小さく切った肉を串に刺して、焼く。やきとりとは、非常にシンプルな料理です。
しかし、シンプルなだけに、肉の切り分け方、串の打ち方、炭火の扱い方、その全てに焼き手の個性と技術がはっきりと表れるジャンルでもあります。
本書では、老舗の名店から、実力派の若手まで全11店の大繁盛やきとり店の串、全200本以上を一挙公開。
さらに、丸鶏の解体や、ねぎまやレバーといった基本串10数種の切り分け、串打ち、焼きの技術を、詳細なプロセス写真付きで解説しました。
あるとうれしいおつまみや、しめご飯、スープのレシピ、わかりやすい地鶏や炭についての知識までも! やきとりに関する全てがつまった、盛りだくさんな一冊です。
旨いやきとりを焼くために必要な技術とは、大まかに言うと、肉のさばき、串打ち、焼きの三つです。それぞれに店主の個性や工夫が表れ、その三つが組み合わさって、他のどこにもない、その店ならではの串が生まれるのです。
そこで、全ての串の、生の状態と、焼きたての状態の2種類の写真を掲載。さばき方や串打ちは、生の写真を、焼き上がりの火入れは、焼きの写真を見ることで、より、それぞれの串にほどこされた技術が感じられるようになっています。
やきとりをおいしくするのは、焼き手の技術と感性。写真をじっくり眺めるうちに、その焼き手がどのようなやきとりを目指して、日々研鑽を積んでいるかが見えてくるはずです。
本書の核となるのは、11店の串、全200本以上を掲載したやきとり図鑑ページ。それぞれの串への理解がより深まるよう、生と焼きの2種の写真、重量や銘柄といったデータ、その串の特徴を詳説した文章を添えました。
また、おいしいやきとりに欠かせないのが、炭。上手に扱えるようになるためには、まず炭を知らなければなりません。本書では、備長炭の産地や製造法、炭火でものを焼くメカニズムなどを図版や写真を用いてわかりやすくまとめました。
そして、やきとりを提供する以上、知っておきたいブロイラー、銘柄鶏、地鶏についての知識も、詳説。
さらには、ひと工夫が光るおつまみレシピ、しめにうれしいスープやご飯もののレシピも併緑しました。
経験と技術、感性が、ものを言うため、伝授の難しい分野であるのは、間違いありません。本書は、その極めて奥の深い「やきとり」というジャンルの入口を指し示すものでしかないかもしれません。しかし、これだけさまざまな個性を持つ、優れた技術の焼き手たちの仕事を、これだけ詳細に鮮明に、そして一度に見る機会はめったにありません。
本書が、読者の皆さまの感性を磨く一助になることを願っています。