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2012年06月29日
『五十嵐美幸のやっぱり野菜料理よ!!』
『五十嵐美幸のやっぱり野菜料理よ!!』
著者:五十嵐美幸
発行年月:2012年7月2日
判型:B5 頁数:120頁
撮影当日は、昼12時スタートということでお店にお邪魔したわけです。
メニュー数は全70品。
前の晩、徹夜で仕込み、朝方、ほんの少し仮眠を取っただけというお話。
……カメラマンと私、何も言えなくなりました。
ただうつむいただけ。
ホント言うと、70品撮るとは聞いていたけど、
まさか一日で、と思っていたわけ。
五十嵐美幸シェフ、スタッフの皆さま、お疲れさまです。
そして、ありがとうございます。
ちょっとだけご紹介。
◎キュウリのゼリー寄せ
ゴマホイップソースかけ
透明感のある色鮮やかなキュウリのゼリー、
訴求力を持つ前菜。
キュウリ特有の風味が
ダイレクトに伝わる味わい。
ゴマとの相性もバッチリ!
◎カリフラワーの
タルタルソース
カリフラワーと白菜の浅漬け、
薬味系のみじん切りでつくるソース。
本書では、鶏の揚げ物に合わせてますが、
さまざまな料理にもつかえる万能ソース。
◎サツマイモの豚しゃぶ巻き
ニンニクソースかけ
豚肉とサツマイモの合わせワザ、
ニンニクの風味で食が進みます。
サツマイモのやさしい甘さも絶妙で
おかずにもお酒のお供にもおすすめ。
◎ニラ玉
食べると瞬間的に強い香りが広がるニラ。
おなじみの料理も、黄ニラを使うと
目先が変わります。
玉子とニラを別々に調理するので、
ニラの食感と香りがより楽しめる。
◎カブプリン 蟹ソース
炒めてつくるカブのとろとろプリン、
複層仕立ての味わいです。
見た目は淡白そうですが、
実は、しっかりとした味わい。
ぜひ、食感を味わってみてください。
「その後、撮影は順調に進み、って美虎さんの頑張りなんだけどね、これ。
お店まで休んでいただき、途中、夕方4時頃に30分間だけ休憩。撮了が夜の8時半でした。
「いやー、8時には終わらせたかったなあ」と
五十嵐シェフ。 実にタフですねえ。
で、料理に対する熱意と思い、
タフネスでできた本なのです。
これは、ぜひとも買うざます!!
投稿者 webmaster : 16:13
2012年06月21日
料理本のソムリエ [vol.44]
【 vol.44 】
「まったり」についてマターリと語ってみた
梅雨入り前の6月の晴れの日。行ってきましたよー、東京スカイツリー。近くに会社がある特権ですからね。○○と煙はぐんぐん高いところへと向かいますよ。
浅草から東武線に乗るとあらびっくり。業平橋駅がカナばかりの長ーい名前になってるぞ? この“とうきょうスカイツリー駅”と京成線の押上駅を付帯施設のソラマチがつないでおりまして、スカイツリーはその真ん中あたりにそびえています。団体さんは1階から入りますが、個人の入口は4階の露天の広場スカイアリーナから。見ろ! 人がゴミのようだ! はっはっは!
