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2012年03月23日
『専門料理2012年4月号』 編集後記より
『専門料理2012年4月号』
発行年月:2012年3月19日
判型:A4変 頁数:168頁
特集:人気料理、自信作 “支持される品”の作り方
「気になるあの店の定番料理を、徹底解剖しました!」
「料理体系の完成度とシェフ個人の創意、その両方に驚かされます」
「あの店の、あの料理が食べたい!」と無性に思うこと、ありますよね。
今月号では、そんな「人気料理、自信作」の技術ポイントを
徹底的に紹介します!
フランス料理からは3シェフが登場。共通して思ったのは、
やはりフランス料理は手がかかっているなあ、ということ。
五十嵐シェフ(マノアール・ダスティン。14ページ)の料理(写真1)は、
フォワグラのテリーヌ、仔牛の胸腺肉のコンフィ、ウナギのタレ焼き、
コンソメのジュレが1品の中に詰まったぜいたくなもの。
それでいて一つひとつの食材が主張しすぎず、
一体感があるのがすごい技術といい食材といい、
まさに「この一切れの中にフランス料理の宇宙がある」。
イタリア料理からも同じく3氏が登場。
こちらは郷土料理を再現しつつ、さらに完成度を高めるというのが共通項。
早川シェフ(トラットリア イ・ビスケロ。32ページ)の
自信作は、「ミートソース」。
早川さんは、挽き肉をハンバーグみたいな塊にして表面を焼き固めて、
塊のまま煮込むんだって(写真2)。
そうして挽き肉の旨みを閉じ込める。
誰もが作れる「ミートソース」だけど、
やっぱりプロの技はひと味違いますね。
プロの技といえば、中国料理もそう。
南シェフ(一碗水。43ページ)は、鍋1つで完結する料理を見せてくれた。
調理時間はあっという間で、すべての工程にムダがなく、
すべての動きの意味が最後につながって一品になる。
中国料理の体系の完成度の高さに驚きました。
では、日本料理は?
高畑さん(太庵。46ページ)と山本さん(日本料理 龍吟。49ページ)が、
ともに肉料理を見せてくれました。
今は日本料理にも肉料理が求められる時代。
高畑さんは、「箸が通る柔らかさと、コースに無理なく組み込める
穏やかな味わい」を重視していたね。
一方で山本さんは、「真鴨の皮を乾かす」ことへの
突き詰め方がすごかった!(写真3)。
使った道具はバーナー、液体窒素、そして舌ブラシ!
こんなの、どうやったら思いつくんでしょう?
今回の山本さんの料理の調理工程は、YouTubeにアップされています。
みなさん、チェックです!
もう一つの企画は「春! 旬の定番・評判メニュー15」。
春といえば仔羊、山菜、アスパラガス……。食欲の春です。
芽吹き時の食材は「気」を蓄えているっていうけれど、
まさにそんなエネルギーを感じる料理が揃ったね。
これを糧に、明日からまたがんばっていきます!
大震災から1年。
専門料理では今後も被災地の取組みを追っていきます
この3月で、東日本大震災からまる1年。
連載「東北から 食の震災 食の復興」(108ページ)では、
福島と宮城の米をめぐる現在の状況を取材しました。
福島県の米農家、鈴木博之さんによると今年の米は味もよく、
放射性物質は概ね10Bq/kg以下。
それでも「『安全ですか?』の問いに
自信を持って答えられないのが辛い」という言葉が胸に刺さった。
鈴木さんは、よりセシウムの移行が少ない米作りに
取り組んでいくそうです。
被災地には、復興に向けて苦闘を続ける生産者や料理人がたくさんいます。
今後も、長期的視点に立ってそうした取り組みを
紹介していきたいと思います。
投稿者 webmaster : 2012年03月23日 14:33