2024年09月06日
魚のおろし方
著者:柴田書店 編
発行年月:2024年9月12日
判型:B5変 頁数:184頁
魚のおろし方の工程について料理人が分解写真で細かく解説したのは、私見では小社の『包丁入門』(1973)が嚆矢だったのではないかと思います。
著者の田中恒雄さんは戦中には戦闘機乗りだったこともあり、日本料理の作業においても合理的な説明と訓練が必要との信念の元で本書は生まれました。鶏をさばくための説明用に骨格図を載せたのが画期的で(ただし魚の骨格図はありません)、その後の小社の単行本の多くが参考にしています。
そしてもう1冊、『図解・魚のさばきかた』(1989)の存在も忘れてはなりません。故成瀬宇平先生の推薦で共著者に選ばれたのが、まだ「分とく山」料理長に就く前の野崎洋光さん。本書冒頭で魚の骨と包丁の入れ方の位置関係をイラストで説明したのは、野崎さんのアドバイスによるものです。これもまた小社に限らず、いろいろな本で参考にされています。
本書はそうした柴田書店の伝統を受け継ぐもの。今回は念願だった魚の骨格写真を入れることができました。昨今は魚をおろしてみせる動画も人気ですが、ただ作業工程を追いかけるだけでは「見て覚えろ」と言わんばかりで、昔の職人さんの教え方とどっこいどっこい。わかりやすく説明する努力は必要で、今後もブラッシュアップされていくことでしょう。
投稿者 webmaster : 14:45
2024年05月07日
期待を高める アミューズとパーティーオードヴル
著者:柴田書店 編
発行年月:2024年4月30日
判型:B5変 頁数:224頁
アミューズには「季節感」も重要です。できる限り四季ごとのアミューズをご紹介したいと考えたため、撮影は春から冬までと長期にわたり、また、似かよった料理にならないよう、東京以外の大阪(ラチェルバ)、京都(コケ)、栃木(オトワレストラン)を含めた、異なるタイプのお店にご協力をお願いしました。
アミューズは、ひと口で食べられるフィンガーフードが多いのですが、その小ささに似合わず、作り方の文は長めです。パクッとひと口で食べてしまうものに、これだけ手間と時間がかかっていた、ということを知りました。
そして、そのひと口の中の調和が、どれほど計算されているかも…。これからは、そんなことも考えながら、パクッとすることになりそうです。
投稿者 webmaster : 10:30
2020年07月16日
だしの研究
著者:柴田書店 編
発行年月:2020年7月30日
判型:B5 頁数:216頁
「だし」。なんて地味なテーマ・・・。
自分で企画を出しておきながら、最初はそう思ったものでした。ところが、取材をはじめてみると、とてもとても奥が深い。一番だしひとつをとってみても、料理人さんそれぞれの考えがあり、方法があるのですね。そして、「科学」を通して見た「調理」のおもしろさ。料理人さんには、なにを今更と言われそうですが、やはりとても興味深いものでした。
取材中に耳にした、年々昆布が採れなくなっているという情報は、少し、というかだいぶ気になるところです。もし昆布が無くなってしまったら・・・。あまり想像できませんが、おそらく日本料理は今とはだいぶ違うものになるのではないでしょうか。しばらく昆布たちから目が離せません。
投稿者 webmaster : 17:00
2019年10月09日
日本料理 揚げもの新味150 広がる発想 新しい技法
著者:柴田書店 編
発行年月2019年10月1日
判型:B5変 頁数:188頁
揚げ物大好きな私の願いがかなったこの企画。どんな揚げ物が登場するか楽しみです。体重増もやむなしと覚悟して撮影に突入しました。
撮影は順調に進み、最終日は六本木の楮山さん。折しもこの日はアメリカ大統領トランプ夫妻が来日し、六本木の炉端焼き屋さんで会食をした日でした。六本木一丁目界隈は厳重な警戒体制で、通りには数メートルごとに警察官が目を光らせていて物々しい雰囲気でした。炉端焼きもいいけれど、ぜひ日本の誇る揚げ物を食べていただきたかったですね。
揚げ物は揚げたてが命。割烹向きの調理法です。どれもこれも美味しくて、幸せな数か月でしたが、体重にほとんど変化はありませんでした! 揚げ物が太るって、ホント?
投稿者 webmaster : 17:00
2019年05月21日
さかな割烹 魚介が主役の日本料理
著者:原田 実、武澤 剛志、山本 晴彦 共著
発行年月2019年5月25日
判型:B5変 頁数:196頁
◎魚菜処 光悦
外国人客でごった返す心斎橋のアーケードから左に入った突き当り近くにお店があります。
ほんの少し脇道に入るだけで、かなり静かです。
靴を脱いで上がるのですっかりリラックス。
このお店の一押しは関西ならではの魚介類です。私がもう一度食べたいのが「蛤の蕗味噌がけ」。 季節替わりで「牡蠣の蕗味噌がけ」も試食しましたが、蕗味噌の淡い甘さと、貝類の旨みが相まって、とても美味。「光悦」の近所に天ぷら「悦」が開店しました。 |
◎くろぎ
これまで店主だった黒木純氏は「くろぎ」を統括する立場になられ、
現在は武澤剛志さんが「くろぎ(芝公園)」料理長として腕をふるっています。
武澤さんは新宿・荒木町の人気割烹「ちゃわんぶ」を閉店してこの立場につきました。
「くろぎ」の特徴は、季節のご馳走をたっぷり豪勢に提供すること。 炊き立ての「煮穴子」のアナゴの香りがするふっくらとしたおいしさは忘れられません。 |
◎日本料理 晴山
重たい扉を押して中に入ると左手はカウンター席、右奥はテーブル席です。
厨房では女性を含む多くの調理スタッフがおのおのの仕事を活き活きと進めています。
本書では修業先である岐阜県の淡水魚を使った料理を数多く紹介してくださいました。
繊細な料理もさることながら、素材のおいしさを閉じ込めた揚げ物も秀逸で、ふかひれのフライや蒸し鮑のパン粉揚げなど、シャンパンや白ワインがすすむ軽くて上品な揚げ物が忘れられません。 |
投稿者 webmaster : 10:00
2018年12月10日
『日本料理の季節の椀』
著者:奥田透、末友久史、松尾慎太郎 共著
発行年月:2018年11月26日
判型:B5 頁数:168頁
日本料理の料理人さんたちが、もっとも力を入れてきたジャンルである椀物。しかし、近年はその伝統が薄れつつあるように感じます。
まず第一に、椀という器を作ってきた産地の疲弊が挙げられます。家具のような何十万、何百万もする商品や、アクセサリーのような購入しやすくて数が出る小物ならともかく、椀では売上げを大きく伸ばすことができません。安価な中国産や人造の代用品に押され、それどころか椀自体を使わない家庭も現れています。
また料理人の世界でも、椀という器を避ける動きがあります。日本の伝統美を受け継ぐ椀の意匠は、しばしば季節の草花などが描かれますが、そうなると使える時期が限定されます。春の花の椀を秋に使うわけにはいかず、店側はいくつもの種類の椀を用意するため、負担が大きい。さらに椀に使うだしはよしあしがはっきり表れ、原価率が高くなりがちです。
いっぽうお客側はといえば、食器棚に椀を常備しないくらいですから、日本文化離れは日を追うごとに顕著で、吸物と汁(前者が酒の肴で、後者はご飯のお供)の区別もつかない人たちが増えました。料理人の心入れほど椀に魅力を感じてもらえず、であればと、献立に椀物を入れなかったり鍋などで代用する店も現れています。
実際そうしなければ営業が成り立たない店は、椀物を省略する道も確かにあると思いますし、わかりやすくて喜ばれやすい料理を否定するものではありません。しかし日本料理の技術や伝統を守りたい側としては、残念でなりません。また我々出版社側も、椀物の撮影は一度にたくさん行なうのが困難なため、これまで椀物の単行本をあまり多く世に送り出してこなかったのも事実です。
料理を盛った椀をすべて揃えて一気に撮影。どの椀がどの料理のものか照合するのが大変でした。 |
そこで本書は今もっとも脂の乗った、東京・京都・大阪の3人の料理人さんたちに、“現代”の椀物を作っていただきました。伝統技法を大事にし、その効果を高めるにはどうしたらいいかを深掘りする奥田さん。京料理らしさを感じさせつつ、大胆な素材使いでまったく新しい椀物を創造する末友さん。大阪の伝統野菜と新食材の二挺立てで、大阪的な華のある料理に仕立て上げてみせる松尾さん。それぞれが個性を持ち、他にない椀物を表現してくださいました。これを機に椀の真価が見直され、産地が少しでも元気になる一助になれば幸いです。
