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ア・ポワン 岡田吉之のお菓子シンプルをきわめる
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菓子づくりの考え方にこそ味がある
- 発行年月
- 2010年9月3日
- 判型
- B5
- 頁数
- 336頁
- 著者
- 岡田 吉之 著
- 定価
- 6,380円(税込) 品切れ
- ISBN
-
978-4-388-06050-4
西八王子にあって、マカロンをはじめ、一見シンプルなつくりのお菓子で多くのファンを魅了してきた「ア・ポワン」のお菓子の本が出ました。70品あまりの美しく、かわいらしいお菓子のレシピとともに、おいしいお菓子づくりに心血を注いできた岡田吉之シェフが、どうおいしさを表現しているか、なぜそうつくるかをじっくり語っています。
レシピもさることながら、長年お菓子をつくってきた経験、試作のくり返しから追求し、蓄積してきたそのお菓子づくりの考え方にこそ、ほかにはない価値があります。
岡田シェフの熱い思い、おいしくてかわいいものをいつくしむ気持ちをレシピといっしょにどうぞ味わってみてください。
◎杉野英実 氏より [パチシエ イデミ スギノ]
「本をじっくり読んでみて、どれだけ岡田さんがお菓子づくりに没頭してきたかがわかり、涙が出てくるほどだ。職人として共感するところが多い。とてもいい本だからぜひ若い菓子職人たちにも読んでもらいたい。」
◎河田勝彦 氏より [オーボンヴュータン]
「岡田君らしい楽しげでいい本になったね。本を読んで、岡田君が細かい点までよくつきつめて菓子をつくっているのがわかった。」
◎大森由紀子 氏より [フランス菓子・料理研究家]
「お菓子は、どれもこれも本当に岡田さんらしい、ほっとさせる美味しさとお菓子への愛にあふれた作品たち。誰も真似できないね。どことなく、岡田さんの人柄がでている。人々をなごませる、お菓子は愛情でつくるんだよと語りかけている本です」
レシピの難易度:★★★ 肱岡香子さんの温かみのあるスタイリングと陰影のきれいな渡邉文彦カメラマンによるお菓子の写真は、お菓子づくりを楽しんでいる雰囲気ごと映し出しているように見えます。
おいしそうでとてもきれい。そして、かわいらしい。そんなお菓子たちは、クレーム・カラメル、シュークリーム、パイナップルのエクレア、ショートケーキなど日本人が大好きなおなじみのお菓子から紹介されます。レシピはとても細かくプロセス写真で追い、要所要所にポイントも解説されています。
そして、岡田シェフも時々吹き出しつきでプロセス写真に登場します。これが類書にはなく、楽しい雰囲気をつくっています。
このほか、フランスの定番菓子である洋梨のシャルロットやピュイ・ダムール、マドレーヌやガレット・ブルトンヌ、また家庭菓子のフラン・ナチュール、そして「シャホッ」と砕け散る繊細な食感のオリジナルのメレンゲ菓子クロタン・ココからクグロフ・アルザシアンなど、温かみのある懐かしいお菓子がいくつも登場します。
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「平凡なものを非凡につくる」これは岡田シェフのポリシーです。
シンプルなつくりのお菓子、たとえばシュークリームやガトー・ショコラなどをいかに極上においしくつくるか。そこにスタンスを置くのが岡田流のお菓子づくりです。
そのはじまりはマカロンでした。かつて働いていたレストランでアーモンドの香り立つマカロンに出会い、触発されて以来、おびただしいメモとともに自分らしいおいしいマカロンを追い求めてきました。当時、いまのようにマカロンはまだ注目されていたわけではなく、
資料やレシピ本もない時代でした。わずかな文字だけのレシピから、想像力をたくましくしておいしさをたぐり寄せるように試作をくり返してきました。
やがてフランスに修業に行き、本場のマカロンを片っ端から試食し、舌の記憶も蓄積。そして、もっとおいしい自分らしいマカロンをと追求し、やがて繊細な食感と味わいの「ア・ポワン」のマカロンができ上がります。
そのマカロンは、「生地、生クリーム、ソース」の章と「メレンゲ菓子、ディップ菓子」の章のそれぞれ冒頭に紹介されています。
こうしたマカロンの味の追求の過程で、泡立て方や混ぜ方、焼き方などによってどういう味、香りが生まれるかといったおいしさの秘訣を実は体得していったのです。そして、その技術はすべてのお菓子に楽しく表現されることになります。
基本の生地やクリームの頁、そしてそれぞれのお菓子の頁にわたって、岡田シェフの意図、なぜそうつくるかがわかりやすく語られています。ゆえに本書は、地に足のついた唯一無二のお菓子論の書でもあります。それも楽しく読める内容です。
すべてのお菓子たちは岡田シェフがかわいがり、大切にして少しずつ育ててきました。そんな中で息子さんを喜ばせるためにつくったというお菓子があります。ドワ・ドワというクッキーで象やクマなどの動物を模したもので、穴があいていてそこに指を入れると指人形にもなるという楽しいものです。シナモン入りのスペキュロスクッキーもあり、これはアルザスで買ってきた味わい深い表情の聖人をかたどった型を使っています。しみじみかわいいと思えるその形にも、注目していただければと思います。
- [担当編集者より]
- はじめて岡田シェフの柿の種入りマカロンをいただいて食べた時のことを、いまでも覚えています。目からウロコのおいしさでした。
いまでいえばフランスのM.O.F.(フランス最優秀職人章)の試験のテーマにもなる「シュクレ・サレ」(甘いものとしょっぱいものの融合された味)のおいしさそのものです。
コンビニのスナック菓子もお好きだという岡田シェフは、ある日、チョコレートをコーティングした柿の種を食べてピンとくるものがあったようです。
そんな少年のような遊び心も、お菓子づくりの調味料。
だから岡田シェフのお菓子を食べるとウキウキ楽しめるのかなと感じています。
本書もそんなウキウキ感が味わえます。
◎岡田吉之(おかだ・よしゆき)
1958年生まれ。
大学時代にスキー場のレストランでアルバイトをしたことをきっかけに、ものをつくってサービスする仕事に目覚め、菓子職人を志す。調理師学校卒業後、高級ステーキ店とフランス料理店に計4年勤め、素材の見極め方や味づくるの基本を学ぶ。その後、フランス菓子店で修業し、1988年に渡仏。パリのパティスリー「ミエ」で2年、アルザスのパティスリー「ジャック」で1年修業する。1992年、出身地である東京・西八王子に「ア・ポワン」を開店。菓子づくりを料理ととらえ、独自の味の表現を追求。経験則と確かなイメージでつくり出したお菓子は、思わずハッとさせられる豊かな味わい。心和むかわいらしさと、力強い存在感をあわせ持つ。食べ手をほっとさせると同時に、深い印象を残す。
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