「酒の肴」とは、お酒がおいしく飲める料理のこと。
酒の肴の本は数多くありますが、本書の特徴は、著者が料理屋の主人であることです。「ミシュランガイド東京」で堂々の三つ星に輝いた「神楽坂 石かわ」の石川秀樹氏。同じく二つ星の「料理屋 こだま」の小玉勉氏。大阪の人気店「kamoshiya Kusumoto」の楠本則幸氏。
実力派の3人が作る酒の肴を、旬の素材を楽しむ四季の酒肴と、通年提供できる便利な酒肴に分けて掲載。計297品の料理を、すべてカラーでご紹介しています。
どの料理も個性あふれる3人ならではのセンスとアイデアに富み、今すぐ作りたくなるものばかり。料理屋ならではの盛付けや器使いもぜひご参考にしてください。
四季の酒肴は素材ごとにまとめてご紹介しています。
「春/野菜・豆・山菜」「春/魚介」「夏/野菜・豆」「夏/魚介・肉」など。それぞれの季節の旬の素材を使った、季節感あふれる酒肴が楽しめます。
例えば春なら筍や山菜、新じゃが、春キャベツ、鯛、桜海老、ホタルイカなど、秋ならきのこや柿、さんま、かつお、子持ち鮎など。
通年使える酒肴のほうは、「とりあえずの一品」「野菜を使って」「魚介を使って」「肉を使って」「米を使って」「麺を使って」の6つに分けて掲載。合わせるお酒や場面に合わせていつでもお使いいただけます。
表紙カバーは乳白色の地に大きくタイトルを配したデザイン。
料理写真を使ったデザインが多い料理書の中では、かなり目立ちます。中は写真ページの次の見開きにレシピページを設けた、使いやすい構成です。
料理はもちろん、器の美しさも料理屋ならではといえるでしょう。著者の3人はみな器の大切さを心得ている方ばかり。器も料理の味の一部(楠本さん)というように、器使いや盛付けにそれぞれのこだわりが表れています。
市販の加工品や調味料の上手な利用法、自家製加工品の作り方、身近な素材を組み合わせて作る新しい味など、プロにとってはもちろん、ご家庭でも役立つアイデアが満載です。
たとえば小玉さんにお作りいただいた「湯葉の手巻き寿司」。寿司飯の替わりに裏漉したじゃが芋を使い、具は市販の柴漬けを利用しています。酢飯風のじゃが芋のやさしい味に柴漬けのアクセントがきいて、とてもおいしものでした。
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