投稿者 webmaster : 16:48
2018年05月01日
『焼物・あしらい便利帳』
著者:森本 泰宏
発行年月:2018年4月28日
判型:A5 頁数:264頁
2年前に本書を企画した時は、素材数70、掲載料理数200が目標でした。鍋に作り置ける煮物と違って焼物は一品一品仕上げるのが大変なので、これくらいが限界なのではなかろうかと思いまして。ところがいざ結果はというと、ご覧の通り。実に充実した1冊になりました。
さらに特筆すべきことに、焼物に添えるあしらいも通りいっぺんのものではなく、多くの種類を作っていただきました。日本料理の付け合せは、つい色どりを重視しがちでワンパターンに陥りがちですが、メインの焼物を引き立てるはまり役のあしらいが揃い踏みです。「若い料理人さんのために、コンパクトに仕立ててリーズナブルな価格で」というのが「煮物炊合せ便利帳」から変わらぬコンセプトなのですが、写真が小さいのが惜しくて仕方ないくらい、お値打ちな内容です。
小社には「銀座小十」の奥田透さんによる『焼く』という単行本がありますが、こちらは下火の炭火の技術に眼目を置いたもの。一方本書で取り扱うのは主に上火の「焼き台」という道具やオーブンなどで焼く料理で、両者はお互いを補足し合う関係にあります。ちなみにどちらも家庭で作る焼物とは異なります(家庭で使われているのはガスグリルですから)。プロならではの、外国料理にはない日本料理の焼物の技術は、もっとクローズアップされてよいでしょう。
5分おきくらいのペースで切れ目なく完成品が出てきたのには驚かされました。それを迷いも滞りもなく、次々と撮影するカメラマンの越田悟全さんにも…。 | |
ウナギの不漁が続く中、最近クローズアップされるようになったナマズ。そのおろし方のプロセスも撮影しましたが、結局掲載は見送りました。ちょっと残念。 | |
ずらりと並んだ各種焼きだれです。 |
投稿者 webmaster : 14:00
2017年11月24日
『割烹あらかると』
著者:柴田書店編
発行年月:2017年12月1日
判型:B5変型判 頁数:296頁
取材をさせていただいた10店に共通することは、自分のやりたいことが明確で、それに真っ直ぐに向かって仕事をしているということ(自分の店を出すわけだから当然といえば当然ですが)。
店主のみなさんはこれまでいろいろな経験をなさって今に至っているわけですから、当然なのかもしれませんが、これをぶれずに押し進めるって、かなりすごいことだと思うわけです。
修業時代には、すでに将来独立する店の厨房の細部の設計図ができ上がっていた。
こうして働きやすさを優先した理想の厨房をつくり上げた(星火)。
そしてもう一つの共通点はカウンター仕事であること。お客さまの顔を見て、話をし、求めるものを察して、おいしい料理を出す。お客さまの心を推し量るのはとてもむずかしい技術ですが、これができる店がリピーターを増やし、長く長く愛される店になっていくのではないかと...。
そんなことを思いながら、今回も楽しく取材をさせていただきました。ありがとうございました。
投稿者 webmaster : 12:50
2016年08月26日
『やさい割烹』
著者:野崎 洋光、江崎 新太郎、堀内 誠 共著
発行年月:2016年9月1日
判型:B5変 頁数:約200頁
昨年8月に刊行した『かじゅある割烹』は、お値打ちな価格(5000から7000円)のコース料理で人気の和食店にご登場いただいて、料理と経営の話をまとめました。これらのお店では、高級食材を使ってご馳走感を出しつつ、野菜を上手に生かして原価調整をしているケースが多く見受けられました。これが圧倒的なお値打ち感を支える技術でした。
本書ではその技術をクローズアップして、本格的な日本料理にうまく野菜を取り入れた事例を紹介しました。
ご登場いただく料理長の世代を変えることで、料理に違いが出てくるのではないかと、60歳台代表の分とく山の野崎さん、50歳台代表の青山えさきの江崎さん、30歳台代表の旬菜おぐら家の堀内さんの3名にご登場いただきました。
狙いはぴったり。それぞれまったく傾向の違った料理をつくってくださいました。
野崎さんは、伝統的な料理に野菜を加えることで、軽やかでやさしい日本料理をつくってくださいました。
江崎さんは、ご自身の料理を「えさき料理」と称しています。本書でも江崎さん独自の世界を見せてくださいました。多種多様の野菜を使い、献立名にも産地を入れるなど、野菜へのこだわりがあります。
堀内さんは、一番若手だけあって、チャレンジ精神にあふれています。店では日替わりで一品料理も出しています。高級食材を使いつつ、野菜でボリュームアップするワザはピカイチです。
さあ、みなさんもヘルシーでカラフルでさわやかな野菜料理を献立にぜひとり入れてみてください!
投稿者 webmaster : 11:30
2016年08月18日
『『賛否両論』笠原将弘の 味づくり虎の巻』
著者:笠原将弘
発行年月:2016年9月1日
判型:A5 頁数:280頁
だし・たれ・合わせ調味料の数は275!もちろんすべてレシピ通りの配合で、きちんと作っていただいたものを撮影させていただきました。
淡々とたれを小皿に入れる笠原さん。もくもくと写真を撮るカメラマン。料理撮影&試食もはさみながら、きっちりと時間内、予定日数内に撮影を終了することができました。あいかわらず男前な仕事ぶりです。
だしやたれはもちろんですが、後半の「便利な作りおき」も、かなり優秀です。
なるほど、この状態まで仕込んでおいて直前に料理に仕上げるのね、と、プロの仕事の一端を覗かせていただいたようで、勉強になりました。プロはもちろん、ご家庭の主婦の方にも役立つのではないかと思います。
また、たれや作りおきを使った「活用料理」だけでも121品ありますので、料理書としても充分成り立っています。いろいろな目的でいろいろな方に、幅広くお使いいただければと思います。
投稿者 webmaster : 16:10
2016年07月26日
『日本料理 野菜調理ハンドブック』
著者:奥田高光
発行年月:2016年7月28日
判型:A5変 頁数:188頁
私が編集一年生だったころから、この本の前身となった『野菜調理の基礎』は座右の書でした。
切り方の名前がわからないとき、包丁の部位の名称がわからないとき、また味つけの方法がわからないときなど、手前味噌ですが、この本を開くと、とてもていねい解説してあって参考になりました。
その本が書店さんの店頭から消えてしまうのは、実に惜しいという思いから再編集をしたらどうかと始めたのが本書です。
日本料理では修業先によって呼び方ややり方などが多少違います。どれが正解でどれが間違っているとはいえません。本書は大阪の「梅市」という日本料理店のご主人がついた今和泉明氏仕込の技術が解説されています。
しかしどんな流儀であれ基本は同じです。そして野菜調理は基礎の基礎です。
ところで本書の元となった『野菜調理の基礎』の撮影はとても大変だったと著者の奥田さんや担当編集者から聞いています。
徹夜撮影はあたりまえ、毎回厨房にはずらりと門下生が集まって応援をしてくれたようです。この撮影が2年続き、やっと3年目から編集作業にとりかかったと聞いています。
最近では2-3ヵ月で料理本をつくるという話をよく耳にします。当時の本づくりを想像することなど、できないでしょうね。
投稿者 webmaster : 14:45
2015年11月13日
『日本料理 前菜と組肴』
著者:野洋光
発行年月:2015年11月16日
判型:B5 頁数:240頁
超過密スケジュールの野さん。
1年先までスケジュールのカレンダーがぎっしり詰まっています。
毎年5冊も6冊も著書を出版し、月に1回韓国に出向いて日本料理を指導。
日本各地のイベントに参加されています。
驚くような過密なスケジュールですが、
ほぼ毎晩「分とく山」のカウンターに立ちます。
そしていつもニコニコと笑っています。
このようなパワーの源はいったい何なのでしょうか?
