ビストロやブラッスリーなど気軽な店が増え、ベーシックなフランス料理が見直されている昨今。パテ・ド・カンパーニュやリエットをはじめ、ブーダン・ノワール(豚の血のソーセージ)、アンドゥイエット(豚の腸にきざんだ内臓を詰めたもの)といったシャルキュトリー(食肉加工品)を自家製する人も増えています。
著者であり、豚肉使いのスペシャリストとして知られる「ローブリュー」の櫻井信一郎氏は、フランス修業時代にシャルキュトリーの魅力に開眼。普段から数多くを自家製しています。
本書では「レストランの厨房で作る」をテーマに23のシャルキュトリーをプロセス写真で解説。これらを使った料理も併載しました。
「ローブリュー」の櫻井信一郎シェフといえば、豚肉を使ったフランス料理のスペシャリスト。背肉のグリエなどのいわゆる“正肉”のメニュー以外に、ブーダン・ア・ラ・カンパーニュ(バスク風血のソーセージ)、アンドゥイエット、そして生ハムといったシャルキュトリーも普段から自家製しています。フランスの日常食に魅力を感じ、フランス・バスク地方のシャルキュトリー店での修業経験もある櫻井シェフ。帰国後、その時の経験と本などを参考に、試行錯誤をしながら「レストランでの本格的なシャルキュトリー作り」を追求してきました。その結果、生ハムのような専門的なアイテムを自家製するまでになり、フランス人のお客もうならせています。
本書では、「レストラン」という設備的にも環境的にも限られた中で本格的なシャルキュトリーを作り続けるシェフに、料理人に向けたシャルキュトリーの作り方を教えてもらいました。
掲載したシャルキュトリーは23アイテム。リエットやパテ・ド・カンパーニュ、フロマージュ・ド・テートなど、広くレストランで作られているものをはじめ、基本的なソーセージ用のファルス(シュー・ファルシにも使えます)、豚の血を使ったブーダン類、ベーコンやプティ・サレ、豚足やすね肉を使ったもの、そして「ローブリュー」のスペシャリテである生ハムまで幅広く紹介します。すべて細かなプロセス写真付きで、下処理から肉の挽き方、ソーセージをゆでる温度までていねいに解説。肉挽き機(ミンサー)や腸詰め機は使いますが、いずれもレストランの厨房で無理なく作れる方法です。半身の豚のさばき方、ケーシング(ソーセージの天然/人工腸)の準備、シャルキュトリー作りに使う道具なども掲載しています。
フランスではシャルキュトリーは専門の職人(シャルキュティエ)の仕事で、料理人(キュイジニエ)の仕事とは区別されています。つまり、シャルキュトリー専門店がほとんどない日本では、自分で作るしかありません。その中で、十数年かけて作り上げてきた“レストランで作るための”ルセットは必見です。
また、これらのシャルキュトリーを使った「シュークルート」や「レンズ豆とソーセージの煮込み」「ピペラード」などのビストロメニューも3章で紹介しています。併せてご覧ください。
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