弊社刊行の『お通し前菜便利集』『野菜かいせき』でおなじみの、人気の日本料理店「かいせき井中居」の料理長、田中博敏氏がつくる、プロならではの工夫とアイデアが詰まった、おいしいごはんと漬け物の本をお届けします。
炊きたての香り、つややかな色、ふっくらとした食感……。ごはんは日本人のDNAに組み込まれた、何にもかえがたい主食です。ごはんがあれば何もいらない、といったごはん好きの方も少なくありません。
私たちの食生活になくてならないごはんには、言葉では表現できない素朴なおいしさがあります。真っ白いごはんをはじめ、筍や山菜、キノコなど旬の素材を使ったごはんは、私たちに大切な季節感を思い出させてくれる何よりのご馳走です。
飲んだあとの〆のごはんやコース料理の最後に出すごはんは、お客さまの満足感を左右する大事な一品でもあります。またランチには、おいしい丼が人気です。このような場面で、ぜひお役立てください。
一口にごはんと言っても、炊き込みごはんや混ぜごはん、丼メニューや各種すし、おにぎり、雑炊やお粥、お茶漬けなど、驚くほどたくさんの種類のごはんがあります。本書では、こうしたごはんメニューに、ごはんのかわりになるめん類や餅などのメニューを加えて、合計184品を紹介します。
それぞれのごはんは、さらに使いやすく春夏秋冬に分けました。昨今のヘルシー志向に合わせて、旬の野菜をたっぷり使った具沢山ごはんです。
ごはんに欠かせない漬け物類のつくり方も充実しています。糠漬け、白菜漬け、梅干し、らっきょう漬けなどの基本的な漬け物は、わかりやすい工程写真つきで詳解しました。ぜひ挑戦してみてください。巻末には、一夜漬けや酢漬け、醤油漬け、味噌漬けなど季節の漬け物が26品、ごはんに合うおかずが9品載っています。
本書では、店内で紹介した作家の器や、築地の山口陶器店と佐賀の銘壷堂からお借りした器を使いました。料理写真のすぐ脇に器の名称を書き添えましたので、参考になさってください。料理の楽しみ方が一味ちがってくるはずです。
また秋のお茶漬け“鮭茶漬け”にもプロの技が。お茶漬けの具である塩鮭に香りのよい胡麻油を一塗りして焼くのです。熱いお茶をかけると、ぷんとこうばしい香りがたって、それはそれは食欲をそそります。
“芹ごはん”の芹のように、鮮やかな緑色を残したいときには、ごはんを蒸す前に散らすといいそうです。長時間加熱をすると色や香り、また水分が抜けて身が縮まってしまうような魚介類などを炊き込むときには、ちょっとした工夫が必要になるのです。
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