今回の撮影を通して、少しわかったような気がします。
それは一緒にお店を切り盛りする
30名ほどのスタッフとのコミュニケーションではないでしょうか。
ご自身の歳の半分以下の若いスタッフに囲まれて、
いきいきと仕事をされています。
こうした活気のある仕事から生まれてくる料理の数々は
つねに新しいアイデアにあふれ、日本の行事や季節感を感じさせてくれる
洒落っ気のある楽しい名前がついています。
思わず顔がゆるんできます!
一品ずつのレシピ解説欄にも、食材の組合せや調理方法、
伝えられてきた名前の由来など、
知っていれば料理の楽しさが倍増する豆知識を一言添えていただきました。
料理をお客さまに提供するときも、こうした話を一言添えるだけで、
価値が上がること間違いなしです!
投稿者 webmaster : 12:22
2015年09月18日
『板前割烹の先付と酒肴』
著者:門脇俊哉、山内英仁、橋本 亨、山本晴彦 共著
発行年月:2015年9月18日
判型:B5 頁数:208頁
近頃の板前割烹って、なんだか融通が利かなくて窮屈ですよねえ。
カウンターでも二人以上からで要予約。
下手をすれば席に座る時間まで店側が指定。
酒豪だろうが下戸だろうが、コース料理の内容はお決まりで1種類のみ。
皿が空になってずいぶん経とうが、まだ食べている途中だろうがお構いなしに、
厨房のペースで料理が出てくる…。
大きな料亭ならいざ知らず、今まさにカウンターの向こうで料理を料理人さんが作っているのにもかかわらずですよ?
器の上げ下げをするのが楽だから、店作りの初期投資がかからないから、雇うスタッフの数をぎりぎりに絞りたいから、という自分勝手な理由だけで板前割烹のスタイルを選んだのかしら、といぶかりたくなるようなお店が少なくないです。
板前割烹の醍醐味は、作り手と食べ手の距離が近くて、両者のキャッチボールでその日の食事というイベントが作られていくことにあるのになんてもったいない。
小さなライブハウスでのジャズ演奏みたいもんですよねえ。
そうした臨機応変、融通無碍な料理を作るには、アイディアの引き出しをたくさん持っていて、自由に発想できなければなりません。
お客さまが求めるものをその場で汲み取って、アレンジする力量が必要です。
そんな応用力を得たいという料理人さんたちに向けて、この本は編まれました。
ですから必要最小限の割合はあっても、分量はのせておりません。
その場で仕立てるのに、いちいち計るわけないしね。
アドリブの利いた料理の数々を作ってくださった4人の著者の方々は言うまでもありませんが、その出来立て感をレンズを通して捉えてくださったカメラマンの海老原さん、生き生きとして見やすいレイアウトにまとめ上げてくださった岡本デザイン室の岡本さんと島田さん、見事に紙の上に表現してくださった文化カラー印刷の皆さんに感謝です。
そしてこの本を手にとってくださった料理人さんたちにも。
本に刺激されて新しい料理が生まれる、そんな化学反応がおこればうれしいです。
投稿者 webmaster : 09:43
2015年08月31日
『かじゅある割烹』
柴田書店 編
発行年月:2015年8月31日
判型:B5変 頁数:328頁
日本料理の楽しみ方は、四季を感じ、旬を味わうことです。
ですから日本料理店は季節ごとに食材を変え、器を変えて、その気候やその土地に合った料理を提供することを大切にしています。
いくら作り手が懸命になっても、食べ手に知識がないと、楽しみが半減します。
ですから、食べ手にも日本料理の楽しみ方を知ってもらうことも必要だと痛感しました。
さて低価格でお値打ち料理を提供するためには、
つねに満席を維持しなければなりません。
そのために今回取材をさせていただいた12店は実にいろいろな工夫を凝らしています。
それは看板料理かもしれません。
あるいは、料理のボリュームかもしれません。
店主の人柄であったり、心をなごませるサービスかもしれません。
あたりまえのことかもしれませんが、お客さまを惹きつけるこうした努力を飽きることなく続けられる店が、満席を続けることができるのだと再確認しました。
焼物には揚物をつけ合わせて
飽きさせずにボリュームアップさせる
「板前心 菊うら」。
ポケットマネーで楽しめるコース価格を設定し、
このやり方を20年以上続けている。
仕出し弁当で移転後の店を軌道にのせた
「和食きんとき」。
串焼き(焼鳥)とうに
御飯が「いふう」の
看板商品。
鎌倉野菜のサラダと
鯖の棒寿司が名物の
「くおん」。
炭火焼きの肉が「和創作 太」の人気。
フランス料理の修業をした主人ならではの一品。
芯から温まる貝の葛湯は
「有いち」ならではの一品。
〆は必ず手打ちの
冷たいおろしそば。
たった一人で
店を切り盛りするために
設計した「高輪台いま井」の
店づくりは一見の価値あり。
5000円のコース1本で勝負する
「幸せ三昧」。
日本料理店であるからには、
椀物はコースからはずせないという。
徳島から
その日に水揚げされた魚介を
空輸で取り寄せて使う「旬菜 おぐら家」。
コース内コース料理と位置づけている
バラエティに富んだ八寸は
「お料理 春草」の人気を支える。
品数の多さが人気の
「いまゐ」のコース料理。
隠れた名物は故郷から届く
トマトでつくったトマトジュースとトマトの揚げだし。
料理の最後、
食事の前に「いまここ」では
必ず鍋料理を出して山場をつくる。
投稿者 webmaster : 09:58
2015年07月31日
『日本料理店のお弁当』
著者:平井和光、結野安雄 (和光庵) 共著
発行年月:2015年8月1日
判型:B5 頁数:176頁
日本料理の弁当と仕出しを扱った本としては、
小社ではすでに岐阜の料亭「末木」の故松岡昌平さんの著作を上梓しています。
松岡さんは高名な茶人でもありましたから、
こちらの本で取り上げた弁当や仕出しは多分にお茶席を意識したものでした。
そこで本書のほうでは、もっと一般的な法事や宴席の仕出しや、折詰を紹介することにいたしました。
これらはご家族で召し上がることが多いので、
子供向けの例を2種類取り上げているのもそうした観点からです。
ご登場いただいた「和光菴」は、聖徳太子のお寺で知られる四天王寺に近く、
大阪一お寺の集中するエリアで仏事用の弁当を多く販売してきた実力店です。
厨房に入ると、料理人さんたち人数分のマイ包丁ケース(ちょっとテニスラケットみたいです)がロッカーの上にずらりと並び、とても一人では持ち上がらないサイズの大鍋がいくつも五徳にかけられ、煮上がった料理がガンガン回る扇風機で冷まされているという、活気ある光景が見られます。
大量調理というと工場生産のようなものと想像されるかもしれませんが、実際には多くのプロによる手作りであり、その技術は小規模な割烹ではまねできないものです。
ただ、工場で作られているのではないため、
小芋ひと切れが何gで醤油が何ccで何分加熱して…というマニュアルもありません。
仕上げは結野料理長ら熟練スタッフたちの感覚次第。
そもそも折詰であればきっちり隙間なく詰めるのが最優先事項なので、
重さよりも大きさが大事なようです。
分量をこまかく明記していない点、どうかご勘弁お願いします。
投稿者 webmaster : 12:57
2014年08月21日
日本料理の基礎 『煮物とみりんの本』
日本料理の四季編集部編
発行年月:2014年8月22日
判型:B5 頁数:112頁
料理と調味料の2本立ての構成で日本料理の基礎を学ぶ本シリーズ、今回は煮物とみりんというちょっと地味なラインナップ……と思ったらおおまちがい。
煮物を仕切る「煮方」は料理長あるいは店のナンバーツーが担当する重要な部署。煮物は火加減と味つけの力がストレートに反映する、料理人の腕が問われる重要なジャンルです。