すみません、嘘です。完全予約制ですからおいそれと登れるわけがありません。東京タワーよりも高い展望台ですから、たぶん道行く人の頭なんぞは、ミジンコどころか針の先っぽでしょう。
ここに来た本当の目的はソラマチの料飲施設の偵察です。観光客の流れをかきわけかきわけ、目的の店までたどり着くとこれまた結構な長さの列。平日の昼間なのに、早くも涙目です。2軒はしごして食事をしたところで、もうギブアップ。同行願った私の先輩はさっそうと3軒目へ足をのばすべく消えてしまいましたが、私はここでまったりスカイツリーでも眺めているといたしましょう。下を向くと苦しいからちょうどいいや。
ところで、この「まったり」なんですけどね。もはや当たり前のように、ゆったり、ゆるーりという意味で使われる言葉になっておりますな。バブルの頃は料理の味の表現として一世を風靡したのですが、今はそっちの用途で見かけるほうが少なくなりました。
2003年刊の『「ことばの雑学」放送局』ではこうしたゆったり系の使い方を間違った大阪弁として紹介しております。さらに『ワードウオッチング ― 現代語のフロッピィ』(私家版・1999年)を取り上げて、ジベタリアンやポスト・バブルのフリーター予備軍の行動様式の形容で使われた事例から、もともとどんより、どろんとしたといったマイナス評価の言葉だったという指摘を紹介しています。なんだか死語だらけですが、流行語をとらえようとすると自然にこうなってしまうかもしれませんね。当時を知る者としては、確かにかつての「まったり」には、そんな投げやりなニュアンスがあった気がします。
ただ、味の表現としての「まったり」の使われ方については、この本からはわかりません。これに関しては、朝日新聞1999年5月22日夕刊の「探検キーワード」でかなり大きなスペースを割いて取り上げているという追記がありました。さっそく見てみましたよ。記事では、80年代半ばに料理評論家の山本益博氏が好んで使っていたと紹介されています。取材を受けた山本氏は「意識して使った記憶はないんですよね」と前置きしながらも、「今にして思うと、上質のフランス料理の、クリームやバターをたっぷり使っていながらすっきり切れのある表現にピタっときたのでしょう」とまんざらでもなさそうです。
ところが99年10月に文庫化された『決定版日本グルメ語辞典』に解説を寄せた山本氏は、自身が本書中でまったりを東京の文化圏で定着させる上で大きな功績のあった人物として描かれているのに異議を唱えておりまして、<わたしの知る限り、まったりの初出は、漫画『美味しんぼ』ではなかろうか>と、その栄誉を譲っております(ちなみにこの本、文庫化前の原題は『食味形容語辞典』なんですが、実際は料理関係の文章表現にことよせたエッセイで、決定版でも辞典でもありません)。さらに山本氏はお茶の家元に、京都ではまったりという表現をどんなときに使うかたずねてみたところ「料理や味には使いませんわ。そうですなぁ、まったりした湯かげんですなぁ、なんていうふうに使いますかしら……」という答えが返ってきたそうで、<フランス料理の凝ったソースではなく、日本料理のお椀の味などにぴったりの形容語ではなかろうか、とそのとき思ったものである>と結論しております。
うーん、どうして湯加減がお椀に結びつくのかよくわかりませんが、お椀の温度なんでしょうか。千澄子氏のカラーブックス『京のお番菜』の写真に「白みそはまったりした味で」ってキャプションが入ってるところをみると、味噌仕立の椀のことかしら? でも、こちらのお茶の先生てば、料理や味には使わないって言ってるし。流派の違いですかね?
ちなみに83年から連載が始まった『美味しんぼ』では「まったり」は早くも1巻第2話で登場します。フォワグラを食べた栗田さんの「まったりとこくのある味が口の中にとろけるようにひろがって…そしてこの香り…」という感想でした。「まったりとしていてそれでいて少しもしつこくない」っていうのが決めゼリフのように知られていますが、どの辺の話に出てくるのでしょう。3巻第3話でスッポンを食べた栗田さんは「こってりとしていて、それで少しもくどくないのね、それにこの舌ざわり」と述べていましたが…。もっとも私は初めのほうの巻をちょっと眺めただけでして、どなたか108巻分チェックして初出をお教えください。
それではまったりとはどんな味を指し、「美味しんぼ」以前にはどんな使われ方をしていたのでしょう。各種辞典の用例やネット検索などで拾い集めてみました(本当は発表年月まで調べたほうがいいのですが、めんどくさいので単行本になった年を示しています)。
先の朝日新聞では江戸料理研究の松下幸子氏が、開高健が小説の『新しい天体』(72年刊)で使っていたはずと指摘しておりまして、記者はさっそく、主人公がたこ焼きをだしに浸す場面で<おつゆがなかなかよくできていて、まったりと含みの深いゆたかさがあり…>というくだりを見つけています。
そこまではよかったのですが、言語学者の寿岳章子氏が「私にとっては、お豆さんとか、おたいさんをたいたもんですね。まろやかだけど、手間暇かけておだしを染み込ませた味」「まったりは、味についてだけいうのと違います」「物腰柔らかやけど、底にしゃんとしたものがある。それがまったり」という意見を展開。さらに宮台真司氏が「まったりと生きよ」やら二面性の表現とやらの持論とからめ出し、なんだか大仰かつ胡散臭い話になって記事は終了、消化不良な感じです。
