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2012年01月11日
第37回 (2011年12月25日 ― 2012年1月7日)
あけましておめでとうございます、カノウユミコです。
今年もよろしくお願いします。
さっそく、年始をまたいで2週間分の日記です。
12月25日(日) 晴れ
[昼]
・豆腐ハンバーグ
蒸し煮にんじんグラッセと生野菜
・キャベツの塩糀漬け、赤カブ漬け
・紅芯大根スープ
・春菊と菊花の酢のもの
・3分づきごはん
[夜]
「美々卯」にて
・天ぷら
・わかめうどん
・根菜の煮もの
・かやくごはん、漬けもの
・レアチーズ風デザート
1日オフ。お店の残りものでお昼を済ませ、片付けと掃除を続行。
1ヵ月前から断捨離をしてかなり捨てたので、
クローゼットも納戸も、人が寝られるくらいのスペースができた。
収納場所にゆとりがあると、自分の所有している物が一目瞭然で、片付けも掃除もはかどる。
キッチンの器や調味料、乾物なども思い切って捨てて、必要最小限にした。
香辛料、調味料、乾物などは、賞味期限を過ぎても腐ることはなく、
「いつか使える」と思って長期保存してしまいがち。
でも、日常使っているのは、その中のわずかなもの。
「いつか使うもの」を手放すことで、創作意欲も湧いてくるような気がする。
夜は渋谷で友人と会い、「美々卯」でうどんを食べた。
私は関東のうどんが苦手なので、薄口しょうゆベースのうどんのお店はありがたい。
12月26日(月) 晴れ
[夜]
居酒屋にて
・宮崎産地魚のお造り盛り合わせ
・自家製がんも
・蒸し野菜、ポン酢
・牡蠣の土鍋ごはんとだし茶漬け
+純米酒の燗酒
妹と待ち合わせて「ノルド」でごはんを食べ、お世話になった方へ年賀状を書いた。
1年分の名刺を集めると、カメラマンさん、スタイリストさん、ライターさん、
編集者さんなどかなりの数になる。
これから先、もう会うこともないだろうという人もいて、
いつも一期一会の気持ちを持ち続けなきゃと改めて思いつつ、ペンを走らせた。
夜は、居酒屋を新規開拓。
若い男性が一人で切り盛りしている、新しい居酒屋に入ってみた。
素材にこだわりすべて手作り。全体的にヘルシーなものが多く、燻製まで作ってる。
おまけに日本酒もすべて一合600円とコスパも申し分ない当たりのお店だった。
常連になりたいお店に出会えると、宝くじにあたったようにうれしい。
それほど少ないということだけれど……。
夜遅くに、冬休みになった長男が突然やってきた。
「まだ何も食べてない」と言うので、冷蔵庫に入っている大根の煮ものや漬けもので、
3分くらいで晩ごはんを用意した。こういう時に常備菜はありがたい。
「空腹の人が待てるのは3分間」と私は思って、いつも備えている。
12月27日(火) 晴れ
[夜]
・おでん(がんも、こんにゃく、
豆腐、有精卵、完熟大根)
・3分づきごはん
・赤カブ漬け、大根葉のこしょう漬け
長男と妹と一緒に「ノルド」でランチをしたあと、引き続き年賀状書き。
寒い時期は、リビングも暖まる土鍋を使った料理が多くなる。
今日はこだわり豆腐店のがんもと甘い完熟大根を使ったおでん。
私は練り製品が好きではないので、おでんはがんもと大根とこんにゃくが中心。
切り落とした完熟大根の葉は、塩と香りのよいこしょうとゆずの皮で即席漬けにした。
私はベトナム・フーコック島のこしょうがお気に入りだが、
上品な香りのこしょうは、赤唐辛子の代わりに漬けものに入れるとおいしい。
12月28日(水) 晴れ
[昼]
・ポテトサラダ入り生野菜のサラダ
・小松菜としらすのスパゲッティ
・生牡蠣
+オーガニック白ワイン、ソイラテ
[夜]
・大根葉チャーハン、わら納豆のせ
ゆずの皮のせん切り、赤カブ漬け
・おでんの残り
・のっぺい汁
今日は私の店「仙」の大掃除をした。
冷蔵庫や冷凍庫のもの、引き出しのものなどを全部出し、きれいに拭いて整理した。
最近、日ごろの感謝をこめて「ありがとう」と唱えながら掃除をしているのだけど、
そうすると単なる道具でも、内側からの輝きが増すような気がする。
お店もキッチンも清々しい空気に包まれ、〆飾りをつけて、来年の新しい気を迎える準備万端。
今日でお店の仕事はおしまい。
お店さん1年間、本当に御苦労さまでした!