またみりんは、かつては高価でプロの世界でしか使えなかった、日本独自の調味料(醤油や塩はほかの国でも見られます)。にも関わらず、その歴史や製法などはあまり知られておりません。
ちなみに江戸時代後期までは純然たる飲み物でした。今でもお屠蘇に使いますものね。
さらにみりんと同じ用途で使われる赤酒に至っては、一般読者はほとんど縁がないでしょう。
実はこれ、料理店では知る人ぞ知る調味料でして(月刊専門料理に長らく広告が入っていたせいもありますが…)、みりんと赤酒を使い分けている人もいらっしゃいます。
不思議なことに「うちはこんな変わった塩を使っています」というアピールはラーメン屋さんを筆頭にいろんな店で見る機会がありますが、みりんや赤酒の使用ブランドを開示する例はあんまり見かけないですね。
能ある鷹はなんとやら、ということかもしれません。
本書ではみりん、赤酒、さらにそれらをまとめて日本酒という調味料の潜在力に注目します。テリヤキソースの普及からわかるように、その魅力たるやなかなかのもの。
UMAMIもいいけど、米から作る優れた調味料の存在をもっと世界に向けてアピールしてもいいと思うのですが……。
*** シリーズ 日本料理の基礎 好評発売中!! ************
日本料理の基礎 『焼き物と塩の本』
日本料理の四季 編集部編
発行年月:2013年11月20日
判型:B5 頁数:112頁
日本料理の基礎 『刺身と醤油の本』
日本料理の四季 編集部編
発行年月:2013年8月1日
判型:B5 頁数:108頁
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投稿者 webmaster : 16:25
2014年06月26日
『The酒菜1500』
柴田書店編
発行年月:2014年6月27日
判型:A5変 頁数:552頁
「柴田書店の書庫には料理のポジフィルムが山のように眠っているのに、
なぜ利用しないんだ」「どうして1000円の本が作れないのか!」と
各方面の方々から、つね日頃小言をいただいていました。
そこで「よし、みんながあっと驚くような本を作ってみよう」と一念発起。
ポジフィルムの再利用を考えてみました。
今までも古い本を焼き直しして復刻版として出版したことはありました。
それでも元の本の魅力を超えることは難しいのです。
ここでみなさんにお届けする『The酒菜1500』は、
『酒菜シリーズ』全3巻を1冊にまとめたもの。
『酒菜』は(柴田書店のなかでは)よく売れた本でした。
これを超えることはむずかしいでしょうけれど、
別の意味で魅力のある本に仕上げなければなりません。
(ゴメンナサイ、それでも1000円にはならなかった!)
さて、 この本の特徴は事典的に使えること です。
最近は生産地や生産者などにこだわった「素材」が注目されているので、
お店のメニュー構成も素材型が多くなっています。
ですからこの本は、素材(50音順)で引けるようにしました。
素材別に並べてみたところ、面白いことに気づきました。
さて、魚の中で一番メニュー数が多い魚種は何でしょう?
これはぶっちぎりで「イワシ」34品でした。
◎つみれごぼうのハンバーグ
[店名] うしのほねあなざ
意外な伏兵は「アナゴ」の24品です。
健闘してますよ。
◎穴子と胡瓜の酢のもの
[店名] 万代家
貝では「ホタテ」の22品。
◎貝柱と大根サラダ
[店名] シンスケ
肉では私の予想通り「鶏肉」の73品でした。
◎ささ身の梅紫蘇焼き
[店名] バードランド
さて野菜はどうでしょう?
第1位は「ナス」の32品。
揚げたり煮たり、大活躍です。
◎加茂茄子揚げだしみぞれかけ
[店名] 古都里
もちろん「豆腐」は
加工品のなかでダントツの46品です。
◎木綿豆腐と胡桃の蒲焼き
[店名] 食彩工房舎人
そして隠れたウリは「珍味」の章です。
カラスミの作り方やウルカの作り方、
1年物のワタで作った塩辛、各種燻製など、
各店の秘蔵の珍味がそろっています。
◎山三特製いかの塩辛
[店名] 山三
寒い季節には鍋が欠かせません。
池波正太郎ばりの豆腐と長ネギの渋い鍋もあれば、
各地の郷土鍋もそろっています。
◎せんべい汁
[店名] 酒菜屋
それでは、頁をめくって酒の肴の奥深い世界をどうぞご堪能ください!!
投稿者 webmaster : 16:54
2013年11月19日
日本料理の基礎 『焼き物と塩の本』
日本料理の基礎 『焼き物と塩の本』
日本料理の四季 編集部編
発行年月:2013年11月20日
判型:B5 頁数:112頁
この夏から刊行を始めた日本料理の基礎シリーズですが、早く皆さんにその存在を知ってもらおうと、第1弾の『刺身と醤油の本』からあまり間をおかずに、第2弾をリリースしました。
このシリーズは広い読者層に向けてがモットーなので、あまりマニアックに走らないようにしているのですが、2冊目ともなると、ついつい各種木炭を集めたり(みんな真っ黒で同じだと思ったら大間違いですからね)、各製法の塩を集めたり(みんな真っ白で同じだと思ったら大間違いですからね)、はるばる塩田にくりだしたり。木炭図鑑だの塩作りルポだのにその成果が表れております。
もっとも聞くも涙、語るも涙。
能登半島までバカンス気分でのこのこ出かけたおかげでバチがあたりまして、雨にたたられて出張が2日延長に。土日に開かれた輪島大祭と珠洲のトライアスロンレースにぶつかって宿がありません。いっとき野宿も覚悟いたしました。
海水を塩田にまいて蒸発・濃縮させるのは、湿度の高い日本独特の方法です。途中で雨が降ったらこれまでの作業がおじゃん。とはいえ、その大変さばかりが注目されていますが、塩作りの決め手は釜で結晶させる工程だったりします。
できたての温かい塩は結晶の形が壊れていなくて、おいしかったですよ。5日も待ったせいかもしれませんが……。
図鑑用の塩は塩で一苦労。
調子に乗っていろいろ集めたはいいが、撮影に6時間以上かかりました。同じ量の塩をできるだけ同じ高さから落として自然な山の形にするのですが、ぱあっと散ったりぼたっと固まったり加減が難しい。積んでは崩し積んでは崩しの賽の河原。
これだけ塩にいろいろな種類があるのは、日本料理の塩の使い方がなかなかに繊細で、いろいろあるからかもしれません。煎って細かくした塩を高いところからふったり、紙をかぶせて間接的にふったり、塩水に浸けたりと、場合によって使い分けたりします。
ところが「塩コショウする」は家庭でも使われるのに、「塩をする」は日本料理店の外ではあまり耳にいたしません。
そもそも家庭で魚を焼かなくなってきた。そのせいで外食でも焼魚が喜ばれなくなってきたとか。和食が世界遺産に登録される見通しなのはとても誇らしいことですが、それがどんなものでどんなにすばらしいか、われわれ自身が理解できているでしょうか。
日本料理の焼き物は、ソテーやグリルとは大きく異なります。フライパンもグリルパンも焼き網も使わず、串を打ってあぶるのが基本です。「バーベキューとどこが違うのか」というのはとんちきのセリフでして、串で美しい形に固定したり、たれを何度もぬり重ねて味をのせたりと、さりげない工夫をするのが日本料理の真骨頂です。世界に誇るべき優れた技術だと思うのですが、料理人さんもそのよさにお気づきになってない。備長炭のコンロも遠火での強火で焼ける上火式ガスグリラーも、家庭にはないので、料理店に行かなければ味わえませんよ。
だいたい和食について外国の人に自慢しようにも、「焼魚の横にある赤い棒って何なの?どうやって作るの?」って尋ねられたときにちゃんと答えられますか? 既製品があるので、今の若い料理人さんも知らないかも……。
不安になったあなた、すぐに本屋さんへGO!
