« 『五十嵐美幸のやっぱり野菜料理よ!!』 | TOPページへ | 料理本のソムリエ [vol.45] »
2012年07月18日
『専門料理2012年8月号』 編集後記より
『専門料理2012年8月号』
発行年月:2012年7月19日
判型:A4変 頁数:182頁
特集:パスタとピッツァ より豊かに、より的確に作る
伝統か、モダンか。二者択一ではない幅広さがパスタの魅力」
「ピッツァも熱い! 豪快なイメージの裏に緻密な計算がありました」
今月の特集は「パスタとピッツァ」。健康診断も終わったし炭水化物ドンと来い! の意気込みで取材して参りました。
では早速ふり返ろう。「パスタの表現力を高める」では、8人のシェフに自慢のパスタを見せてもらった。
イタリア人のルカ・ファンティンさん(ブルガリ イル・リストランテ。14ページ)が「伝統は大事だけどそこにこだわらない。自由な発想で料理を作りたい」と仰っていたのが印象的でした。イタリア料理=地方料理と考えがちだけれど、それは一面的なイメージなのかなあ、と。
中尾崇之さん(レストラン ファロ資生堂。17ページ)も、「第一に考えるのは非日常の料理でお客さんに喜んでもらうこと」と話していた。それを象徴するのがオマールのパスタ! シンプルなトルテッリとオマール料理が合体した、まさにレストランの一品だった(写真1)。
私は奥村忠士さん(リストランテ アカーチェ。24ページ)の潔さにもやられたなあ。「パスタは粉を味わうもの。ソースにたくさんの具はいらない」という言葉通り、キタッラのソースはシャンピニョン・ド・パリを炒め煮にしたラグー(写真2)。シンプル極まりないのにしみじみとおいしい。経験のなせる技です。
奥村さんたちベテランシェフが粘り強く広めてきた手打ちパスタだけれど、個人店でたくさんの種類を作るのはなかなか大変。みんなどうやってるの? という疑問に応える企画が「小規模店 手打ちパスタのオペレーション」です。
藤田政昭さん(タヴェルナ デッレ トレ ルマーケ。34ページ)はタリアテッレの生地を1人分ずつ板状にのばして、ラップ紙で密封して冷凍保管してました(写真3)。注文ごとに解凍するのでロスが出ないし、解凍することで水分が抜けるからか歯ざわりもよくなるんだって。
湯本昌克さん(シエロ アズッロ。42ページ)は3種の生地を15種のパスタに展開。驚くのは、すべてを1人で、注文が入ってから成形するってこと!
ボリュームのある前菜を用意したりと、お客さんにもゆっくりと食べ進んでもらう工夫をしていたけれど、「今作っているのは私のパスタかしら?」という期待感で不思議と待てちゃうんですよね。
ピッツァの熱い世界にも踏み込んでみました!
後半はピッツァ編。みなさん熱く、情熱的に語ってくださいました。
めざす生地は「さくっと軽く、モッチリした部分もあり、小麦が香る」と概ね共通していたね。けれどもアプローチの仕方は十人十色で、粉の配合や焼成には緻密な計算と経験が反映されていた。
青木嘉則さん(ピッツェリア ダ・アオキ タッポスト。55ページ)はナポリで習ったやり方を今も続けているそう(写真4)。でも最近ナポリを訪れたら、現地では技術が簡略化されていたとか……。
青木さんにはぜひ伝統的な仕事を伝えていって欲しいね。ところで、ピッツァ窯の重さがどのくらいか知ってる?
200kg……ってことはないですよね?
桁が違うよ。2トン、3トンはあたりまえなんだって。だから、店探しでいい物件を見つけても構造的に窯を置けなくて断念、なんてこともあるみたい。
ピッツェリア開業準備中のみなさん、物件探しの際は気をつけてくださいね!
投稿者 webmaster : 2012年07月18日 13:42