フランス料理は長大な歴史をもつ、非常に体系的な料理です。この料理を理解しようと思うのなら、この料理が何をルーツとし、どんな変化をたどり、どんな技術に支えられて現在に至っているかを知ったうえで、具体的なレシピにあたることが大切です。本書はそのすべてに答えられる究極のテキストだと言えましょう。
知識面では、中世の歴史に遡り、歴代の名料理人たちに触れ、現在フランス料理の基礎となっているさまざまな地方料理を解説。
技術面では、基礎情報として調理器具や材料のこと、野菜の切り方と名称、魚や肉の用途別のさばき方、基本のフォンやソースについての体系的な解説などを掲載。
さらに実践面では、オードヴルからデザートまで約140品のレシピを写真を添えてわかりやすく解説してあります。
本書の特徴は、知識と技術を段階的に解説し、目で見て理解できるようにカラー写真を多用している点です。
たとえばブイヨンやフォンの作り方は、まず概論として、ブイヨンやフォンがどのように分類され、どうすればよい味のフォンがとれるのかなどを解説します。それら知識を念頭に入れて、実際にブイヨンのとり方をカラー写真付きの詳細なレシピで体得できるようになっています。
ソースについても同様で、歴史的背景や体系的な分類を解説したうえで、レシピをカラーで紹介します。また、魚や肉のさばき方も、非常に理解しやすいヴィジュアル構成になっています。
第1章は、中世14世紀から始まるフランス料理の歴史解説(年表付き)、エスコフィエやポール・ボキューズなどの料理人詳細解説、調理器具解説、基本材料解説(スパイス、ハーブ、調味料、料理酒、乳製品など)を掲載しています。
第2章は、基本の出し汁とソースの解説とレシピを掲載しており、出し汁はブイヨン、フォン・ド・ヴォライユ、フォン・ド・ヴォー、フュメ・ド・ポワソンをはじめ、フランス料理を知るうえで必須となるものをもれなく網羅。ソースも、冷製・温製とり混ぜて18種類を掲載。また、料理レシピは、オードヴルとポタージュを30品、魚介料理30品、肉料理36品、野菜料理25品、デザート14品をすべて写真付きで掲載。
第3章は、調理の理論ともいえる知識編です。自分でコースを組み立てるときのアプローチの方法、さまざまな加熱法とその特徴、フランスの地方の特色と地方料理について詳しく解説しました。
料理を文化の一部としてとらえる考え方がいまや定着しましたが、とりわけフランスにおいて、料理は特別な存在です。
フランス語にいかに多くの料理用語があるかを知るだけでも、それが特異な、秀でた存在であることがわかります。
中世に遡って美食の歴史を知り、各地方の民族性や特性、特産物、名物料理を知り、古くから多くの人に変わらず愛され続けている料理の数々を知ることにより、フランス料理を理解していただきたい----そんな思いを込めた本です。