「ノルド」のランチも今年最後。
ごちそうさまのあとに、オーナー夫婦へ感謝の言葉と「よいお年を!」を添えた。
日々ノルドでどれだけ癒され、元気をもらっているか。
言葉では言い表せないくらいだ。
夜は、昨日作った大根の即席漬けを細かくきざんでチャーハンにし、わら納豆をのせて食べた。
12月29日(木) 晴れ
[昼]
精進にゅうめん
[夜]
蕎麦屋さん「月心」にて
・自家製ぬか漬け
・牡蠣ねぎ汁の田舎蕎麦
+純米酒の熱燗
お店は冬休みに入ったが、私は年末締め切りの原稿書きが残っている。
これが原稿用紙20枚分とかなりの量。
いつもながら、締め切りギリギリでないとエンジンがかからない性質なので、
明日と明後日が勝負だ。
……というわけで、パソコンの前に座って数行書いては、
大掃除をしたり、料理をしたり、という感じで1日過ごした。
夜は、大好きなお蕎麦屋さん「月心」でこだわりのつまみを少し頼み、
純米酒の熱燗を飲み、おいしい蕎麦で仕上げた。
私は、お気に入りのお蕎麦屋さんで飲むのが好きだ。
純米酒に合う気のきいたつまみがあるし、
仕上げに蕎麦&蕎麦湯というのも、消化によくて体にもうれしい。
12月30日(金) 晴れ
[夜]
・ベビーリーフとかいわれ大根と
紅芯大根のサラダ
・むかごのオリーブオイル炒め
・京壬生菜と厚揚げの味噌汁
・3分づきごはん
・野沢菜古漬け、赤カブ漬け
1日原稿書き。
途中、友人と行きつけの目黒の地中海料理のお店でランチ。
夜は料理をする時間的な余裕がなく、ありあわせのもので簡単なごはんを食べた。
息子には肉料理をプラスして。
夜は「10万年後の安全」というDVDを観た。
フィンランドのオルキルトという小さな島に建設中の、原子力発電所で出る核燃料廃棄物の最終処理施設「オンカロ」。……地下500mの深い穴に放射性廃棄物を埋蔵して封鎖し、人が近づけないようにする。
放射性廃棄物が完全に生物に無害になるには10万年かかると言われている。
それまで持ちこたえ、誰にも発見されず、忘れ去られ、10万年後の気の遠くなるほど
先の未来まで完全に無視されることが求められているという話。
もちろん、この最終処理施設はフィンランドの核燃料廃棄物だけでいっぱいになってしまうので、原子力による発電を続ける限り、このような施設が地球にいくつも必要となる。
本当に、1日も早く、原子力発電をやめてほしい。
そして現存する放射性廃棄物の処理の研究に力を注ぎ、
未来に害のないように処理してほしいと祈るばかりだ。
12月31日(土) 晴れ
[昼]
・寄せ鍋(塩味)
・そうめん、三つ葉、ゆず
・3分づきごはん
・紅芯大根の酢漬け
・あたご梨
[夜]
・発芽玄米ごはん
・根菜味噌汁(20年ものの豆味噌)
・野沢菜古漬け、赤カブ漬け
・精進年越し蕎麦
今日も1日原稿書き。
「もう鍋はやめてくれ!」と叫ぶ息子を説き伏せ、お昼も鍋もの。
仕上げにうまみの出ただしに、ゆでたそうめんと三つ葉、ゆずの皮を散らして
にゅうめんを作ったが、これがなかなかおいしかった。
塩鍋→にゅうめんというのは、おすすめ。
晩ごはんは、今年のデトックスモードで、20年ものの豆味噌を冷蔵庫の奥から引っ張り出し、根菜たっぷりの味噌汁を作り、発芽玄米ご飯を食べた。
原稿は夕方にはほぼ仕上げ、夜はNHKの紅白を観ながら精進仕立ての年越し蕎麦を食べた。
ごぼうと舞茸と油揚げを入れたつゆにはこくと香りがあり、蕎麦にとても合う。息子には、地鶏を入れた。
原稿の仕事をためこむと本当に大変だが、集中して書き、
終わった後の爽快感は何ものにもかえがたい。来年も同じパターンを続けそう……。
というか、私は一生こんなふうにしか仕事ができないかもしれない。
1月1日(日) 晴れ
[昼]
友人宅にて
・銀座「六雁」のおせち
・長野「犀北館ホテル」の信州産食材の
ヘルシーおせち
[夜]
・3分づき米の5分粥
・野沢菜古漬け
・千石黒豆の塩煮
