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2011年04月19日

20州の地方料理を背景とともに通観できる! 『イタリアの地方料理』 編集担当者より♪

06111.jpg『イタリアの地方料理』
柴田書店編
発行年月:2011年4月5日
判型:B5変 頁数:432頁


06111_3.jpg 今年はイタリア統一150周年の記念すべき年です。
 え? そんなに短いわけないでしょ、と思われる方も多いかと思いますが、イタリア半島ではいくつもの都市国家が分裂している時代が長く続いていて、いわゆるイタリアという統一国家は存在しなかったのです。それが、サヴォイア家が統治するサルデーニャ王国を中心に統一され、イタリア王国が誕生したのが1861年3月17日(現在のイタリア共和国が誕生したのは1946年)。

今からわずか150年前のことなんですね。
イタリア本国では150周年を祝して、いろいろな祝賀行事、記念行事などが計画されているようです。
また日本でも、NHKのBSハイビジョンでは年始早々、イタリア関連番組が100本以上集中放送されました。今年は何といっても「イタリア!」なのです。
 
 というわけで、本題へ。
 
 本書は、2005年に刊行したムック版「イタリア地方料理の探究」に、大幅に追加撮影・取材をし、加筆して再構成したものです。単行本にするにあたっては、【料理篇】担当として新しいシェフにも加わっていただき、料理も一から見直しました。
 
「この州で代表的な伝統料理というとどんなものがありますか?」
「この地で修業時代にどんな料理を出されていましたか?」
「現地で印象に残った料理は?」そういうやりとりから始まって、
「それは別の州でも登場していますね」
「プリモ・ピアットに特徴のある州ですからプリモをもっと多くしましょうか」
「よりはずせないのはどちらの料理でしょう」などなど無理なご相談を重ね、シェフの方々のご協力のおかげで、20州を代表する料理を計280品ほどに絞り込むことができました。

 絞り込むと、と言葉で言うのは簡単ですが、これは実に大変な作業でした。
あれも載せたい、これも捨てがたいと、候補に挙がった料理は倍近くあったと思います。
2州、3州で重なっている料理もあり(それはそうでしょう)、似通っている料理となれば数知れず(ごもっとも)、いまや全国的につくられている料理もある(イタリアだって変わっているんです)。この料理をこの州に入れる、そうなると素材が重ならないようにこっちの州にはこの料理を入れて、そうすると調理法が重なってしまうからこちらの州の料理をこれに変えて……と。限られた紙幅で、各州の特徴がより明確に伝わるように、なおかつできるだけバラエティに富んだ料理を紹介しようと思うと、それはもう、複雑きわまりないパズリング状態です。

 そして選びに選んだつもりでも、いざ並べてみると、あれも足りない、これも抜けてる、こちらのほうがよかったのでは……とキリがありません。でもそんなことは端からわかっていたことです。イタリアの地方料理を280品やそこらで説明できるわけがありませんから。さらにあるシェフのお言葉を借りれば、「イタリアの地方料理を20州で区切ること自体、とても乱暴なことだと思いますよ」。確かに。本書では便宜上、現在のイタリアの行政区分である20州に分けていますが、州境に万里の長城のような壁が築かれているわけでもなく、線が引いてあるわけでもありません。たとえ州は違っても、お隣りどうし、同じようなものを食べているはずです。
 
 そんな言い訳をしながらの編集作業。【知識篇】では、さらなる苦闘が私たちを待ち受けていました。432頁という頁数からして覚悟はしていたのですが、思った以上に時間がかかってしまったのは言うまでもありません。そして長い長い道のりを経てようやく責了し、すべて手を放したまさにその日、東日本大震災がありました。
 
 いろいろな意味で忘れられない本になりました。

06111_2.jpg ちなみに、カバーは、版画家として世界的に知られる長谷川潔氏の初期の作品で、世界遺産にも登録されているアッシジのサンタ・キヤラ古寺(サンタ・キアーラ聖堂とも)を描いたもの。

そしてカバーをはずすとまったく違ったテイストの本になり、本棚に立てた時、机の上に無造作に置いた時、むしろイタリアっぽい感じがするかもしれません(というか、ちょっとそれを狙いました!)。いずれにしても、ペラペラとめくりながら、メモ書きなど加えながら、ご自身のノートとして使い込んでほしい本です。


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投稿者 webmaster : 2011年04月19日 10:52