« 料理本のソムリエ [ vol.24 ] | TOPページへ | 料理本のソムリエ [ vol.25 ] »
2011年07月04日
『簡素なお菓子』 Part 4
『簡素なお菓子』
著者:河田勝彦
発行年月:2011年5月14日
判型:B5変 頁数:96頁
同じ生地でバリエーションをつくるのはいやだから
各章の扉頁(最初の頁)の原稿をまとめるとき、
「ケーク」の章で河田シェフがいったこと。
「同じ生地の配合でマーブル状にする、
チョコレート味にするといったバリエーションをつくることはいやだから、
生地は何種類かを考えてつくりました。
材料の違いでお菓子の味や食感、表情も変わってきます。
材料や配合によって表現の違いがあることを知ってほしい」
一般向けのお菓子本を考えるとき、
ジェノワーズ生地ならジェノワーズのバリエーションをつくり、
たとえばショートケーキ仕立てにして挟むクリームやフルーツを変える、
といったような手法をとることが多いような気がします。ラクですから。
でも、河田さんはそういうこと考えもしませんでした。
読者が一般の方であっても、常に 「表現する」 ことを考えます。
どんな材料だったら、どう違うかと。
若いときからそう考えてお菓子と向き合ってきたのです。
そういえば、
『ベーシックは美味しい』の本をつくったときも、
ジェノワーズならジェノワーズの基本生地は1種類ではなくて、
ひとつのお菓子にほぼひとつの生地をつくっていたことを思い出します。
このお菓子にはこの生地が合う、
という発想でお菓子を表現してきたのですね。
『簡素なお菓子』であっても、読者が一般の方であっても、
その姿勢は崩さないのです。
この本のレシピを生み出すのにも
河田さんがおいしいものを目指して表現してきた経験が詰まっています
(プロの方はその配合などを解析したらいいかもしれません)。
とはいえ、ご心配なきよう。
『簡素なお菓子』は、
私にもつくれちゃいそうなくらい簡単なレシピがほとんどです。
投稿者 webmaster : 2011年07月04日 10:22