辻調理師専門学校の『プロのためのわかりやすい』シリーズは、これまで製パン・中国料理・日本料理・フランス料理・フランス菓子を揃えていましたが、今回、このシリーズに新たに加えられたのはイタリア料理の技術・技法書。
いまや“和・洋・中華・伊”と言われるほどイタリア料理は、日本人の生活の中に定着しています。
イタリア料理は基本的に家庭の味であり、おふくろの味。ということは、ごく基本的なことが、料理をつくる上でポイントになります。
教材でもあるので、イタリア料理の基礎・基本に忠実に学ぶところが、本書の持ち味です。
基本形は、見開き2頁で料理とプロセスポイントを見せます。
“わかりやすさ”が売りもののシリーズなので、一目瞭然の写真を多用して臨場感、シズル感を訴求しています。
随所に挿入した処理もののプロセスも、比較的大判の写真で理解しやすく、また、巻末に付帯した『イタリアの食材』も、カラー写真の載ったミニ百科事典の趣。
パラパラと頁をめくるだけでも、料理・食材図典としての美しさが感じられるはず。技術書だけど美しさも兼ね備えた“おいしい”本です。
全体の構成は、出し汁、ソースの基本からはじまり、アンティパスト、プリモピアット(スープ/パスタ乾燥・手打ち/米料理)、セコンドピアット(魚介料理/肉料理)、野菜料理、ドルチェ、そしてパンとピッツァ。順を追って見ていくとイタリア料理の全貌が理解できます。
巻末にはイタリアの食材、調理器具も網羅。索引も五十音順の総索引、食材別料理索引、素材の処理、イタリアの食材と調理器具の4篇構成で充実させています。
料理の歴史的背景などを織り交ぜ、特徴を伝え、材料表、下準備、作り方の流れに沿っていけば、その料理の全体像が把握できる仕組みです。