*** シリーズ 日本料理の基礎 好評発売中!! ************
日本料理の基礎 『刺身と醤油の本』
日本料理の四季 編集部編
発行年月:2013年8月1日
判型:B5 頁数:108頁
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投稿者 webmaster : 13:23
2013年08月01日
日本料理の基礎 『刺身と醤油の本』
『刺身と醤油の本』
柴田書店 『日本料理の四季』 編集部編
発行年月:2013年8月1日
判型:B5 頁数:108頁
28年間にわたってご愛読いただきました別冊 『日本料理の四季』は、昨年の43号をもって、惜しまれつつもひとまず幕を閉じました。裏事情を申しますと、会社側は42号で終えるつもりだったのですが、「とんでもない、まだ1冊は作れるし、勝手にやめては読者に対する背信行為」と、43号は半ば強要するような形で編集、発売に踏み切ったものです。
それでも案の定、きちんと挨拶をのせて終刊したのにも関わらず、専門料理編集部には「なぜ今年は『日本料理の四季』が出ないのだ」と苦情の電話がかかって参ります。
『日本料理の四季』は月刊専門料理に掲載されました日本料理特集や記事を再録する形で作られておりました。ところが昨今、本誌に日本料理特集を載せたからといってとくに売れ行きが伸びない。売れないと載せなくなる、載せた記事がなくなると別冊が作れない、というわけで源泉が枯渇したのが終刊の原因です。
とは申しましても、このまま手をこまねているわけにはまいりません。日本料理のみを正面から取り上げた、全国書店で販売する定期刊行物を持つ出版社は小社以外にありません。ちまたではやれミシュランだ、やれクールジャパンだと外野の掛け声ばかり威勢がよろしいようですが、肝心の作り手の創造力がやせ細るようなことがあってはなりません。
日本料理を盛り立てようと、『日本料理の四季』に代わるものとして始めましたのが、この『日本料理の基礎シリーズ』です。献立の各ジャンルと調味料、それぞれひとつずつにスポットをあてて、必要な技術や知識、料理例をまとめております。
「日本料理の“基礎”なんだろう? 俺たちは基礎なんかとっくに卒業したからさ」なんて思ったあなた。基礎はいつになっても大事なものですよ。本書は今さらちょっと聞きづらいような基礎中の基礎にも真正面から向き合う反面、料理長クラスの方にも満足いただけるよう充実した数の料理例を掲載したつもりです。関東と関西の両方の仕事を載せ、世代もベテラン中のベテランはもちろん脂ののった若い料理長にも登場願うなど、できるだけ広い範囲をカバーするよう配慮しております。
第1巻めは「刺身」とそれにかかせない「醤油」がテーマ。加熱調理をともなわない(湯霜や焼き霜は別ですが)刺身は、包丁の冴えが命という側面があります。そこで、刺身の引き方やつまの作り方(よりニンジンやいかりボウフウの作り方なんて、正面きって取り上げた機会は少ないから貴重な情報ですよ)のほかにも、包丁の図鑑や産地ルポも載せました。けっして「かん袋」や「けし餅」が食べてみたくて堺市に行ったわけではありません。
醤油の章でも天然醸造の蔵元を訪ねたほか、開封して空気に触れるとどのように色が変わるのかミニ実験を実施しました。包丁も醤油も、さらにつきつめればそれだけで本が1冊作れるテーマでありまして、本書ではあくまでもさわりではありますが…。
単行本ですので年1回4月刊行というわけには参りませんが、できれば春と秋の年2冊くらいずつのペースで、今後、さらにシリーズの巻数を重ねていきたいと考えております。とはいえ、それもこれもお客さまの支持次第。どうか『日本料理の四季』の弟分として、こちらもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
投稿者 webmaster : 16:00
2013年05月30日
『笠原将弘の和サラダ100』
『笠原将弘の和サラダ100』
著者:笠原将弘
発行年月:2013年6月1日
判型:B5変 頁数:120頁
料理を作っている笠原さんは、とても真剣です。
お話しをするときは、テレビで拝見する気さくな雰囲気そのままですが、素材に向かい、ひとたび包丁を握れば、話しかけるのがはばかられるくらい。
一品一品を手早くかつ丁寧に仕上げていく所作は、まさにプロの料理人です。
お店の他にもさまざまな仕事の依頼があり、とてもお忙しいそうで、
料理のアイデアはいったいいつ考えるのだろう、と思いますが、
料理には一切手抜きはありません。
◎いぶりがっこ、松の実、マスカルポーネのポテサラ
いぶりがっこはマスカルポーネなどのチーズと
相性がバッチリ!!
酒の肴にぴったりの、おつまみサラダ。
◎にんじん はちみつ、実山椒和え みかん添え
にんじんにはちみつの甘味をくわえ、
みかんを添えたほんのり甘いサラダ。
全体を引き締める実山椒がきいた一品。
◎生かぼちゃとあおりいかのサラダ
生かぼちゃのコリコリとした食感が新鮮!!
生食用に改良されたかぼちゃをつかったサラダ。
ねっとりしたあおりいかとの組み合せで
食感のコントラストが際立つ一品。
100品もあれば、同じようなサラダが
いくつか出てきても仕方ないかも・・・という心配は無用でした。
素材の違い、味の違い、仕立て方の違いが丁寧に考えられていて、
お見事でした。
投稿者 webmaster : 17:14
2013年05月10日
『野崎さんのおいしいかさ増しダイエット』
『野崎さんの
おいしいかさ増しダイエット』
著者:野崎洋光
発行年月:2013年5月16日
判型:B5 頁数:96頁
昨年の夏「10kg以上痩せましたよ!」と
野崎さんから電話をいただきました。
写真に残さない手はないと、カメラマンと一緒にお店にうかがったら、
「キュウリですよ!」といって、野崎さんはぽりぽりおいしそうな音を立てて
丸ごとキュウリをかじっていました。
本当に超多忙な毎日をお過ごしですけれど、
キュウリならば何も手をかけずにそのまま食べられるから続いたのだとか。
ビフォー&アフターの写真を2枚のせましたので、比べてみてください。
身体のラインがスッキリ!
かさ増しダイエットが成功したら、私にもくびれができるかしら!?
野崎さんは太らないキュウリで「かさ増し」したわけですね。
この「かさ増し」を料理に応用したのが本書です。
うそじゃないんですよ。
本当の量です。
お米1合を炊くと、白いご飯ならばお茶碗2杯分に相当しますが、
炊き込みご飯ならば3杯分になります。
つまり具材でかさ増しして1.5倍に増やすということです。
左には白いご飯1を、矢印の右には1.5の炊き込みご飯を盛って、
わかりやすく比較してみました。
大好きなご飯を食べながら痩せられるなんて、うれしいですね!
カバーの帯に登場する
野崎さんの手にはシイタケが。
デザイナーさん曰く、
シイタケの「カサ」と「かさ増し」をかけたのだとか!
