チョコレート職人と菓子職人のための基本技術の書です。といっても、特別な道具がなくてもつくれるものもあります。
さまざまなボンボン、板チョコなどの基本アイテムをたっぷり紹介するほか、生菓子や焼き菓子、チョコレート飾りやピエスのレシピも満載し、チョコレートに関連することをすべて網羅しているのが特徴です。
なんといっても、確かなチョコレートの技術を持つフランス人シェフによるノウハウを満載している点が、本書の魅力です。漆にのせて撮った質感を重視した写真にもご注目ください。
基本中の基本技術はまとめて紹介しています。いずれもポイントや失敗例なども加え、わかりやすく見てわかるようにしています。
まずはボンボンのセンターに用いるガナッシュやキャラメル、ヌガーなどのつくり方。プロセス写真で詳しく解説しました。テンパリングの手法なども3パターン紹介。量が少ない場合のテンパリングの仕方もあります。また、コーティング、型どりしてケースをつくる基本の手法も懇切ていねいに写真で追って紹介しています。そして、それらのバリエーションも同様にプロセス写真入りで細かく紹介しました。
ボンボン・ショコラをていねいに紹介しました。
ボンボンには次の7種類があり、それぞれをプロセス写真つきでわかりやすく解説し、かつメニューバリエーションも紹介しています。お店でもすぐに応用できるものばかりです。
◆ボンボン・クラシック:型を用いない定番でクラシックなタイプです。トリュフ、ムスカディーヌ、マンディヤン、チュイル、枝つきブランデーチェリーなど6アイテムを紹介。
◆ボンボン・ムーレ:型を使うタイプ。パッションフルーツ、キャラメル・シトロン・ヴェールなど5アイテムを紹介。
◆ボンボン・アンロベ:テンパリングしたチョコレートでコーティングするタイプ。転写シートを使ったパヴェ・ル・コルドン・ブルー、プラスチックシートで表面に模様をつけたパレ・ヴァニーユなど8アイテムを掲載。
◆ボンボン・オリジナル:ポマード状にしたガナッシュを糖衣で包んだコンフィ、甘さ+塩味のトマト・バジリック、酸味+甘さのジンジャー・バルサミコ。とってもユニークな3アイテムで、料理の前のアミューズとしても使えそうです。
◆バー・チョコレート:バータイプ。柑橘風味と、キャラメルとアーモンド風味の2アイテムを紹介。
◆タブレット・フーレ:板チョコレートで中身は少し柔らかめのもの。ナッツ系とフルーツ系の2アイテムを紹介。
◆ブーシェ:ボンボンに似ていますが、大きめです。型でつくるものとコーティングするタイプの2アイテムが登場します。
ボンボンのほかに、ケーキやピエスに使える小さなチョコレート飾り28種類も収載。また、ピエスは「ボンボニエール(ボンボン容器)」、樹脂製レゴ型を使った「子ども用ギフト」、「ヴァレンタイン」、「パック(復活祭の卵形)」の4体をつくり、基本的なピエスのつくり方がわかるようにしました。さらにチョコレートを使った生ケーキや焼き菓子も15アイテムをプロセス入りで掲載しています。
今回は赤木明登氏の漆の板を採用。これが信じられないくらいチョコレートにマッチして、おいしそうに見えること。漆とチョコレートがこんなに合うなんて!と、びっくり。この組合せを思いついた高橋みどりさんのセンスには脱帽します。このほか内田鋼一氏の陶板もヴェリーヌだけに使うという贅沢さでした。壊したらどうしよう、というハラハラドキドキの中での撮影でしたけれど。
扉頁には「テクスチャーを見せたい」というシェフの要望にこたえて、ボンボンをつぶしたりカットしたりして撮影。シズル感ある写真ができました。このおいしそうな写真たちをアリヤマデザインストアの岩渕恵子さんがダイナミックで読みやすいレイアウトにしてくれました。
「本当に使いやすい実用書」でありながらおいしそうで美しい。担当者としていつもめざしているものが実現した書籍でした。著者も含めチームワークの賜ものです。
*編集部だよりは、こちら