板前割烹店の走りとも言われる「たん熊北店」の主人、栗栖正博氏が、基本を重んじながら日々の営業の中で築き上げ、継承してきた仕事の数々を完全公開。
なぜそうするのか、どうしたらよりおいしく、美しく仕上がるのか。その考え方とポイントを写真入りで丁寧に解説します。
これほど細かく、包み隠さず自店の仕事をオープンにした技術書は他にありません。235品の定番&オリジナル料理は献立作成のヒントとなることまちがいなし。
さらに、追い廻しから始まり、油場、焼き場、八寸場、煮方、向板と年数をかけて学んでいく日本料理の仕事を、そのセクション別に整理した試みも画期的。
割烹店主必見、料理人必読の、日本料理の技術書の決定版です。
奇をてらわず、まっすぐにおいしさを追求した端正な料理、それでいてふくよかで“華”のある料理──前半の料理編では、そんなたん熊北店の料理235品が献立項目別にずらっと並びます。料理写真にはすべて器名も併記してあり、器を見る楽しさを存分に味わえるのも大きな魅力。
変わって後半の技法編では、焼き場、煮方といった厨房のセクション別に基本的な仕事をキーワードの技法として取り上げ、写真入りで手順を詳説しています。プロセス写真の番号は解説文の番号と対応させ、ひと目で何をしているところかがわかるよう配慮。またポイントとなる写真はズームアップし、イラストもまじえることで、よりわかりやすい誌面構成になっています。
【料理編】
酒肴、和えもの、八寸、造り、椀、鍋、珍味、おしのぎ、箸休め、
焼きもの、焚合せ、酢のもの、油もの、蒸しもの・温もの、強肴、
麺・ご飯・汁、甘味、弁当・折詰(おせち含む)計235品の料理とその作り方。
【技法編】
[1] 厨房のセクション分け
[2] 修業のステップ
[3] 追い廻しの仕事
[4] 八寸場の仕事 (車海老つや煮、ちまき寿し 他)
[5] 酢のもの・水もの場の仕事 (竜皮巻き、葛切り 他)
[6] 油場の仕事 (皮はぎ骨煎餅、鴨ロース 他)
[7] 焼き場の仕事 (鮎塩焼き、ぐじ焼き、鰻八幡巻き 他)
[8] 煮方の仕事 (鯛かぶら、どじょう柳川、筍土佐煮 他)
[9] 向板の仕事 (鯛活け盛り、鱧落とし 他)。
( ) 内はキーワードの技法、計114項目。
本書では、たんに作り方の手順を追うのではなく、普通なら見過ごしたり省略したりするような細かなポイントまで拾い上げて、解説を加えています。そうした丁寧な仕事の中にこそ、おいしさを極めるプロの技が隠されているものだからです。
また本書では、厨房のセクション別に仕事を整理し、それぞれの持ち場で修得すべき技術や果たすべき役割について述べていますが、その視点が教科書通りの一般的なものではなく、店としての実践を踏まえたものであるところに大きな意味があります。
修業の段階に応じて参考にし、現場で活用していただける1冊です。