バーテンダー、およびその道を志す方のテキストとして1987年に刊行した「バーテンダーズマニュアル」。
1995年に全面改訂し、「新版」として再び世に送り出してから、さらに16年。
時代の変化にともない、バーをめぐる状況も大きく様変わりした中、
できうる限りの新しい情報を盛り込み生まれ変わったのが本書です。
特にウイスキー、ラム、テキーラ、焼酎といった酒に関する情報は最新のものに書き変えられ、
日本のウイスキー蒸留所、酒税法改訂後の焼酎について、ニューワールド・ワイン、新傾向のリキュールなども新たに加わりました。
また、カクテルの技法はエスプーマを加えて5技法に。
人気のカクテル・レシピも追加してより現状に即した内容になっています。
全体の構成は、ほぼ前書(「新版 バーテンダーズマニュアル」)を踏襲し、
酒場学、バーの商品学、バーの設備(機器)・器具、カクテルの基本技術、
カクテル・レシピ158の5つに大きく分けられ、目的に応じて必要な頁が探しやすくなっています。
酒場学の中には、酒場の文化史、バーとバーテンダー、バーテンダーの基本業務の実際といった、
これからバーテンダーを目指す方にとって必要な知識と情報がまとめられています。
バーの商品学では、酒類や副材料について詳しく紹介。
カクテルの基本技術には、カクテルの定義や語源、歴史にはじまり、カクテル調整の5技法、
デコレーション、カクテル・コンペティションについてなど、すぐに役立つ知識が網羅されています。
表紙カバーには、「バーテンダーズマニュアル」「新版バーテンダーズマニュアル」に続き、
成田一徹氏の切り絵を使わせていただきました。
「新版」の切り絵をお願いしてから、実に16年ぶりの発注でしたが、お忙しい中快く応じてくださいました。
バーテンダーが仕上げたカクテルをグラスに注ぎ、グラスのベース部分に手を添えて、お客様の前に出す瞬間。
バーのカウンターで日々行われているこのシーンを切り取った、馴染みのある風景です。
黒に近い濃紺の中に浮かび上がる白い切り絵が美しく、また、今までに無かったオレンジ色のタイトルも新鮮です。
今回の改訂により、酒類の情報も新しくなりましたので、より安心して使用していただけるものと思います。
また、掲載のカクテル・レシピも、何品かの古いものを削除し、新しいものを追加しています。
追加されたのは、例えばアブサン・カクテル、カイピリーニャ、コスモピリタン、エル・ディアブロ、
ジャック・ローズ、レオナルド、マリブ・ビーチ、メトロポリタン、プレスビテリアン、
レッド・ライオン、スレッジ・ハンマー、ターキッシュ・ハーレム・クーラーなど。
レシピ頁にはグレーの紙を使用していますので、知りたいカクテルのレシピがより見つけやすくなっています。