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2012年11月12日

『美しい飴細工』 基本と応用 担当者編集者より♪

06157.jpg『美しい飴細工』
著者:サントス・アントワーヌ
発行年月:2012年11月15日
判型:B5変 頁数:160頁

美しい飴細工の写真が撮れた理由(わけ)

撮影は2010年の4月から開始しました。
お菓子とは勝手が違い、ベテランの高橋栄一カメラマンも私も最初は戸惑うことばかりでした。
仕上がった作品はもちろんですが、サントスシェフはプロセス写真のつやや透明感まで要求しました。

これがむずかしい。

06157_4.jpgライトは通常固定し、一定方向からの光で撮影します。なぜならばいちいち動かすと、光量や光のまわり具合が違ってくるので、光量計でそのつど計らないと写真が撮れないからです。しかし、そんな時間はありません。つくる手は止められないことの方が多いからです。しかも料理やお菓子のように予測が立ちません。ちょっとした角度でつやが見えたり見えなかったり。

06157_5.jpgそれに、あらかじめ作業と動く範囲を聞いて撮影をはじめても、あらら、サントスシェフは光がおよぶ外へ。「ええ、ちょっと待ってよ」とあわてる高橋栄一カメラマン。でも、飴細工は途中で止めたら情態が一気に悪くなったりするので、シェフも手を止めたくはありません。
でも、なんとかつやや透明感を出さなければ…。
カメラマンも格闘しました。

「こっちに立ってください」
「飴をライトに向けて!」
「そっちじゃない、こっちです」 などと声が飛びます。


そんな具合でお菓子よりもはるかに制約が多い撮影でした。撮り直しをすることもしばしばでした。
2、3回撮影するうちにお互いに徐々に少しずつ慣れてはいきましたけれど。

そんなこんなの撮影でしたが、それでも...

きれいなんです、仕上がりが。
ビューティフル、セ・トレ・ボン!です。
目を見張るほどの美しさ。

その美しさの理由が撮影を重ねていくごとにわかってきました。

それはサントスシェフが
日本人よりも日本人らしい繊細さを持っている
ことによります。

撮影日のお昼はお店のパニーニだったりしたこともありましたが、おもしろいのは冬場に鍋焼きうどんをシェフが好んで食べたことです。
いえいえ、温かくなってもざるうどんを注文したり。
和食も好きだとのこと。
フレンチレストランの料理でも繊細な味は好きでも、こってりした濃い味の料理はあまり得意じゃないとか。舌もとても繊細にできているわけですが、これがサントスシェフの感性そのものに表われているのです。

撮影の時に教えてくれるポイントも「分厚いのはダメ。ぼてっとしたらきれいじゃないね」とか、「向きをアットランダムにした方が動きが出るんだよ」など、美しさを追求する点はしっかり主張。
これってどちらかというと日本人的じゃない? としばしば思ったものです。

そしてもうひとつの理由として、
もっときれいにというあくなき探究心と工夫
がサントスシェフにはあるということによります。

3つあるリボンの組立ての撮影時に、シェフは3つそれぞれに違いをつけて仕上げました。
普通に並べて積み上げて接着する方法、縦向きにつける仕方、また向きをいろいろ変えて動きをつけ手法など。
違いをつけて仕上げることで、美しさの表現の差がわかります。


06157_.jpg

≪リボンA≫ 一色で、引いたものと引かないものを合わせる。
≪リボンB≫ 両サイドにラインをつくり、縦に組み立てる。
≪リボンC≫ 3色でつくり、ランダムな斜め向きにして組み立てる。


いつももっときれいに、もっと楽しくと工夫しながら仕上げるサントスシェフの仕事は表現の宝庫です。まるで少年のように飴細工に魅了されて楽しんでいます。

じっくり見比べると、ただ美しいだけじゃない、
サントスシェフのこだわりが見えてくると思います。


06157_6.jpg

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投稿者 webmaster : 2012年11月12日 10:55