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2010年04月16日
ベテランシェフの熱き仕事に迫る一冊!! 編集担当者より♪
『北島素幸のフランス料理』
著者:北島素幸
発行年月:2010年4月14日
判型:B5変 頁数:176頁
北島シェフのイメージをひと言で表すとしたら
「豪快」や「ダイナミック」でしょうか。
初めてシェフにお会いした10年前、私自身もそんな印象を抱いていました。
ところが、何度か取材させていただくうちに
「ちょっと違うなぁ」と思うように。なんていうか、
とても繊細なのです。
たとえば、シェフがフランス修業時代から
今まで書き溜めているノート。
片っ端から見せていただきましたが、
とにかく記述がこまやかで、聞けば「一度の食事について朝まで書くこともある」とか。
シェフにとってノートに向かう時間は自分に対峙する時間。
レシピや食べた感想はもちろん、「自分ならどうする?」とおのれを振り返りながら書くから、
1回のメモが何十ページにも及んだりするのでしょう。
当然、誰かに読ませることを意識していないので言葉は率直。
そのぶん心に響きます。
「シメサバ(注・サバのマリネ)はもっとエレガントにならないものか?」
「50にしてハナタレ小僧」「北島頑張れ、いい料理できる」などは、
個人的にぐっときた言葉です。
シェフの書く習慣は普段からで、通勤中に浮かんだことなどもまめにメモしています。
こうしたこまやかな部分が、北島亭のダイナミックだけど
緻密な料理を支えているのだ、と取材を通して実感しました。
(左) のどぐろのヴァプール、赤ワインソース
(右) 真鯛のグルエ、ラタトゥイユ添え
(左) 金目鯛のポワレ、シェルーヴィネガーソース
(右) 和牛ランプ肉のステーキ、エシャロットソース
この本を作る時、北島シェフは「料理だけでなく、
料理人という仕事やオーナーシェフとして大切なことを語りたい」と言いました。
「だってみんな悩んでるよ。
僕には料理よりむしろ、小さい店をどう切り盛りしていくかを聞きたいんじゃないかな」と。
そこで本の後半では、「オーナーシェフの仕事」「悪条件だから勉強になる」
「本当の愛情って何だ?(スタッフの問題)」など、
シェフが普段考えていることや若い人へのアドバイスを語ってもらいました。
この後半部分が、本書のひとつの目玉です
(北島亭のスペシャリテは前半でみっちり紹介しています)。
カッコつけた言葉はひとつもありません。
すべて北島シェフの率直な思いです。
今は飲食店(とくにある程度の客単価のレストラン)にとっては
大変厳しい時代ですが、この本を読んだオーナーシェフとその予備軍の方たちが
「俺も北島さんと一緒に頑張ろう」と思ってもらえたら嬉しいです。
投稿者 webmaster : 2010年04月16日 15:09