『私のインド料理』(1983年初版)、『インド スパイス料理』(91年同)『アロラさんのスパイシーベジタブル料理』(95年同)とインド料理本を出版してきたレヌ・アロラさんの集大成ともいうべき本が出ました。
既刊本に掲載されているはずせないメニューも含めて新たに撮り起こし、新しいメニューを加えてまとめています。わかりやすい構成にして、「インド料理ってこういうもの」というのが手にとるように理解できるようにしました。料理の基本技術や基本のつくり方は、プロセス写真入りでていねいにご紹介しています。同書を読めば、あなたも明日からインド人になれるかもしれません。
章立ては以下のとおりです。
全体像がわかる構成で、レシピは100品あまりを掲載しています。
1.インドのスパイスと食材
2.カレーとスープ
3.サブジ(野菜の蒸し煮)
4.おかずとスナック
5.ライタ(ヨーグルトサラダ)とサラダ
6.パンとライス
7.デザートとドリンク
<スパイスが身近になります>
「インドのスパイスと食材」の冒頭頁ではまず、インド料理における≪スパイスの使いどき、使い方≫をざっくり写真つきでお伝えしました。油に香りを移す「スタータースパイス」、材料にからめる「途中で加え混ぜるスパイス」、そして最後に加える「香りづけ」に使うスパイスなど、スタートラインはスパイス使いの流れをつかんでもらう頁です。
また、個々のスパイスは、<辛さのスパイス><とろみをつけるもの><お腹にいいもの><酸味をつけるもの>などと用途で分類。ここにはスパイスに限らず、たとえばレモン(インドではライム)やヨーグルトなどインドで食材として欠かせないスパイス以外のものも含め、その役割に分けて紹介しました。そうそう、レイアウトもカラフルでかわいいのです。
<つくりやすい料理を幅広く集めました>
料理の頁はダイナミックな写真でよだれが出そうなおいしさを表現しています。それをまずご覧ください。きっとお腹がすいてきますよ。料理はつくりやすいものを北インドから南まで地方料理も登場し、ときにスパイスをかけるだけの屋台料理も織り交ぜて紹介。さらにホテルやレストランのレシピもあり、幅広い料理をきちんと見せることができるのが、ホテルで研修したレヌ・アロラさんならではです。
<料理のつくり方をパターン化して見せます>
カレーやサブジなどそれぞれの料理の冒頭には、「基本のつくり方」をプロセス写真入りでていねいに解説しました。たとえば味噌汁がだし⇒具材を煮る⇒味噌を溶く、となるように、カレーやサブジも「それってどんなものか」がわかるように仕立てました。また、つくり方のポイントやインド料理が身近になるコラムもたくさん配しています。それを読むだけでも楽しくなると思います。
スタイリングは高橋みどりさんです。「日本人がイメージするインドってこんな感じ」を表現しています。盛りつけもあえてインドらしくダイナミックにしてもらいました(アロラさんがふつうに盛っているだけでインドらしくなるのですが)。器やバック紙もさることながら料理自体がシズル感あふれ、編集スタッフにおいしい写真を撮らせてくれたように思います。それから表紙カバーもピンクのバックで楽しいのです。持っていてうれしくなる本に仕上がったと自負しております。
ぜひ書店で手にとってご覧ください。
インド料理は油をたくさん使います。でも今回わかったのは、スパイスを材料にからめるために、ある程度の量は必要だということです。そしてもうひとつ試食して気づいたのは、油に移ったスパイスや素材の味こそがおいしい、ということでした。どのレシピも分量は5人から6人分です。油はひとりあたりにしてみると大さじ1から1.5程度で、イタリアンのパスタソースをつくるのとそう変わりはありません。油が気になる方のためにはどこで油を除くかもところどころ出ています。
撮影後の試食はどれもおいしくて、そのつど盛り上がりました。おいしいです。どうぞつくってみてください。
*編集部だより Part1 Part2 Part3