もしかしたら山本氏は、この記事中で<今の「まったり」と比べてなんだか淡白そう>って感想をもらした朝日新聞記者にミスリードされて、フランス料理の味の表現に使うのをやめて、お椀の形容語であると唱え始めたのかもしれませんね。でもね、開高健は同じ小説の中で、もつ煮込みを<コトコト煮ていくうちに内臓の脂やソースが味噌の味をまったりとしたものに変え、おたがいにいい影響をあたえあう>って書いているんですよ。さらに同氏は「貝塚を作る」(79年刊『歩く影たち』所収)で、べトナムのフークォック島は<精妙で香りの高い胡椒と、まったりとして柔らかく豊潤な味のするニョク・マムが特産品である>とも記しております。
大阪の女性作家といえばこの人ありの田辺聖子は、『歳月切符』(82年刊)の「大阪のおかず」で、<大阪のきつねうどんとかお好み焼きは、「吉兆」や「瓢亭」の結構なるお料理にまさるとも劣らないと思っている。きつねうどんの、あのまったりしたお汁(つゆ)は、決してうす味ではなく、じつに複雑な味で、あれは家庭で出そうとしてもとても出ない味である>と語っています。よーく考えたらたこ焼きを浸すだしの味がまったりなんですから、京料理の上品なお椀の味とはちょっと違うようです。
調子にのって、どんどんいきますよ。同じく大阪出身の富岡多恵子の『冥途の家族』(74年刊)では、<そのおもゆも、まったりとしたおいしいお米の味がした>というくだりがあります。重湯なら、確かにまったりとして少しもしつこくなさそう。ところが「なだ万」創業者一族で東京店の店長だった俳人、楠本憲吉は『たべもの歳時記』(70年刊)で<シャリが関西では甘くて軟かく、いわゆる「まったりした」味を出している>と表現しています。ちなみにvol.40で私が糾弾した「関西おでん炊出し説」は、この本にも載っております。どうやら問題は根が深そうです。
味噌とだしとニョクマムと重湯と大阪ずしに共通する味というのは何なのでしょう。まったりの語感から、とろりとしたもの限定というイメージがあったのですが、ニョクマムやすし飯もありですからねえ…。どうも察するに、旨みのある味が「まったり」のようです。美味しんぼ原作者の雁屋哲氏は多くのグルメ小説やエッセイから作品のネタを仕入れているようですから、まったりという言葉にも親しんでいて、セリフ中に自然に出てきたのかもしれませんね。もっともフランス料理を表現するのに使うのが雁屋流で、そこが人の目を引いたのかもしれません。たとえば3巻第4話で「血を使ったソースはまったりとしていて、カモの肉はジューシイで、それにいい香り!」と栗田さんが興奮しておりました。それにしてもこの人、食事中によくしゃべるなあ。
柴田書店の本で大阪料理第一人者といえば「喜川」の上野修三さん。『なにわ味噺口福耳福』の中で「京の持ち味、なにわの食い味」という言葉をひいて、まったりは“食い味”であると説明しています。さらに素材の持ち味を生かすためにあくまでも薄味なのが京料理、素材の味を引き出すようにして深みをつけるのが大阪料理とも。
<ところが近頃、そのまったりが前味(まえあじ)、口に入れてすぐわかるうまみと間違えられてはいまへんやろか。食い味は、前味とも違うし、後でじわっとおいしかったなと感じる後味(あとあじ)とも違うもので、どっちかいうたら、そう、後味に近い中味のことであろうとわたしは思うんです>
うーん大阪弁の世界は奥が深いですね。後味は返り味とも言いまして、飲み込んだあとに、ふっと鼻に抜けるように感じる味のこと。よくお椀は、ひと口めでおいしいと感じるようではだめで、後口で満足するような味つけにせよと言います。ところが最近は前味で勝負、ストレートにがつんとくる料理が好まれてきているんですね。後味がおいしいお椀に対して、だしが利いていないとかいう、わかったふうなコメントも見かけます。「がっつりしていてそのうえくどい」のが時代の好みなのでしょう。(この項続く)
投稿者 webmaster : 15:42
2012年06月20日
菜菜ごはん日記 上
『カノウユミコの菜菜ごはん日記 上』
著者:カノウユミコ
発行年月:2012年6月11日
判型:四六変 頁数:224頁
カノウユミコさんの代名詞にもなっている菜菜(さいさい)ごはん。
野菜、豆、乾物など植物性素材で作る、かんたんでヘルシーなレシピが人気です。
「普段からヘルシーで素敵な食生活を送っているのでは?」
ファンの方はそう思っていらっしゃると思います。
私もそう思っていました。
いえ、カノウさんが素敵じゃない食生活を送っているわけではありません。
でも、なんていうか、とても肩の力が抜けているんです。
2人の息子さんが大きいこともあって、時間もわりと自由に使えるカノウさんは、
息子さんが帰ってくる前にお友達と外で一杯やったり、
仕事が立て込んでいる時はかんたん丼でササッと済ませることも。
そんなリアルなごはん生活を
スナップ写真とともに綴ったのが、
今年の3月まで弊社のweb上で連載していた
「菜菜ごはん日記」でした。
1年間の連載が終わり、読み返したときに「こんなお話もしたかった!」
「読者の質問に答えたい!」などあれこれあふれてきた思いも追加して
まとめたのが、この『菜菜ごはん日記 上』です。
単行本化にあたり、
・私の朝ごはん(朝は胃腸も寝ぼけているので、無理に食べない!)
