ピッツァは、本場イタリアでは“大衆食”のひとつ。日本でもハンバーグやスパゲッティと肩を並べる洋食の定番です。にもかかわらず、いつだって食べ手の心を躍らせる、ピッツァはそんな不思議なパワーを秘めています。
そうしたピッツァを生み出す職人を、イタリアでは“ピッツァイオーロ”と呼びます。くるくると生地を広げて、トッピングをし、あっという間に焼き上げる職人の技。客席からも垣間見えるその姿は、立派なエンタテインメントといえるでしょう。
本書では、人気ピッツェリアとベーカリー計11店にご登場いただき、ピッツァのつくり方と72品のメニューを紹介していただきました。プロによる、プロのための、わくわくしたい、させたいあなたにぴったりの一冊です。
本書では定番メニュー“マルゲリータ”を例に、以下の3タイプのピッツァづくりを、生地の仕込み方から、トッピング、焼き方まで詳しく紹介します。
(※ 材料の分量は、実際に店で仕込んでいる量。まとめて仕込むことが前提の材料で枚数分表示ができないものは、「仕込みやすい分量」と表記しました)
◎ナポリタイプ:ぷっくり膨れた縁が特徴。表面はさくっ、中はもちっとした食感。
◎ローマタイプ:生地を均一に薄くのばした一枚。歯ざわりはパリッとクリスピー。
◎ベーカリータイプ:フォカッチャ生地をベースにした、パンのようにふかふかの一枚。
しかし、本書は“基本”だけにはとどまりません。「手ごねにこだわりたい!!」「薪窯ではなくガス窯で焼きたい!!」といった声にも応えるつくり方のバリエーション、また創意工夫に満ちたメニュー集も見どころです。
ピッツァづくりは職人技です。
本書前半で紹介するつくり方では、そうした職人のテクニックが初心者でもスムーズに再現できるよう、プロセス写真を豊富に盛り込み、具体的かつ詳細に解説します。一方、後半のメニュー集では、シズル感たっぷりの写真を大胆に配置。レストランでピッツァが目の前に運ばれてきたときの高揚感、本書でもそれを感じていただけるはずです。
また、メニュー写真にはトッピングに使う食材の写真を添えています。中には、これがピッツァに合うの? と目を丸くしてしまいそうな食材も。はっとしたその瞬間から、ピッツァの魅力にとり付かれること間違いなしです。
つくり方にしても、「イタリアの伝統技法を遵守」という考え方があれば、「国産の小麦にこだわる」「日本人の好みに合わせた味を追求する」といった意見などさまざまです。哲学や技法は十人十色。そうした自由度の高さが、つくり手と食べ手、双方におけるピッツァの魅力の根幹になっていると考えています。
そこで本書では、型にとらわれず、あえて多彩なピッツァづくりの手法にスポットを当て、いっそう盛り上がりつつあるリアルな日本のピッツァ文化を収載しました。
*編集部だよりは、こちら