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2011年03月24日

おいしいパンには理由がある! 『基礎からわかる製パン技術』 編集担当者より♪

06107.jpg『基礎からわかる製パン技術』
著者:吉野精一
発行年月:2011年3月22日
判型:AB 頁数:248頁


白く、やわらかな混沌。
パンの神様に試され続けた3年間。

まずは、3月11日に発生した東北関東大震災で被災された皆様に、
心よりお見舞い申し上げます。
今回ご紹介いたしますのは、地震のときにちょうど製本していた本。
パンの専門書です。
パンはご飯にくらべて日持ちがするため、
被災地で食事として活用されているようです。
この本を読んだ方がつくったパンが、
被災地に届けられたりすることもあるかもしれません。
被災された皆様の日々の暮らしの支えとして、また今後の復興に、
弊社の刊行物が少しでもお役に立てれば幸いです。


この本は、足かけ3年のプロジェクトでした。
3年を通じてわかったのは、パンの奥深さ。パンづくりは“道”なのです。
この道を究めるには、修行僧並みの鍛錬と悟りが必要なのでした。
煩悩まみれの担当編集者は、パンの神様に試されては
奈落の底に突き落とされる苦行の日々でした。


修行の第一段階は、生地をこねるミキシングです。
著者である大阪辻製パンカレッジの教授陣が
ミキサーに材料を投入、スイッチ・オン。
小麦粉と水が混ざり、徐々に生地に変わっていきます。
白くてやわらかそうで、顔を書いたら癒し系キャラになりそう。
くちゃくちゃ、もちゃもちゃ、ぱたぱた……
生地は一定のリズムでぐるぐる回り続け、
眠気にも似た気持ちよさを誘います。
それを凝視している担当編集者は……


◎ 1分経過
06107_1a.jpg あら、なんだか視界の周辺部がぼんやりしてきた。
ちょっと眼の調子が悪いのかも。
「最初は材料を混合する過程です」と先生。
ふむふむ、そうなのね、と先生の説明をメモするわたし。

◎4分経過
06107_2b.jpgあれ、頭がぼーっとしてきた。
いけない、仕事中なのに。
緊張感が足りないんだわ。ん??
でも、このぼーっと感、なんだか心地いい。
「生地が少しずつまとまってきましたよ。
ほら、つながってきたでしょう?」という先生の声が、妙に遠い。あー、どんどん遠くなる……。

◎8分経過
06107_3c.jpgここにいるのは、白くやわらかいパン生地とわたしだけ。
押しよせるアルファ波の中で、心地よさに負けて堕ちていくわたし。もう、あらがうのはやめよう。こんなに気持ちがいいんだもの。
何なんだろう、この白いモノが生み出す心地よい混沌は……。

突然、がちゃんとミキサーが止まり、
「こね上がりましたよ」という先生の声。
一気に現実の世界に引き戻されます。
あっ、ここは大阪の辻製パンマスターカレッジ。
いけない、わたしは取材中。
パンの神様、ごめんなさい。次は、絶対に理性を失わないようにします。

そんな自堕落な編集者を、悟りの境地におられる
吉野先生、梶原先生、浅田先生、伊藤先生、宮崎先生、
そして辻静雄料理教育研究所の近藤乃里子先生が、
正しく導いてくださいました。
白くやわらかな混沌から、すばらしいパンの数々を生み出してくれたのです。


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はっと我に返ったら、そこはフランス。


『パン・トラディショネル バゲット』


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お隣りドイツにも、パンの神様がたくさんいそう。


『シュヴァイツァーブロート』


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イタリアのパンは、どれもとても個性的。


『パーネ・トスカーノ』

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ごまたっぷりの輪っかは、トルコの名物。


『スィミット』


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え? オランダ? なんで米の粉で上がけ?
(本を読むとわかります)


『タイガーブロート』


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もちろん日本人が大好きなパンも勢揃い。


『ハードトースト』


67種類ものパンレシピを製パン科学とともに紹介するこの本は、
まさに求道の書、バイブルです。

パン職人を目指す皆さん、本書を片手にパン道を突き進んでくださいね。


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投稿者 webmaster : 2011年03月24日 09:31