おいしいエスプレッソをいれたいと願うのなら、バリスタになりたいと思うのなら、この本をお読みください。バリスタとは、エスプレッソをいれるプロフェッショナルのこと。著者はコーヒーの生豆からこだわり、それがエスプレッソマシンを通して液体に変化するまでのすべての工程に心身を捧げて日々取り組んでいる若き職人です。その彼が、豆の煎り方・ブレンドのポイント、豆の挽き方、エスプレッソマシンの選び方と設定、抽出のコツ、牛乳のスチーム方法など、エスプレッソをいれるために必要な全技術を自身の体験をもとに詳しく語ります。エスプレッソを使った50種類ものアレンジドリンクのレシピも、あなたのエスプレッソ観を広げることでしょう。
性能のよいマシンさえあれば、おいしいエスプレッソがいれられると思っていませんか?
とかくマシンまかせになりがちなエスプレッソですが、バリスタが自らの手で行う細かい作業や調節なしに、レベルの高いおいしさは生まれません。たとえば本書では、挽いたコーヒーの粉をタンパーと呼ばれる器具に詰める工程を、器具の説明も含めて20点のカラー写真を使って詳しく解説し、文章ではその作業が味にどう影響を及ぼすのかを明らかにします。またアレンジドリンクの章では、すべてのドリンクについて作り方のカラー工程写真を掲載していますので、だれにも理解しやすいものになっています。エスプレッソの上にミルクで絵を描くデザインカプチーノも、本書さえあればもうお手のものです。
第1章は、エスプレッソの基本技術の解説です。コーヒー豆の挽き方、タンピング、エスプレッソマシンの設定、抽出の手順や失敗例、抽出後のマシンの手入れの仕方、牛乳のスチームの方法、スチームドミルクの使い方、エスプレッソに適した豆のローストやブレンドなどについて、カラー写真を多用してていねいに説明します。
第2章は、エスプレッソを使った50種類のアレンジドリンクのレシピ。エスプレッソ・ドッピオ、エスプレッソ・マッキャート、カフェラテといったスタンダードメニューから、さまざまなモチーフのデザインカプチーノ、著者のオリジナルレシピまで幅広いラインナップ。すべてのレシピが作り方のカラー工程写真付きで、目でみてわかる使いやすさです。
第3章は、著者がカフェを開業し、バリスタの世界大会に挑戦するまでのエッセイ。カフェ開業を目指す人は必読です。
店の周囲には民家などないし、電車の駅もはるかに遠い。前には山がせまり、背後には湖のように静かな川。こんなところでエスプレッソカフェをやってお客が来るのかしら・・・と思いきや、どこからともなくお客が車でやってくる。
店主(著者)の門脇氏のいれるエスプレッソは文句なしのおいしさだし、店のつくりも秀逸。近所にこんな店があったらなぁとひたすら彼の地をうらやむばかり。彼は日本のコーヒー界における輝ける新世代であり、彼の店は人の少ない土地における希有な成功例だと言えましょう。本を通じて彼の世界に興味を持ったなら、ぜひ味を確かめ、店を見るために、安来に足をお運びください。