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2013年04月18日
『専門料理2013年5月号』 編集後記より
『専門料理2013年5月号』
発行年月:2013年4月19日
判型:A4変 頁数:156頁
特集:ビストロを30年続けるためには
「パリ、東京、大阪の老舗ビストロから、長年愛されるための秘訣を探ります」
「新たなスタイルを模索する新店オーナーの個性あふれる店作りも紹介!」
今月号の特集は「ビストロを30年続けるためには」。パリ、東京、大阪で長年に渡って愛される老舗店を取材し、その秘訣を探りました。
パリは、1924年創業の「シェ・ラミ・ルイ」と1938年創業の「ビストロ・メラック」の2店。前者はパリでも1、2を争う老舗有名店だから、足を運んだことのある読者も多いかもしれないね。ビストロとはいえ、高品質の食材を使っていて、星付きレストラン並みの価格もまた有名です。
90年続いているわけだけれど、先代の名物オーナーが亡くなった直後は、多少客足が遠のいたらしい。それでも、現オーナーが前と同じスタイルを頑なに守っているうちに、お客が戻ってきたんだって。
内装も重厚で歴史を感じさせるよね。まさに本場フランスの老舗ビストロ! という感じ。店内の写真は表紙にも使わせてもらいました。
一方のビストロ・メラックは、口ひげがトレードマークの名物オーナーによる店。故郷のアヴェロンの田舎料理とメラック家の料理を今に伝えています。
2店に共通するのは、貫禄のあるオーナーがいて、時代が変わろうとそのスタイルを守っているということ。“変えない”ことで、唯一無二の個性を生んでいるわけだね。
日本の老舗ビストロは、東京・乃木坂の「シェ・ピエール」と大阪・我孫子の「フレンチ食堂 エスカルゴ」。シェ・ピエールは1968年に製パン技術者として来日したピエールさんが、40年前に開いた店です
当時、日本でフランス料理といえばホテルという時代。ピエールさんはカウンターを作って食材や料理を説明して、少しずつビストロ文化を広めていったんだって。
フレンチ食堂 エスカルゴは、25年前に、当時24歳だった藤原一良さんが開いたビストロ。これまで続けてこられたのは、「エスカルゴのオーブン焼きという看板料理があったから」と話してくれました。ちなみに三重・松阪のエスカルゴ牧場のエスカルゴを主に使っているそうです。
新しいビストロも続々オープンしています! その中でも、自らのスタイルを追求し、長く愛されるビストロをめざす3人を取材しました。
自然派ワインを数多く揃える「ル・ヴェール・ヴォレ・ア・東京」、ボリューム満点の料理で連日満席が続く「リベルタン」、そしてステーキが売りの「ル キャトーズィエム」。みな明確なコンセプトをもっていたね。
印象的だったのは、リベルタンのオーナーシェフ、紫藤喜則さんの言葉。「まずはスタッフが楽しまないと、お客さんも楽しめない。厨房からどなり声が聞こえてくるような店では、安心して楽しめませんよね」だって。確かにそうですよね。
ビストロの定番料理20品と、気鋭シェフによる “自分流” の品
ビストロと言えば、思い浮かぶのは骨太な定番料理の数々。本特集では人気店の定番料理を20品集めて掲載しました!
リヨン風サラダにパテ・ド・カンパーニュ、ブーダン・ノワールにクネル……どれもビストロには欠かせない料理だからこそ、お客を惹きつけている人気店のレシピを参考にして、ブラッシュアップを重ねてほしいと思います。
また、こうしたビストロの定番料理をガストロノミーレストランのシェフが作ったら……という発想で企画したのが「ビストロ料理を自分流に」。生江史伸シェフ(レフェルヴェソンス)と宮崎慎太郎シェフ(オー グー ドゥ ジュール ヌーヴェルエール)の2人の気鋭シェフによる7品は、驚きに満ちていました。
ビストロ料理は「多くの人に愛される安心感のある味わい」、ガストロノミー料理は「シェフの個性が表れた驚きと発見のある味わい」――この企画を通し、改めてそんなことを感じました。
投稿者 webmaster : 2013年04月18日 10:01