・私の昼ごはん(あえて毎日同じお店で同じものを食べるようにしている)
・常備菜のこと(帰宅した息子さんにさっとごはんを出すために常備菜は必須。
“作り置き”じゃなくて“展開させる”がカノウ流)
・冷蔵庫のはなし(食べ盛りの息子さんがいるけど、140cmの一人暮らしサイズ!)
・ごはんを炊く(1合でも家で精米して炊く。ほんの少しの塩を入れて)
……などごはんについての書き下ろしのエッセイとレシピ29品を追加。
また、
・菜食にめざめたきっかけは?
・息子さんの食事はどうしていますか? お肉も食べますか?
・苦手な野菜を克服したい!
・毎日の献立、どう考えますか? レパートリーを増やすコツは?
というよく聞かれるという質問に答える「Q&A カノウさんに聞きたい!」
のコーナーも設けました。
収録した日記は2011年4月 ― 9月までの半年分。
残りの半年分は9月上旬発売予定の『菜菜ごはん日記 下』に続きます。
投稿者 webmaster : 17:08
2012年06月19日
『専門料理2012年7月号』 編集後記より
『専門料理2012年7月号』
発行年月:2012年6月19日
判型:A4変 頁数:166頁
特集:自分の店を持つ 料理が主役の店作り、現在形
「自身のキャリアや料理観を、どう個性に結びつけるかが成功のカギ!?」
「料理人の人生は長い! 第2のステップにも要注目です」
料理人であれば、誰でも一度は独立を夢見たことがあるはず。今月の特集はずばり「独立開業」。第1・第2企画では、昨年3月の震災以降に開業した新人オーナー7人を取材しました。
共通して感じたのが、みなさん自分ならではの個性を発揮し、特徴ある店作りをしているということ。
たとえば対照的だったのが、同じフランス料理の兼子大輔さん(L'AS。14ページ)と杉本敬三さん(レストラン ラ フィネス。18ページ)。
兼子さんは店の造りからサービス、料理に至るまで徹底的に合理化を図って、サービス料無しの5250円のコース1本で勝負。結果として高いコストパフォーマンスを実現しています。
一方の杉本さんは客単価2万円以上を想定。ウエイティングもできるバーカウンターを設置し、器もオーダーメイドするなど、自身の理想のガストロノミーレストランを追求しています(写真1)。
なんでも杉本さん、8歳で料理人を志し、その頃から地元の料亭の厨房を見学してたって。ただものじゃないよね。
他の5店も個性豊か。あえて雰囲気別に分けると「メッシタ」(22ページ。写真2)と「築地 ロ・スコーリオ」(29ページ)がワイワイにぎやか系、「シャントレル」(26ページ)と「中国料理くろさわ東京菜」(35ページ)が地元密着アットホーム系、そして「東家」(32ページ)が大人しっとり隠れ家系、といったところ。
東家は夫婦2人だけで切り盛りしている店なんだけど、お客さんとしっかりと向き合うため、昼夜ともに1日1組限定。食後には店主の坂内さん自らお茶を点ててくれるんだって。お客からしたら、ホント心が満たされちゃうよね。
今回は、新店以外に、移転や2号店のオープンなど、新たなステップに挑む4人も取材しました!