・紅芯大根の酢漬け
・山ゴボウのしょうゆ漬け
・海苔
◎ 「六雁」の五段重
◎ 「犀北館ホテル」の三段重
10年以上前から、毎年元旦は、友人宅で選りすぐりの豪華おせち料理を
ごちそうになっている。妹夫婦や私の息子、知り合いも参加し、
にぎやかにワインや日本酒とともに味わった
(私は魚介類をほんの少しいただく程度で、もっぱら野菜担当)。
今年は、銀座の日本料理店「六雁」の伝統的なおせち料理が球体のモダンな
お重に入ったものと、信州産のぜいたくな幸をふんだんに使ってヘルシーにまとめた
「犀北館ホテル」のおせちの2種。
メニューを見ているだけでもその贅沢さがわかるが、
こうしたおせちは毎年私の刺激になっている。
今回も、六雁のパプリカの南蛮漬けやドライトマト紅白なます
(ドライトマトのコクや酸味が大根なますとよく調和していた)、
犀北館ホテルの天城のワサビであえた黒豆の蜜煮など、
参考になるなぁと思うものがあった。
いつももてなしてくれる友人には、心から感謝している。
中・高校生の頃の私は、おせち料理を手作りしていた。
他にも、塩で〆た鮭と酢漬けのカブで紅白の笹寿司も作ったりして、
家族にも好評だった。
ただ、年末に料理を頑張りすぎて、お正月は寝込んでいることが多かったが……。
贅沢おせちのあとは、お粥にするのが恒例。
お粥のおともは、冷蔵庫の常備菜や漬けものたち。
土鍋でゆっくりと炊いたお粥は、食べ疲れた体にやさしく染みてゆく。
1月2日(月) 晴れ
[昼]
・玄米餅と海苔のお雑煮
・山ゴボウのしょうゆ漬け
・大根なます、いくらの白しょうゆ漬け
・千石黒豆の塩煮
・にんじん芋のきんとん
[夜]
・梅干しのおにぎり
・大根と海老芋と三つ葉の味噌汁
・赤カブ漬け
私がこのお正月に作った料理は
・山ゴボウのしょうゆ漬け
・千石黒豆煮
・人参芋のきんとん の3つだけ。
もちろん砂糖もだしも使わず、塩やしょうゆだけでシンプルに仕上げて。
元旦に豪華なおせちを食べているという理由もあるが、
昔と違って普段からごちそうを食べているので、年末年始は胃腸を休め、
どちらかというとデトックスしたいと思う。
私のお雑煮は、昆布だしをしょうゆと塩で調味し、小松菜と海藻ときのこ入れた汁に、
焼いた玄米餅を入れるのが定番。
鳥取の実家では、小豆を煮て丸餅を入れ、その上にお砂糖をかけるという
お汁粉のようなお雑煮だった。私は小豆も餅も砂糖も好きではなかったので、
お正月のお雑煮が大嫌いだったのだ。
地方によっていろいろなお雑煮があるようだが、私は伝統にとらわれず、
自分がおいしいと思えて、体も喜ぶものを作りたい。
1月3日(火) 晴れ
[昼]
・野菜の塩味中華丼
・大根のなます、ブロッコリースプラウト
お昼ごろまで寝て、ごはんを食べたらまた夕方まで昼寝、そのまま夜も寝た……
という寝正月の1日。
お昼は息子のリクエストで中華丼を作った。
ごま油でしょうがのみじん切りを炒め、いろいろな野菜やきのこを塩をふりながら炒めたら塩を加えた昆布だしでさっと煮て、吉野葛でとじたものをごはんにかける。
炒める時に塩を加えることで野菜の甘みを引き出し、
その塩によって野菜から出た水分で、昆布だしにはこくや甘みが加わる。
1月4日(水) 晴れ
[昼]
・うどん鍋
(白菜、地鶏、大根、油揚げ、海老芋)
・ベビーリーフとスプラウトと
スモークサーモンのサラダ
・赤かぶ漬け
・3分づきごはん
今日も基本寝正月。
そして性懲りもなく、またお昼から鍋。
大学生の長男、高校生の次男の2人が揃うと異常な量を食べるので、
大きな鍋でたっぷり作らないとお腹が満たされず、
食後にラーメンやチャーハンを追加で作らされるはめになる。
今日は、鍋の前に、炊きたてのごはんでおにぎりを作ってまず食べさせ、
それから鍋という流れにした。
ちなみに私の作るおにぎりは、息子たちに
「セブンイレブンのおにぎりを超えた究極のおにぎり」と評され、すこぶる受けがよい。
