東京・京橋「イデミ スギノ」は1度は行ってみたいお店のひとつ。オーナーシェフ杉野英実氏のお菓子は、巧みな素材の組み合わせ方、繊細な味わいで絶大な定評があります。
そのセンスを生かした家庭でつくれるデザートやお菓子を紹介したのが、この本です。「リンゴ、洋ナシ、柿」、「野菜と豆」、「エキゾチック」など、素材やテーマ別に50品余りを美しい写真とともに掲載しています。
本を開くと、バルサミコ酢でトマトの旨みを引き出した「トマトのタルトレット、セロリのシャーベット添え」や、ヘビ形の楽しい「マカロン・フリュイ・ルージュ」、そして混ぜるだけでできる「トマトとフルーツのガスパッチョ」などが目を引きます。とってもおいしいデザート本です。
既刊「素材より素材らしく」に引き続き、越田悟全氏が写真を撮影しました。杉野シェフのお菓子のよさを熟知しているだけあって、今回も本当に美しくおいしいところをはぎとるように見せてくれています。
もちろん、お菓子によってプロセス写真ものせて、よりつくりやすくするための工夫もしました。デザイナーの中村善郎氏はヨーロッパで主宰されるグルマン・クック・ブックのデザイン賞も受賞した人で、モダンなデザインで知られています。表紙には杉野シェフのお菓子の特徴を反映した、シックなチョコレートとアボカドのデザートを採用しました。
1 プロセス写真は、どこまで混ぜるか、どこで次の材料を入れるかなどがわかるように「状態」が目でわかる写真を採用しました。
2 この本は、英語を併記しています。それは著者が最近ではヨーロッパやアメリカでも注目されているからです。あちらではグラムではなくてカップなどで材料を計ったりするので、材料欄は英語のほうも見るとラクかもしれません。ただし、カップはアメリカ仕様の250ccサイズなのでご注意ください。
2 撮影時に試食したキンカンのコンポートが気に入って、何度もつくっています。これは生地に混ぜ込むパーツとしてのせているものですが、これだけでもおいしいのです。ほかに各種のシロップ煮や添えものとしてつくるアイスクリームなど、単品でも使えるおいしいパーツを62頁から10頁にわたって紹介しています。こちらも使えます。