日々、学校で、日本料理を志す若者を指導している著者と、同校の日本料理研究室の教授陣が、日本料理の入門書としてふさわしいテーマ・素材・料理等を検討を重ねて選び出し、まとめ上げた1冊。まさに究極の日本料理入門書です。
基礎編では、歴史、調理器具、調味料、器、それに魚介類・野菜・乾物類の下処理、だし等について、必要な知識と技術をまとめてあります。
一方、調理法編では、献立の流れに沿って約150品の料理の作り方を紹介し、同時に各調理法ごとに詳しい解説を加えてあります。入門書としてだけでなく、すでにプロとして働いている人にとっても、膨大な内容が1冊に集約された本書は、座右の書として役立つこと請け合いです。
日本料理の教科書でありながら、料理写真は教科書とは思えないほどのシズル感にあふれたもの。変化に富んだ器遣いも、非常にレベルの高いもので、すべて器名が併記されているため、器の勉強にも役立ちます。
また、カラー頁の料理写真には、それぞれ季節を示すマークがつけられており、春から夏の料理なのか、春と秋に旬を迎える素材なのか等がひと目でわかるよう工夫されています。
料理の解説ページは、材料、準備、作り方、こつとポイント、プロセス写真がきちんと区分け整理された見やすいレイアウト。その中で、細かな包丁仕事や串打ち、手を動かす作業など、写真ではわかりにくい部分についてイラスト(総点数520)が効果的に使われています。
巻頭から68頁までは、モノクロで日本料理の基礎知識をじっくりと解説しています。
内容は日本料理の歴史、調理器具、日本料理の器、調味料、香味料、日本料理と酒、魚介類の基礎、野菜の下ごしらえ、獣鳥肉類・卵類の基礎、乾物・加工品の基礎、だし汁の基礎。それ以降は調理法別の構成となり、それぞれ代表的な料理を10から15品カラー写真で紹介。
次に各調理法の基礎知識、写真の料理の解説(分量、プロセス写真あり)と続きます。
調理法は、椀物、造り、焼き物、煮物、揚げ物、蒸し物、酢の物・和え物、ご飯物・麺類、鍋物、練リ物・寄せ物・流し物、八寸、水菓子・甘味の12項目で、料理数は計約150品。最後に献立例と献立の立て方を解説しています。
調理器具はすべて写真入り、包丁の扱いや切り方・研ぎ方、魚介の下処理や野菜の切り方等は、イラストを多用することで、わかりやすさが倍増しています。また、2000語近い単語を拾った総索引も、素材、調理法、料理名など、知りたい言葉のほとんどがカバーされており、価値あるページです。