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2010年07月09日

本音の飲食店

15323.jpg『本音の飲食店』
著者:稲本健一
発行年月:2010年7月14日
判型:四六 頁数:176頁


「稲本さんの考えかたを本にしましょう」

そんな話をしたのは、思えばずいぶん前のことのような気がする。
実際に本が1冊できあがるまでに、何度も何度も、何度も稲本社長と会い、
膝を突き合わせて議論した。
イナケンワールドには、いままでの飲食業の経営者にはない、
まったく新しい風が吹いていて、わたしたち編集サイドもそれは感じているのだけど、
どこに入口が、あるいは出口があるのか、わからないまま進んでいった。

飲食業の経営ノウハウ書は多い。
社長の人生を振り返る本も少なくない。
いわゆる「自伝的な本」だ。
でも、そのどちらもつくりたくない。
新しい形にできるか? ひとつの賭けだった。

稲本社長の口から「本音の飲食店」というタイトルが出た時、
わたしたちは思わずうなずいた。
あ、これは、こういう本だったんだな。という感慨が生まれてきた。
こうなると本づくりはスムーズに進む。
デザインも、あまり迷うことなくシンプル路線に決まった。

語り口は、あくまでイナケン流でやさしく、
ひとつのテーマも2、3頁程度で読み終わる。
エッセイのようだが、エッセイと言うわけでもない。
著者はプロの文筆家ではなく実務家だから、
お腹の底から本音の言葉が出てくる。
それが、この本の大きなテーマになっている。
ただし、現場で何百人のスタッフを鍛え上げた言葉のエネルギーは半端ではない。


編集担当として泣けたフレーズは、これ。

「僕の人生は、飲食店とともにあったといっても過言ではありません。
何しろ僕はこの飲食店から、すべてのものを学んできた。
もし、この職業にめぐり会わなかったら何をしていたかと聞かれても、
答えようがないぐらい、僕には飲食店しかありませんでした」

真っ直ぐな、あまりに真正直な仕事への愛の告白に心を打たれる9頁め。
あなたも本書を読んでもう一度、仕事と向き合ってみませんか。


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投稿者 webmaster : 2010年07月09日 16:48