ちなみにこの大きなシイタケは、
野崎さんの郷里の福島県産なんですよ。
投稿者 webmaster : 17:32
2013年02月14日
『焼く』 日本料理 素材別炭火焼の技法
『焼く』 ― 日本料理 素材別炭火焼きの技法 ―
著者:奥田 透
発行年月:2013年2月15日
判型:B5変 頁数:184頁
初回撮影は、忘れもしない、おととし(2011年)のクリスマスだった。
まだ「銀座小十」が現在のビルに移転する前で、厨房が手狭なため、「銀座奥田」の厨房で始まった。
朝10時集合。休業日にもかかわらず焼き台の前には、「小十」と「奥田」のスタッフが勢ぞろいした。みな真剣だ。
まず「幽庵地にはどれくらいつけるべきか」といった普段の仕事の検証から始めた。1時間おいたもの、1時間半おいたもの、2時間おいたもの。それぞれを同じように焼いて、食べ比べる。こうして適正のつけ時間を確認していった。
焼いている途中で、奥田さんが「火加減を1から10までの数字に当てはめよう」と提案。取材する未熟な私にわかりすいようにと、考えてくださったことである。これは私にとって非常に理解しやすかった。焼く側も徐々になれてきて、なぜこの火加減にするのかを、細かく解説しながら焼いてくださった。これがのちのち、原稿に反映され、読者のみなさんにも伝わることになったのだ。
火加減を調節するということは、炭のおこし方だけで決まるものではない。炭の積み上げ方、積み上げる位置、炭に灰をかぶせるか否か。さまざまな火加減のし方があるということをここで、はじめて知った。
焼き台がよく見えるようにと、用意していただいた踏み台にのって、熱い炭火のそばでノートをとった。炭の赤色がわかるようにと、ストロボを立てずに撮影を進めたが、炭火の温度は相当なもので、焼き台の上につけた撮影用の電球が熱で溶けてゆがんでしまったほど。カメラマンの大山さんは、私以上に熱かったに違いない。
焼き上がりの写真を撮り終え、試食の時間。ほんとうに旨い。この至福のときが待っているのだから、どんな灼熱の焼き台であっても、我慢は容易いことだ。本書に載っている魚介や肉や野菜は、すべて試食した。仕事とはいえ、2度と得られない経験だろう。
読者のみなさんに、はたして美味しさを伝えることができただろうか。
投稿者 webmaster : 10:06
2013年01月11日
『天ぷらの全仕事』
『天ぷらの全仕事』
著者:近藤文夫
発行年月:2013年1月17日
判型:B5変 頁数:232頁
天ぷらは高カロリーでおなかにもたれる、などという先入観はみごとに打ち砕かれます。とにかく軽くて食べやすく、素材の味をぐっと引き出す揚げ方は、それは見事なものです。
NHKの某テレビ番組で近藤さんが揚げた天ぷらと、家庭の天ぷらのカロリーを比べたことがあるそうです。
なんと、倍以上の違いがあったそうですよ。
まさに油の魔術師です!
とにかく素材の持ち味を最高に生かす揚げ方にかけては、天下一品です。
近藤さんのさつまいもの天ぷらはあまりにも有名ですね。
今ではあちこちの店で見かけるようになりましたが、最初に考案したのは近藤さんです。「焼き芋のおいしさに比べて、さつまいもの天ぷらはどうしておいしくないのだろう」と考え、来る日も来る日も試作に明け暮れ、焼き芋のような美味しさを余熱を利用して実現しました。
圧巻の一品です。
また、営業中、近藤さんはカウンターの15名のお客様に最もよい状態で天ぷらを提供するために揚げ鍋を2つ使っています。15名の天ぷらを次々と揚げていくのに、1つの鍋では適温を保つのがむずかしいからです。天種を揚げる順番、揚げ時間、2つの鍋の移動、お客様に合わせた提供など、同時に行なわなければならないさまざまな作業を、手早く無駄のない動作でこなしていく近藤さんの姿は、思わず箸をとめて見とれてしまうほどです。
近藤さんの長年にわたる修業で磨かれた技術、新しい素材への研究心とチャレンジ精神が詰まった1冊です。
どうぞご覧ください。
投稿者 webmaster : 11:45
2012年11月02日
日本語版とは違った楽しみ方!
『SALAD (英語版)』
著者:村田吉弘
発行年月:2012年11月5日
判型:A4 頁数:176頁
本書を見たら、写真のダイナミックさと美しさ、同時に「SALAD」という単語からは想像もできないような斬新な盛り付けや色鮮やかな料理の数々に驚かれることでしょう。
すでに日本語版を手に取っていただいた方も、英語版はサイズがひと回り大きいA4判になったこと、ハードカバーになったことで、日本語版とはまた違った楽しみ方をしていただけると思います。
常に世界を視野に入れ、日本料理を海外へ発信していくことに奔走している著者。著者は海外からのシェフとの交流も積極的に行ない、日本料理を伝えていくこともしています。今回推薦文を書いていただいたのは、著者と交流のある2人のシェフ。今世界中で最も注目を浴びている、イギリスの「ザ・ファット・ダック」のヘストン・ブルメンタール氏とデンマークの「ノマ」のレネ・レゼピ氏です。
お二人の推薦文の言葉を一部ご紹介しましょう。
「村田吉弘氏は、現代日本の美食文化の先駆者の一人です。私が彼に会ったのは、京都で開かれた“うま味”についてのカンファレンスです。彼はだしでうま味を最大限に活用するための優れた技術をデモンストレーションで見せてくれ、以来、私はその手法を使っています。吉弘氏は技術があり、知識があり、そして独創的です。あなたが日本料理に出会うことがあるならば、その時には彼が間違いなく最良のガイドです。 この本においては、吉弘氏は美しく、新鮮で、エレガントで、独創的な日本料理のアプローチを示すような素晴らしい料理をつくりだしています。これらの料理は、あなたの味覚とあなたの想像力の両方を刺激するものになるだろうと確信しています。」(ヘストン・ブルメンタール氏)
「2009年の冬に、私は京都の菊乃井の厨房でしばらく過ごしました。村田さんが努力を惜しまず妥協を許さない姿勢でいることこそが、彼が自身のコミュニティーや日本国内にとどまらず、世界的にも特別な立場にいるのだ、ということを私はそこで目の当たりにしました。彼は天性のリーダーなのです。この本では、村田さんが積極的に料理の最前線で取り組み続けていることがわかります。(途中略)私は彼からこの推薦文を書くように頼まれたとき、こうした京都での私の時間における記憶を思い出しつつ、喜んで引き受けたのです。(途中略)私はこの本が出ることをとても心待ちにしています。私は村田さんが、この本に載せた料理の数々を通して、彼が自分の店で普段行なっている料理への繊細な心くばりや料理への想いが伝わると確信しています。」(レネ・レゼピ氏)
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『菊乃井・村田吉弘 SALAD』
著者:村田吉弘
発行年月:2012年8月24日
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投稿者 webmaster : 15:17
2012年08月23日
“日本料理はサラダの宝庫”
『SALAD』 編集担当者より♪
『SALAD』
著者:村田吉弘
発行年月:2012年8月24日
判型:B5 頁数:176頁
この本を見て、読者の方の頭にまず浮かぶのは
「?」 マークかもしれません。
これって何の本?
現代アート?
フラワーアレンジメント?