中でも驚いたのが、東京・恵比寿から木場に移転した「ア タ ゴール」の曽村シェフ(42ページ)。日本人で唯一オリエント急行のシェフを務めたことがあるんだけど、その個性を打ち出すべく、新生ア タ ゴールの前に豪華列車「夢空間」の車両を運んできちゃいました!(写真3)
電車を持ってくるって、どうやったらそんなことできるの?
JR東日本の代表番号に電話するところからはじめて、半年かけて交渉したんだって。その行動力には脱帽です。
4ジャンル4人のベテランシェフから若手料理人へ、
力強いメッセージも!
それと今回、仏、伊、日、中の4ジャンル4人のベテランシェフから、独立やシェフをめざして修行中の若手料理人に、メッセージをいただきました。
吉野シェフに鮎田シェフに野崎料理長に山本料理長……今も活躍されている超ビックネームですね! 名前を聞くだけで緊張してきます。
4人に共通するのが、「修業時代は技術だけじゃなくて人間性を磨いて、情熱を持って夢を追え」ということ。
山本料理長の「中国料理はまだまだ日本で紹介されていない料理や技術がいっぱいあるから、若手には大いにチャンスがある」って言葉もよかったな。「事業計画書の作り方」(65ページ)をじっくり読んで独立しようかな。
君、自炊すらしたことないでしょ。
投稿者 webmaster : 12:08
2012年06月11日
『辛いがうまい』
『辛いがうまい』
柴田書店編
発行年月:2012年6月11日
判型:B5変 頁数:124頁
本書をつくるきっかけのひとつが、昨年のブータン国王の来日。
“幸福度世界一”のふれ込みにひかれ、この国についてググってみると、
“世界一、唐辛子を使う料理”という気になる一文。
さらにググると、都内にブータン料理専門店があるとの情報。
突如、突きつけられた挑戦(思い込み)を受けてたとうと、
代々木上原のブータン料理専門店「ガテモタブン」に足を運んだのです。
そしてテーブルに並んだ料理がこれ↓
【1】 唐辛子とチーズの煮込み [エマ・ダツィ]
唐辛子が丸々浮かぶビジュアルに、
早々とノックアウト。
唐辛子をメインに食べる料理。
さわやかな風味と
シャキシャキとした食感が楽しめる仕立て。
【2】 チーズのスープ [ヘン・ツェ・ジャジュ]
チーズとバターを溶かし込んだスープ。
日本の味噌汁にあたるブータンのスープ料理。
チーズを溶かしたマイルドな味ですが、
気がつくと額には玉の汗。
【3】 干し豚肉と大根の炒め煮 [パクシャ・パ]
干し豚と大ぶり大根の乾燥唐辛子。
赤く見えるのはもちろん唐辛子。
豚肉にも大根にも唐辛子の風味が染み込んでおり、
逃げ場はどこにもありません。
ブーダンでは、ごはんに合わせるおかずとして、
日常的に食べられている家庭料理。
たたみかけてくる辛さに白旗をふりながらも、
不思議と食べる手が止まりません。
そう、うまいんです! なぜ、うまいのか。
唐辛子の使い方がその答えのひとつです。
【1】 は生の唐辛子を野菜として味わう。
【2】 は粗挽きの乾燥唐辛子で味にアクセントをつける。
【3】 は乾燥唐辛子をホールのまま煮込み、
他の食材に唐辛子の風味を移す。
つまり、料理に合わせて
唐辛子の種類や生かし方を変えているのです。
そうした視点から世界の辛い料理を見ると、
国や地域ごとにさまざまな特徴が見えてきます。
たとえば、チュニジアでは「ハリサ」、マレーシアでは「サンバル」、
メキシコでは「サルサ」など、唐辛子をそのまま使うのではなく、
それをベースにした辛み調味料で味をつくっていきます。
また、ベトナムでは特産の黒コショウで味にアクセントをつけるなど、
刺激の“もと”は唐辛子に限りません。
知れば知るほど“はまる”、世界の“辛いがうまい”料理。
この夏を、刺激的な夏にしてみませんか?
投稿者 webmaster : 16:06