オードヴルにとって大切なのは、ちょっとしたインパクト。それは色の美しさ、そして形や盛りつけのおもしろさかもしれないし、あるいは素材のもつ旨みの引き出し方や意外なテクスチャーかもしれません。
高級な素材や珍しい素材で驚かせるのは簡単ですが、本書はあくまでも身近な素材にこだわりました。それだけにアイデアが重要。メインの料理と同じように、あるいはそれ以上に創意と工夫が必要だといえるでしょう。そんな、キラリと光るオードヴルのアイデアが満載の本書。おいしくてお酒に合うのはもちろん、楽しくて、意外性もたっぷりです。
料理はすべてカラー掲載。どれもシンプルな白系の器に盛って撮影していますので、色彩や形状がはっきりとわかります。オードヴルにとって形や色の美しさ、あるいは盛りつけがいかに大切かがよくわかるでしょう。
たとえば裏漉したジャガイモに牛乳やオリーブ油、エビ、サーモンなどの具を混ぜて作るマッシュポテトはおいしいものですが、そのまま提供してもおもしろみはありません。著者はこれを揚げた薄切りジャガイモでサンドして、縦に重ねて盛りつけます。小さな塔のようで楽しく、また、ジャガイモをつまんで食べられるよう、食べやすさにも配慮した盛りつけです。
素材別、料理別の2部構成になっています。素材別編では野菜、魚介、肉、卵など各素材ごとに、そして料理別編ではスープ、カナッペ、ピンチョス、ピザ生地包み焼き、アイスクリームなど料理のスタイル別に料理を紹介しています。
ひとつの技法を別の素材で表現したバリエーションも多く、技術的にも比較的簡単なものが中心ですので、レストランはもちろん、カフェやバー、バールなど幅広くご利用いただけます。また、酒販店でアルコールを売り出す際や、ちょっとしたパーティのときなどにも参考になるでしょう。
巻末には、さまざなま料理に添えたりかけたりして使えるソースや塩類を、まとめて掲載しています。
また、宇都宮だからというわけでもありませんが、餃子にも挑戦しています。餃子といっても中身は意外性たっぷり。たとえば鶏レバーと栗だったり、イカとご飯と水菜だったり、あるいは鴨肉とパイナップルの組み合わせだったり。ジャンルにこだわらない著者らしい料理が魅力です。