懐石(=懐石料理)って何? という根本的な疑問に、簡潔に応えるところから本書は始まります。懐石とは本来、茶事(茶を楽しむための催し)の中で供される料理のことをいいます。
本書では、懐石の基本構成はどういうものか、どのような順序で進められるのかといった概要をひと通り解説したあと、懐石では定評のある京都『瓢亭』の1年12カ月の献立をたっぷりとご覧いただけます。
月ごとの冒頭には、軸と花の床かざりの写真と、それぞれの季節にふさわしい歳時記の話が盛り込まれており、これも本書の見どころの一つ。正式な懐石の献立のあとには、より気軽に楽しめる点心の献立も紹介しています。
そして最後に、懐石特有の約束事や作法について、順を追ってわかりやすく詳説。
懐石に初めて取り組む人にも、さらに知識やレパートリーを広げたいと思っている人にも役立つ内容が盛りだくさん。懐石を識るために、必ず手元においておきたい1冊です。
端正な中にも華のある料理、楚々として品のある茶花、美術館級の器や花器の数々。伝統に根付いた一流のものは、時を経ても色あせず、飽きることがありません。
本書はカラーページをめくっているだけでも圧巻、見ごたえのある1冊です。これだけの料理や器、床かざりを一堂に集めた本はそうそうありません。
加えて、懐石の何たるかを、その定義づけから進行の仕方、料理の内容、約束事や作法まで、全方位的に理解できる内容となっています。
まずその全体像と流儀(表千家流か裏千家流か)を把握できるよう、冒頭に献立書を掲げました。そして、提供の順序に従って料理を掲載。毎月、ほぼ同じ位置に、膳出し、煮もの椀、八寸などの各料理がくるようにレイアウトされています(たとえば1ページ目に「膳出し」、2ページ目の上段に「煮もの椀」、4ページ目の上段に「八寸」など)。
懐石に取り組むにあたって大事なポイントだけをピックアップし、イラストを多用して、面倒だと思われがちな内容をできるだけとっつきやすく、簡潔にまとめました。
懐石料理の本には、約束事や作法のことがほとんど書かれていないと思っていませんか? 流儀別の本が多く、それらの違いを相対的に理解することが難しいと思っていませんか?
本書では、各流儀に対応することが求められる料理店の視点に立ち、約束事や作法について大事なポイントを抜き出して解説、流儀別の違いについても可能な限り突っ込んでわかりやすくまとめてあります。
●茶道愛好家の方へ
茶道関係の本には、懐石のことがあまり詳しく書かれていないと思っていませんか?
本書では、懐石だけに絞り込んで、料理、道具や器、約束事、作法などを徹底してわかりやすく解説していますので、懐石のことに関しては、必要なことがほぼ網羅されています。
●すべての方へ
本格的な懐石料理の本は料理の事例が限られていて、満足できないと思っていませんか?
本書では、1年12カ月の懐石と点心、さらに各季節ごとにもう一品と、豊富な事例を紹介していますので、年間を通しての献立作成に役立ちます。
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