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2013年08月16日
『専門料理2013年9月号』 編集後記より
『専門料理2013年9月号』
発行年月:2013年8月19日
判型:A4変 頁数:160頁
特集:野菜料理の四季
「昨秋から1年間かけて撮った季節の野菜料理を一挙公開します!」
「旬のある野菜だからこそ、その時々の野菜に応じたアプローチが重要」
今月の特集は、2007年以来、実に6年ぶりの「野菜料理」です。
前回は5月号だったから、早春の野菜が並んだよね。ただし、野菜は旬が短く、季節で移り変わるもの。せっかくなら1年を通じて使ってもらえる号にしたいと思い、春夏秋冬、1年間の野菜料理を集めました!
いやぁ、去年の秋からコツコツ撮りだめていたわけだけど…こうして1冊になると、ある種の感動があるね。
メイン企画は「レストランの野菜料理」。若手からベテランまで22人のシェフによる旬の野菜を使った料理を、春夏秋冬に分けて掲載しました。
春に登場したのはタケノコにセロリ、ホワイトアスパラガスにミニポワローなど。春野菜は強い苦みを持つものが多いけど、それをどう生かすかにポイントをおくシェフが多かった。
夏はトマト、ズッキーニ、ナスなど代表的な夏野菜の他、ユウガオや野生のウイキョウを使うシェフもいました。
柳 令子シェフ(ピノサリーチェ)はシチリアでの修業時代に地元のトラットリアで食べた野生のウイキョウのパスタを再現。いわゆる普通のウイキョウでは風味が弱いそうで、野生のウイキョウが手に入るようになった去年から今のスタイルで作っているそうです。
ちょっと前までは手に入らなかったような西洋野菜も使えるようになって、表現の幅がグッと広がったよね。
「実りの秋」と言われるだけあって、秋も野菜が豊富。サツマイモにサトイモ、ビーツ、レンコンなどが並んだ。中でも横崎 哲シェフ(オー グルマン)のサツマイモの料理は、「大地の力」を感じさせる盛りつけがインパクト大!。
おもしろかったのは堀江純一郎シェフ(リストランテ イ・ルンガ)のパプリカを使った品。パプリカの名産地のあるピエモンテではパプリカの酢漬けがポピュラーで、それをリストランテの品にアレンジしたんだ。
冬はハクサイ、ニンジン、黒キャバツやカブなど。中でも小峰敏宏シェフ(カーヴ・ド・コンマ)の「白菜と鱈のグラタン」、しみじみとおいしかったなぁ。
寒い冬だからこそ、身も心も温まるような料理が喜ばれるよね。
「野菜のアミューズ 12ヵ月」では、川手寛康シェフ(フロリレージュ)による1月から12月まで12品のアミューズを一堂に集めました。
本物の野菜に似せて作った品や、野菜のピュレをチューブに詰めて「絵の具とパレット」を再現した品など、どれもユニークなものばかり。サービススタッフがジョークを交えて提供することで、お客さんにリラックスしてもらう効果も狙っているんだって。
コース料理となると長時間におよぶわけだし、たしかに最初の「つかみ」は重要だよね。
アラン・パッサール氏による1年間におよぶ季節の野菜料理も
本特集のもう一つの大型企画が「アラン・パッサール 農園から生まれる料理」。去年の秋から?年間、定番を中心に料理12品+デザート1品の計13品を撮影。その品が生まれたエピソードを交えて紹介しました。
パッサール氏は自家菜園を所有していて、畑で受けたインスピレーションをそのままに、菜園の隅にある厨房で試作をしているそう。こんなスタイルに憧れる料理人さんも多いんじゃないかな。
そうそう、表紙の野菜料理は田代和久シェフ(ラ・ブランシュ)にお願いしたのもなんだよね?
本来は根菜類が豊富な冬に作る「こだわり野菜のサラダ仕立て」を、表紙用に無理を言って夏野菜で作ってもらったんだ。田代シェフは、黒羽 徹シェフ(リストランテ プリマヴェーラ)と木村政敏シェフ(知味斎)とともに、インタビューにもお付合いいただきました。
情が厚く、食材や生産者に誠実な田代シェフが作る野菜料理だからこそ、多くの人の心を掴むんだろうね。インタビューしながらそんなことを感じました。
投稿者 webmaster : 2013年08月16日 15:35