天日塩をしっかり手につけ、くずれないぎりぎりのやわらかさに握っているだけなのだけど。
私は明日から温泉旅館に行ってごちそうを食べるので、
晩ごはんは米グルトだけにした。
1月5日(木) 晴れ
[昼]
「ホテルクラスカ」にて
・にんじんと小柱とトマトのスパゲッティ
・生野菜のサラダ
・パンプキンスープ
+カフェラテ
[夜]
「ATAMI 海峯楼」にて
・前菜
淀大根鴨味噌掛け
鼈甲玉子酒盗漬け
壬生菜胡麻和え
海老野沢菜寿司
玉子真丈雲丹焼き
鯖蕪寿司
・お椀
蛤吉野葛打ちほか
・お造り
鮪 赤貝 青利烏賊 甘鯛昆布締め
・炊合
雲子鍋 湯葉 海老芋 水菜ほか
・強肴
甘鯛塩焼き 南京 長芋 菜の花
・食事
鯛御飯魔釜炊き、留め椀、香の物
・三宝柑のムースとシャーベット
・栗善ざい
+生ビール、純米酒
午前中外出していた息子から突然電話があり、
「彼女を紹介したいので、ランチを一緒に食べよう」とのこと。
急いで支度をし、たまたま来ていた妹と次男と一緒に近所のホテルで会食をした。
息子の彼女と会うのは初めてのことで、少し緊張したが、
かわいらしい女性でひと安心。
将来息子たちが結婚すると、私にも嫁×姑の関係ができたり、孫ができるのかと思うと、もうそんな年齢なんだと複雑な心境になる……。
みんなと別れ、私はお昼の新幹線で友人と「ATAMI 海峯楼」へ。
毎年お正月休みに1泊で温泉に出かけていて、今回は熱海。
元はバンダイの迎賓館だったという建物を改装したもので、
水とガラスのアートな空間が広がる4部屋だけの贅沢な宿。
お部屋からの眺めも、ダイニングからの眺めも、眼下に海が広がり最高だった。
4組だけなので、大浴場を時間で区切って貸し切りにしてくれる
素晴らしいサービスがあり、とてもゆっくりできた。
もちろん、お料理も美しく、手の込んだ素晴らしいものだった。
1月6日(金) 晴れ
[朝]
・豆乳湯豆腐
・根菜の葛煮
・アジの干物焼き
・たたきごぼう
・春菊のお浸し
・生野菜の胡麻ドレッシングサラダ
・土鍋ご飯、味噌汁
・自家製漬けもの、
お茶の葉のつくだ煮、じゃこ山椒
・フルーツ
+コーヒー
[夜]
居酒屋にて
・よせ鍋、うどん
+純米酒の燗酒
朝ゆっくりと温泉に入り、美しい海を見ながら豪華な和朝食をいただき、
新幹線で東京へ戻る。
午後は長男に頼まれ、アパートの大掃除に行った。
半端なく散らかって、ホコリもゴミもいっぱいで、片付けて掃除するのに終電近くまでかかった。
押し入れや引き出しのものをすべて出し、必要のないものを捨てさせ、
隅々のホコリをとって拭いたら、ごみ箱のような部屋が居心地のよい空間に変わった。
なんとか維持してほしいものだ。
朝しっかり食べたのでお昼は抜き、夜は息子のアパートの近くの居酒屋で
よせ鍋と燗酒で、掃除で冷えて疲れた体をあたためた。
1月7日(土) 晴れ
[夜]
・玄米餅入り七草粥(3分づき米)
・赤カブ漬け
妹と「ノルド」で待ち合わせて、パスタランチを食べながら今年の仕事の打ち合わせ。
お店を始めて11年になるので、新しい仕事の展開を模索中だ。
夜は、3分づき米で作る七草がゆで野草のパワーを体に入れ、
お正月のごちそうで停滞気味の体をデトックスした。
[著者略歴]
カノウユミコ
鳥取県の専業農家に生まれる。生来の料理好き。高校生の頃から自然食に興味を持ち、ベジタリアン料理、精進料理を研究する。精進料理「菜懐石 仙」のオーナーシェフ。家庭でかんたんに楽しめるベジタリアン料理教室も主宰する。著書に 『菜菜ごはん』 『ますます菜菜ごはん』 『菜菜スイーツ』 『菜菜ランチ』 『菜菜おつまみ』 『菜菜おつまみ2』(すべて柴田書店)、『やさいのかみさま』(小学館)、『ベストヒット野菜料理』(講談社)ほか多数。最新刊は『菜菜おつまみ2』。
投稿者 webmaster : 2012年01月11日 13:52