2024年09月06日
魚のおろし方
著者:柴田書店 編
発行年月:2024年9月12日
判型:B5変 頁数:184頁
魚のおろし方の工程について料理人が分解写真で細かく解説したのは、私見では小社の『包丁入門』(1973)が嚆矢だったのではないかと思います。
著者の田中恒雄さんは戦中には戦闘機乗りだったこともあり、日本料理の作業においても合理的な説明と訓練が必要との信念の元で本書は生まれました。鶏をさばくための説明用に骨格図を載せたのが画期的で(ただし魚の骨格図はありません)、その後の小社の単行本の多くが参考にしています。
そしてもう1冊、『図解・魚のさばきかた』(1989)の存在も忘れてはなりません。故成瀬宇平先生の推薦で共著者に選ばれたのが、まだ「分とく山」料理長に就く前の野崎洋光さん。本書冒頭で魚の骨と包丁の入れ方の位置関係をイラストで説明したのは、野崎さんのアドバイスによるものです。これもまた小社に限らず、いろいろな本で参考にされています。
本書はそうした柴田書店の伝統を受け継ぐもの。今回は念願だった魚の骨格写真を入れることができました。昨今は魚をおろしてみせる動画も人気ですが、ただ作業工程を追いかけるだけでは「見て覚えろ」と言わんばかりで、昔の職人さんの教え方とどっこいどっこい。わかりやすく説明する努力は必要で、今後もブラッシュアップされていくことでしょう。
投稿者 webmaster : 2024年09月06日 14:45