フランス料理のベテラン3シェフによる野菜料理集。
塩ゆでにする、バターで炒める、ヴィネグレットで和える、ピュレにする、蒸し煮にするなど、当たり前の調理法の中にも、野菜のおいしさを徹底して生かすためのプロのコツが詰まっています。
本書ではそうした細かいテクニックまで丁寧に拾い上げ、詳細な解説付きで、伝統料理やオリジナリティあふれる一品料理を多数紹介。主役としての野菜、脇役としての野菜、味のベースとなる野菜といったさまざまな切り口で野菜のフランス料理を掘り下げていきます。
アミューズ、スープ、アントレ、ガルニテュール、サラダ、デザートなど計160品から浮き彫りになる三者三様の野菜使い、その発想とワザは見ごたえ十分。
カラーの料理写真のすぐあとにモノクロの解説ページを設けた見やすい構成。料理写真にはそれぞれ簡単な解説を付記。細かい手順を読む前に、料理の特徴や工夫した点、おいしさのポイントやシェフが表現したいことなどが、まずはカラーページでおおまかに把握できるようになっています。写真ではわからないちょっとした隠し味や下処理の1つの工程が、おいしさを決めるキーポイントになっている場合もあります。そうした料理のエッセンスをつかんでから詳しいつくり方の解説に入っていくと、さらに理解が深まります。
また終章では、野菜のおいしさを引き出すための基本的なテクニックを20項目ピックアップし、野菜の状態がわかるようなカラー写真入りで詳しく解説をしています。
本書は大きく4つに分かれています。
はじめの3つは、3名のシェフごとにまとめた料理と料理解説のページ。それぞれの冒頭に、各シェフの野菜に対する想いや、野菜料理についての考え方などが述べられています。
4つ目は「野菜のおいしさを引き出すテクニック20」。タマネギをスュエする、キノコをポワレする、トマト・コンフィ、ジャガイモのピュレ、野菜のスープ、野菜のフリカッセ、野菜のエトゥフェ(蒸し焼き)など、本書で登場する基本的な調理技法や料理のつくり方を20テーマ取り上げ、詳細なプロセス写真入りでわかりやすく解説しています。いずれも基礎の基礎として身につけておきたいテーマです。巻末には野菜別の料理索引付き。
フランス料理の基本にのっとりながら、それぞれの個性が十二分に発揮された160品の料理からは、実に多くのことが読み取れます。三者の違いに着目するだけでも発想のヒントになり、自分自身のひきだしを増やすことにつながるでしょう。
1冊で3冊分の収穫が得られるはずです。いくつかの視点からアプローチすることで初めて見えてくるものが必ず、あると思います。