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2011年09月21日
『トーキョーバル』 担当編集者より♪
『トーキョーバル』
柴田書店編
発行年月:2011年9月20日
判型:B5変 頁数:232頁
いま、都心の繁華街ではあらゆるスタイルのバル・バールを体験することができます。
銀座もそんな街のひとつ。
私のある日の足取りをトレースしながら、銀座の人気店をご案内しましょう。
(1) イタリアンバール ラ ヴィオラ
15時。
銀座の中心部、並木通りに店を構えるラ ヴィオラは、待ち合わせにうってつけ。
大理石の長いカウンターを設えたモダンでエレガントな空間は、
“大人”な銀座のイメージにぴったりだ。
11時 ― 23時までの通し営業で、昼飲みも可能。
スタンディングのフロアを選べば、料理もドリンクも着席スタイルのサロンより
割安と気がきいている。
スプマンテと「プチトマトのピクルス」をオーダーし、
人を待つ。
しかし、30分経過も現れず、
「ズッキーニとベーコンのパニーノ」を追加注文。
小腹が満たされ、イライラが静まったころ、
待ち人到着。
(2) バル デ エスパーニャ ペロ
17時30分。
口開けのタイミングで入店。
本場スペインのバルをストレートに再現した店で、
スペイン人のF1レーサー、フェルナンド・アロンソも
日本グランプリの際に立ち寄るという。
スターターに選んだのは、
白ワインと「イベリコハムとポテト、しし唐」。
次第に店内は賑やかになり、
「素敵な店ね」と喜ぶ連れの表情に、
私の気分も上々。
スペインづくしのワインとつまみを堪能し、
「魚介のパエリア」で締める。
よし、調子にのってもう1軒。
(3) スペインバル&レストラン バニュルス
21時。
店の外に置かれた酒樽をテーブル代わりに、楽しそうに酒を飲む人々。
先の2店よりもぐっとカジュアルな印象。
われわれも酒樽を確保し、
白ワインを立ち飲みしながら、
「吉田豚と鶏白レバーのパテ」をつつく。
グラスワインのリストをあらためて眺めると、
約20銘柄とバラエティに富んだ品揃え。
このタイミングが勝負どころと見極め、ワインのうんちくを披露する。
ところが、「2階は落ち着いた感じのレストランみたいだよ。
今度はそっちに行きたいな」と言い残し、去っていく連れ。
荒れた心を癒すべく、次の店に。
(4) カレーとワイン ポール
23時。
ラストオーダーのタイミングで入店。
グラスになみなみ注がれた赤ワイン、
そして「自家製ソーセージ」と「カレードリア」で、
やけ食い・やけ飲み反省会スタート(ひとり)。
カスレやシャルキュトリーなど
ビストロ的なメニューの中にカレードリア。
その謎に迫るのは後にして、
今日の出来事をふり返ってみる。
店のチョイスは最高。
反省点があるとすればトークということか。
傷心する私。
フレンドリーな接客、リーズナブルな価格
―― そんな店のやさしさは、せめてもの救いだ。
これは給料日直後で、なおかつテンション高めの時の特別コース。
もちろん、どの店もいろんなシーンで使えるし、ひとり飲みもウェルカム。
便利で気軽、そのうえ料理のジャンルや空間デザインなど店のスタイルはいろいろ
―― なのにどの店も銀座になじむ空気感を持っているところが、
私のおすすめポイントです。
バルの本場スペインには、どの街にも地域の社交場として愛されるバルがあるといいます。そんな文化は遠く離れた日本にも根付き、住宅地には東京・三鷹の 「三鷹バル」 や代田の 「世田谷バル」 のように、地方に目を向ければ大阪の 「エル ポニエンテ ゴソ」 や京都の 「ポキート」 のように、地域のニーズやその土地土地の風土に合ったスタイルで、たくさんの花を咲かせています。
本書に収録した人気店のメニューと店づくりに、“ニッポン”のバル・バールのいまを感じてください。
投稿者 webmaster : 2011年09月21日 14:28