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2016年09月26日
『カレー全書』
著者:柴田書店編
発行年月:2016年9月24日
判型:B5 頁数:212頁
本書の企画が上がったのは昨年の秋のこと。これまでヒングやフェヌグリークといった各種スパイスや、タンドール窯を使った料理は取材したことはあるのですが、カレーそのものの取材をしたことがまったくないという偏った編集者なので、ミッションを与えられたものの、若干弱りました。とりあえずレシピの構造を把握するために、各社カレー本をかき集め、手当たり次第に自分で作ってみたりもいたしました。
当時雑誌編集部にいたH君が、休みになるとインド料理店に出入りして主人を質問攻めにし、自宅でカレー作りに没頭するカレー男子だということを聞き、どんな店がお勧めかリサーチ。さらに広告部にもカレー女子がいることが判明し、これはいろいろ相談しようと大船に乗ったつもりでいたのもつかの間。T君はプロの道をめざして退社するわ、他社がまったく同じコンセプトで取材を始めていることが判明するわで、弱りきりました。
ネットの評判や雑誌などに頼れば、他社の本と似た内容になってしまうことでしょう。そこで社内の情報網を生かして、カレーマニアが知らない割烹店やバーのような異業種の料理人が作るすぐれもののカレーを探り出し、さらに会社のOB・OGやライターさんの助けを得て、東京以外のカレー店取材を敢行しました。
あえて茨の道を突き進んだ結果、流行とSNSの噂に流されない、幅広いタイプの店を取り上げることができたと思います。それでいてプロの技として完成度の高い、レベルの高いレシピを選んだつもりです。そのため一部に特殊な素材を使う例や、分量が不明なものや大量なものもありますが、プロ向きなのでご容赦を。
ちなみにタイトルは『カレーのすべて2』にしたかったのですが、安直すぎると怒られまして最後まで悩み抜きました。裏表紙がさびしいので英語を入れることにしたのですが、“全書”を訳すと“Complete book”となってしまう。そんな滅相もありません。デザイナーの岡本さんの提案で、岡倉天心の『茶の本』にあやかることにいたしました。いつかcomplateできるように、第3集も出版できればいいなと思っております。
投稿者 webmaster : 2016年09月26日 15:00