いえいえ、 「これでもサラダ。」 なんです。
もし別の本に見えたとしたら、それはまさに著者、村田さんの思うツボです。
「これまでにないサラダ本をつくろう」というのが
この本のコンセプトでしたから。
撮影は毎回、何が飛び出すかわからない、
スリリングかつハードなものでした。
村田さんの頭の中身は、手伝っている厨房スタッフにも、
カメラマンにも、編集者にも、まったく想像がつきません。
「これおもしろいやろ」
「これきれいやろ」
「こんなん見たことないやろ」
という言葉とともに、次々と繰り出される皿、皿、皿。
それでも、朝から撮影を始めて8時間もすると、
高速回転を続ける灰色の(?)脳細胞も、さすがに限界を迎えます。
「今日はこれで打止めや」。
→ホーーッ。
胸をなでおろすスタッフ一同。
そうしてこの本が完成しました。
そんな著者のあふれ出す感性が山盛り詰まった本書です。
じっくりと見て、読んでいただけると、
必ずや 「?」 が 「!!」 に変わるはずです。
◎蓮芋
ハスイモとレンコンのスライスを、
穴のおもしろさを生かして並べた一品。
オリーブ油とフルール・ド・セルで
シャキシャキの食感を味わいます。
◎賀茂茄子と桃のミルフィーユ
赤と白の田楽味噌を皿に敷き、
上に油焼きにしたナスとモモを交互に重ねた一品。
モモとナス、モモと田楽味噌の意外な組合せと
相性の良さに驚かされます。
◎素麺南瓜と胡瓜
シャキシャキ食感のそうめんかぼちゃとキュウリを、
トマトのクリアウォーターのだしで
冷やし麺のように食べる一品。
オリーブ油でコクを、露ショウガを効かせて
全体を引き締めます。
最後に、
掲載されているお料理は、すべて大変おいしいものです。
それもそのはず。
本書の料理は、伝統的な日本料理の技法で、
しっかりと仕込まれた材料がベースとなっていますので、
おいしくないわけがないんです。
「食べ手不在の料理は料理人が最もやってはいけないこと」。
これは著者が常々言われていることです。
万一読者の方々が
──斬新なプレゼンテーションに走るあまり味は二の次では?──
などと心配されることがあるといけませんので、
ひと言付け加えました。
蛇足だとは思いますが。
投稿者 webmaster : 14:12
2011年12月09日
『魯山人と星岡茶寮の料理』
『魯山人と星岡茶寮の料理』
著者:柴田書店編
発行年月:2011年12月14日
判型:B5変 頁数:152頁
入社して2年目の秋、京都出張は数えるほどしか経験していなかった頃のこと。取材先の料理人さんに教えてもらった知る人ぞ知る板前割烹の実力店へ、その日のうちに飛び込みで食事に参りました。夕方に電話を入れてすぐに押しかけるという、いま思えばずいぶん失礼なお客ですが、やる気だけはあるところを買ってもらえたのか、ご主人と意気投合。コノワタを肴に夜中まで話らいました。そのときに見せていただいたのが、ご主人がよそから借りていた星岡茶寮の機関誌『星岡』の復刻版。いわく、「柴田書店はもっとこういう本を作らなければいけないよ」。
泊まっていきなさいとおっしゃってくれているのを強引に辞して、深夜の京都をあてもなく歩きました。碁盤の目の京都の街は三方を山に囲まれているので、慣れない酔っ払いにはどの角を曲がっても同じように見えて、どっちに向かって歩いているかわからない。いつかご主人をうならせる本を作ってやろうと考えながら、夜の京都をぐるぐるぐるぐる……。
一晩のコノワタの恩義に報いるため、『星岡』の復刻本を送ろうと古本を探したのですが、結局現物を手に入れるのに6年近くかかりました。苦労して探し出してくれた古書店主いわく、「秦秀雄も罪な人だよねえ。自分が関わった雑誌しかまとめなかったのだから」。なぜか22号から80号までと全巻の半数しか収録しておらず、発行部数もわずかにとどまった復刻雑誌。どうも魯山人の周囲にはいろいろと複雑な事情がありそうだと薄々感づきました。
実は陶磁史を研究していたので学生時代に魯山人の文章は読んだことがあったのですが、独力で学んだ人ならではの地に足がついた芸術論や料理論を期待したら、うわすべりのご託宣でがっかり。白崎秀雄の小説はひどい内容だと噂にきいていたのでまったく開いたことがないままでした。ところが雑誌でだしの特集を組んだとき、戦前はどんな方法だったのだろうと、魯山人著作集を開いてみたら文中にテレビが出てくるのにびっくり。どうにもこうにも合点がいかない。いつかは魯山人と対決しなけりゃならんと腹を決め、ついに器と盛り付け特集号の別冊 『日本料理の四季』で取り上げました。今から3年前の話です。
どこをどう調べればいいかは昔とった杵柄で、ちょっとつつくだけでいくらでも新資料が出てきます。うれしかったのは、魯山人が書道展覧会で褒状をとった際の新聞記事がどうしても見つからず(いま思えばそんなものは世になかったのですが)、図書館で白崎の小説をもう一度確かめようとしたとき。同じシの棚に島崎藤村の短編小説集があって、「そういえば彼は星岡茶寮で結婚式を挙げたんだっけ…」となんとなくパラパラ開いたら、魯山人をモデルにした小説が目に飛び込んできたのです。また同じ週の天皇誕生日には神奈川近代文学館で、星岡茶寮の献立の実物にたどりつきました。資料タイトルは「今年竹出版記念会献立表・受領書」とあるだけで、実見して初めてそれとわかったものです。あの日の横浜はクリスマスイルミネーション一色で、思いがけないサンタの贈り物に浮かれました。平日は雑誌編集作業があるので仕方なく、土日祝日をすべて魯山人調査に投入した半年でありました。
そうした成果のまとめを掲載して、京都の夜に出された宿題をようやく提出したつもりでいたのですが、いつになっても魯山人に関する新知識が世に広まる様子がありません。『料理王国』が2冊も文庫化されたり、「現存する資料のほぼすべてに目を通し」た立派なご本が文庫化されたりしているのに。『日本料理の四季』には私が編集した号以外にも、吉田耕三先生の連載記事や、当時の編集部が総力を上げて作った魯山人特集号があるのですが、一向に参考図書に入る気配がありません。
そこでせっかくなので2つの別冊を単行本にまとめました。ご購入ずみの方には申し訳ないので、その後に発見した戦前の婦人雑誌中の魯山人情報を大幅追加いたしました。これでようやく、魯山人に関する資料の末席に連ねてもらえるのではないかと思います。
投稿者 webmaster : 10:09
2011年06月17日
ごはんの魅力、再発見!『旬ごはんとごはんがわり』 編集担当者より♪
『旬ごはんとごはんがわり』
著者:田中博敏
発行年月:2011年6月27日
判型:B5変 頁数:212頁
目次をながめていただくと気づかれるかもしれませんが、
第二章の炊き込みごはんの段に、新玉ねぎ、新生姜、新牛蒡、新丸十と、
“新”のつくごはんがいくつかあります。
これはその年の一番最初に収穫した野菜です。
“新”は持ち味がちがいます。
新玉ねぎは水分をたっぷり含んでいるので、肉厚です。
甘みもあります。新生姜は清々しい独特の香りと辛みがあります。
新牛蒡はやわらかです。新丸十は皮がとてもやわらかい。
これらの持ち味を生かした炊き方を紹介しています。
これがプロの仕事です。
本書にはこのような技が詰まっています。
「面倒で難しいのでは?」そんなことはありません。
なにしろ“ごはん”ですから。
でも、知っておくのと、知らないのでは、雲泥の差となって、味にあらわれます。
私の一番のお気に入りのごはんは
“りんご粥”です。
熱々の七分粥に、
粗おろしにしたフレッシュなりんごを混ぜるだけです。
りんごの甘酸っぱい香りと酸味が、
なんともいえません。
風邪をひいてお腹をこわしたときなどに、
試してみたいですね。
お茶漬けの頁をご覧ください。
“あさり山椒煮茶漬け” “しらす地芽煮茶漬け” “茗荷焼き味噌茶漬け”
“榎木茸時雨煮茶漬け” “野沢菜茶漬け”などなど。
熱いごはんの上に、佃煮風の常備菜をのせて、 お茶やだしをかけるのですが、
なんとここだけで11種類もの常備菜のつくり方を紹介しています。
これらは、お茶漬けだけでなく、熱いご飯にのせて食べていただいてもいいし、
もちろん白いごはんに混ぜてもいいでしょう。
一つのレシピで一つの料理と決めないで!
みなさんのアレンジ次第では2つにも3つにも広がります。
焼き餅三種。
香ばしく焼いた磯辺巻きですが、
みなさんのところでは、
いつも醤油味ばかりではないですか?
