外食慣れしたお客様が増え、さまざまな情報があふれる時代になり、デザートの重要性はますます高まっています。世の中はまた、スイーツブーム、パティシエブームでもあり、目と舌の肥えたお客たちを満足させるには、これまで以上の努力が必要といえるでしょう。お客様の好みは実に多様。彼らの要望に応えるためには、デザートにもある程度のバリエーションが必要です。しかしながら、あまり高度な技術を必要とするものや、高級素材にたよるデザートは、提供できる場が限られます。
そこで本書では、できるだけ身近な素材を使ったシンプルなデザートを中心に、238品をご紹介しています。大切なのはアイデアとセンス。ぜひご参考にしてください。
デザートは、料理以上に見た目が大切です。食事をしめくくる一皿には、華やかさや美しさ、あるいは「これは何?」と思わせる意外性が重要です。本書のデザートの写真は、その“見た目”の魅力を余すところなく伝えています。
表紙カバーはきれいなピンク色。デザイン的にあしらわれた英文字が流れるように美しく、どこかお菓子のパッケージのようでもあります。弊社の「ニューサラダブック」をお持ちの方は、あのグリーンがピンクに変わったものをイメージしていただければいいでしょう。
本書のデザートは、主素材ごとに構成されています。大きくは、フルーツを使ったものとそれ以外のものに分かれ、その中でそれぞれの素材ごとにまとめられています。
フルーツ編はベリー、柑橘、リンゴ、ナシ、モモ、柿など。それ以外の素材編はトマト、サツマ芋・紫芋、豆類、乳製品、チョコレート,etc.といった具合。お作りいただいたのはフランス料理5店、イタリア料理4店、日本料理4店、中国料理2店、ベトナム料理1店の計16店のシェフたちです。
◎フランス料理 : シェ・ウラノ、ヴレ・ド・ヴレ・シェ・ヒロ、レストラン・キノシタ、サレ・ポワブレ、レストラン・ミラヴィル
◎イタリア料理 : パッソ・ア・パッソ、イル・リストランテ・ネッラ・ペルゴラ、リストランテ・ダ・ディーノ、リストランテ・ホンダ
◎日本料理 : 小十、こだま、光仙、たか田八祥、彩菜、スーツァンレストラン陳
◎ベトナム料理 : キッチン
たとえば同じミカンでも、ペルゴラ(イタリアン)の斎藤氏は、マスカルポーネとともにスフレに。光仙(日本料理)の仙場氏は温かいみかん餅に。彩菜(中国料理)の大宜味氏は白玉とともに甘酒入りの温かいシロップ仕立てになど、でき上がったデザートはまったく違う顔をしています。異なるジャンルデザートにこそ、新しいデザートのアイデアやヒントがあるのかもしれません。