ
・パンプキンスープ
+カフェラテ

20120105_1.jpg[夜]
「ATAMI 海峯楼」にて
・前菜
  淀大根鴨味噌掛け
  鼈甲玉子酒盗漬け
  壬生菜胡麻和え
20120105_2.jpg  海老野沢菜寿司
  玉子真丈雲丹焼き
  鯖蕪寿司
・お椀
  蛤吉野葛打ちほか
・お造り
20120105_3.jpg  鮪 赤貝 青利烏賊 甘鯛昆布締め
・炊合
  雲子鍋 湯葉 海老芋 水菜ほか
・強肴
  甘鯛塩焼き 南京 長芋 菜の花
・食事
20120105_4.jpg 鯛御飯魔釜炊き、留め椀、香の物
・三宝柑のムースとシャーベット
・栗善ざい
+生ビール、純米酒

午前中外出していた息子から突然電話があり、
「彼女を紹介したいので、ランチを一緒に食べよう」とのこと。
急いで支度をし、たまたま来ていた妹と次男と一緒に近所のホテルで会食をした。
息子の彼女と会うのは初めてのことで、少し緊張したが、
かわいらしい女性でひと安心。
将来息子たちが結婚すると、私にも嫁×姑の関係ができたり、孫ができるのかと思うと、もうそんな年齢なんだと複雑な心境になる……。

みんなと別れ、私はお昼の新幹線で友人と「ATAMI 海峯楼」へ。
毎年お正月休みに1泊で温泉に出かけていて、今回は熱海。
元はバンダイの迎賓館だったという建物を改装したもので、
水とガラスのアートな空間が広がる4部屋だけの贅沢な宿。
お部屋からの眺めも、ダイニングからの眺めも、眼下に海が広がり最高だった。
4組だけなので、大浴場を時間で区切って貸し切りにしてくれる
素晴らしいサービスがあり、とてもゆっくりできた。
もちろん、お料理も美しく、手の込んだ素晴らしいものだった。


1月6日(金) 晴れ

20120106.jpg[朝]
・豆乳湯豆腐
・根菜の葛煮
・アジの干物焼き
・たたきごぼう
・春菊のお浸し
・生野菜の胡麻ドレッシングサラダ
・土鍋ご飯、味噌汁
・自家製漬けもの、
 お茶の葉のつくだ煮、じゃこ山椒
・フルーツ
+コーヒー

[夜]
居酒屋にて
・よせ鍋、うどん
+純米酒の燗酒

朝ゆっくりと温泉に入り、美しい海を見ながら豪華な和朝食をいただき、
新幹線で東京へ戻る。
午後は長男に頼まれ、アパートの大掃除に行った。
半端なく散らかって、ホコリもゴミもいっぱいで、片付けて掃除するのに終電近くまでかかった。
押し入れや引き出しのものをすべて出し、必要のないものを捨てさせ、
隅々のホコリをとって拭いたら、ごみ箱のような部屋が居心地のよい空間に変わった。
なんとか維持してほしいものだ。

朝しっかり食べたのでお昼は抜き、夜は息子のアパートの近くの居酒屋で
よせ鍋と燗酒で、掃除で冷えて疲れた体をあたためた。


1月7日(土) 晴れ

20120107.jpg[夜]
・玄米餅入り七草粥(3分づき米)
・赤カブ漬け

妹と「ノルド」で待ち合わせて、パスタランチを食べながら今年の仕事の打ち合わせ。
お店を始めて11年になるので、新しい仕事の展開を模索中だ。
夜は、3分づき米で作る七草がゆで野草のパワーを体に入れ、
お正月のごちそうで停滞気味の体をデトックスした。


[著者略歴]
カノウユミコ
鳥取県の専業農家に生まれる。生来の料理好き。高校生の頃から自然食に興味を持ち、ベジタリアン料理、精進料理を研究する。精進料理「菜懐石 仙」のオーナーシェフ。家庭でかんたんに楽しめるベジタリアン料理教室も主宰する。著書に 『菜菜ごはん』 『ますます菜菜ごはん』 『菜菜スイーツ』 『菜菜ランチ』 『菜菜おつまみ』 『菜菜おつまみ2』(すべて柴田書店)、『やさいのかみさま』(小学館)、『ベストヒット野菜料理』(講談社)ほか多数。最新刊は『菜菜おつまみ2』。

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投稿者 webmaster : 13:52