ここでは、あぶった切り餅に、
ぴりっと辛い柚子胡椒醤油を塗ったり、
胡麻塩だれを塗ったり、蕗の薹味噌を塗ったり……。
醤油と塩と味噌ベースのたれを塗って
趣向を凝らした焼き餅です。
もちろん“焼きおにぎり”に塗ってもおいしそうですよね。
投稿者 webmaster : 09:49
2010年11月15日
幾多の味を表現!「日本料理 味つけ便利帳」編集担当者より♪
『日本料理 味つけ便利帳』
著者:野崎洋光
発行年月:2010年11月25日
判型:四六 頁数:324頁
野崎さんは、超忙しい。
野崎さんはこの本の著者で、
「分とく山」という都内にある人気の日本料理店の料理長。
毎日あちこちを飛び回っているのに、
夜は必ず店のカウンターに立ちます。
お国訛りがちょっと残っていて、
どんなに忙しくてもいつもにこにこ温かく、
来店客を迎えます。
今回の撮影はいつも午後2時から開始。
でも野崎さんは昼からの料理教室を終えたばかり。
食事をとる暇もなく、すぐにカウンターに入って撮影開始です。
「あっ、これパンにも合うよ。ちょっとパンを買ってきて」と野崎さん、
店のスタッフに声をかけます。
なるほどこの“ナッツ和え衣”すごくパンに合う!
“胡桃和え衣” “絹さや胡桃味噌”もいけるじゃない?
日本料理の和え衣なのにパンに合うなんて!
いつもうちでつくってるキンピラや鯖の味噌煮。
どうして野崎さんがつくるとこんなにおいしいんだろう。
“彩きんぴら”は本当にゴボウがおいしく仕上がります。
きちんと火が通っているんだけど、なぜかシャキシャキ。
「それは酒を使うからですよ。水を使っちゃだめ。
水は煮汁が詰まるまでに時間がかかっちゃうでしょ。
ゴボウの繊維がやわらかくなりすぎてしまいます。
その点お酒を使えば早く煮詰まるんです」
なるほど、で、シャキシャキなのか。
“鯖の味噌煮”もとてもジューシー。
日頃鯖の味噌煮があまり好きじゃない
カメラマンのエビちゃんもびっくり!
こんなにおいしい鯖の味噌煮は初めて食べたって!
「サバは火を通しすぎてはいけないんですよ。
サバに限らず魚の切り身は10分以下で煮てください。
それ以上煮ても味はしみません。肉がぱさつくだけ」
おどろいたのが、“若菜あん”をかけた“蒸し鶏”。
とってもやわらかい。
野崎さん、この鶏、由緒正しい鶏なのですか?
それとも魔法でもかけたのかしら?
「いえいえ、普通のブロイラーですよ。低温で蒸してるんです。
蒸す温度が高すぎると肉が締まってしまいます。
温度の調整が大事なんです」
お肉って高温で加熱するものだと思っていたけど、間違っていたんですね。
私のお気に入りナンバーワン。
忘れちゃいけないのは、“カレー和え衣”と“磯チーズ和え衣”。
子供も大人も大好きだと思います。
どんな味って? うーん言葉にできません。
ぜひぜひお試しを。
和え衣さえ用意すれば、こんなに簡単にできるんです。
さて、いかがでしたか?
この料理にはこれを使って、といった定番の味もいいものですが、
たまには頭を柔軟にして本書を使ってみてください。
同じ素材や料理でも、味つけを変えるだけで、
別の料理に生まれ変わります。
「次の世代に新しい味を伝えたい」
そんな思いで野崎さんはこの本をつくってくれました。
投稿者 webmaster : 18:13
2010年09月06日
伝統と独自の解釈を織り交ぜてつくる“うまいもん” 編集担当者より♪
『割烹 うまいもん』
著者:上野 修
発行年月:2010年9月3日
判型:B5 頁数:240頁
カウンターの中では、独特な“川用語”が飛び交っている。
たとえば、“おまかせスタイルの割鮮”だから、
『おまかっせん』なのであり、
これが何気ない刺身・造りと思いきや、
一つひとつにさり気ない“仕事”が施されている(詳細は作り方参照)。
それをなに食わぬ顔をして顧客に提供、
おっと驚く顔にほくそ笑む。
おそらくカウンター割烹の愉しみ方は、
主客のそうした同じ磁場、空気の交流にあると思われる。
非常に礼儀正しい厨房だが、スタッフの笑い声は絶えない。
そんな仕事場を垣間見せていただいた
(この取材現場はホンマ、おもろかったデ)。
が、雰囲気を少しでも伝えようと、
くだけた表現をレシピ原稿に落とし込んでも、
ごく真っ当な文章に書き換えてくる。
根は生真面目な著者を物語る逸話である。
ちなみに創業者(上野修三氏)は現在、
浪速野菜の研究者として活躍しているだけでなく、
著者ともども食都・大阪の食文化、
観光面などを国内外に向けアピール、
情報発信する仕事にも携わっている。
投稿者 webmaster : 09:59
2010年09月03日
今こそ、役に立つ 日本料理版 冠婚葬祭便利帳! 編集担当者より♪
『日本料理 祝儀 不祝儀ハンドブック』
著者:長島 博
発行年月:2010年9月3日
判型:A5 頁数:168頁
今回初めて、水引の結び方や和紙飾りの折り方を学びました。
普段まったくやらないことなので理解するまでは大変でしたが、
自分で実際に何度かやってみると、なるほどとその基本構造が納得でき、
きれいに作るコツも少しずつわかってきて、けっこう病みつきになります。
今では不器用な私でも、淡路結びや、雄蝶、
雌蝶飾りといった銚子飾りまでお手のものです(笑)。
[結びの基本]
◎淡路結び
祝儀袋や箸包みなどに
水引を掛けて結んでいく方法。
[酒器飾り]
◎雄蝶飾り
婚礼の儀式で銚子や提下、燗鍋などの
酒器に付ける和紙の飾り。
[箸包み]
◎箸包み
開口部を着物の襟合わせのように斜めに重ね、
紅色の紙を見せた華やかさのある箸包み。
典型的な祝箸用の「折形」。
[熨斗]
◎熨斗包み
贈答品などを、丁寧に差し上げるいう気持ちを込めて
和紙で包む際の「折形」の一つ。
自分で和紙と水引を買ってきて、熨斗袋を作り、
水引きを掛けてお祝を贈る、あるいは、
お屠蘇飾りを毎年自分で作ってみる、
なかなかステキなことだと思いませんか。
しかも、そういう知識は、
料理の現場で本当に役に立つことばかりです。
椀物のあしらいや、お祝の口取、器使い、
和紙や水引を使った演出、その他たくさんの場面で。
約束事の基本を知っていれば、
自分なりの応用も自信をもってできるようになります。
表現の幅もぐっと広がって、新たな世界が開けることでしょう。
外国人のお客さまにも、また違った意味で喜んでもらえると思います。
投稿者 webmaster : 13:34
2009年11月04日
懐石のことが、手に取るようによくわかる。 編集担当者より
『懐石入門』
著者:高橋英一
発行年月:2009年11月5日
判型:B5変判 頁数:256頁
懐石というと、堅苦しくて難しくて…と敬遠される方も多いかもしれません。
でも、実は巷にあふれる一般的な会席料理と比べて、懐石料理はむしろシンプルです。
もともと茶の湯では、ゴテゴテと飾らず、素材を生かしたごく簡素な料理を出すのがスジなのです。
たとえば焼きもの。
本書でよく登場する「味噌柚庵焼き」は、酒、醤油、ミリンの柚庵地に白味噌を加え、ユズとともに魚を漬け込んで焼くだけのもの。どんな魚種にもよく合い、懐石では焼きたてのアツアツを提供するのが原則ですが、冷めても固くならず味も落ちないので、お弁当などにも適した調理法です。
また、和えものの「菊菜と腹子の菊花和え 山葵風味」。
菊菜はゆがいてうす味の地に浸け、
菊花は酢水でゆがいて水にさらし、
イクラの醤油漬けとともに、ワサビをきかせた地で和えるだけ。
しゃれた一品のでき上がりです。
素材別の索引も利用しながら、手に入らない素材があれば適当に工夫をして、
一度チャレンジしてみてください。
実際につくってみたら意外と簡単で、日常の食事に応用できるものもたくさんあります。
投稿者 webmaster : 15:57