食事のスタートを彩るアンティパスト。
そこでシェフたちはまず、お客に自店の料理スタイルや、その季節、その日のおすすめの素材、自身の料理哲学などを印象的に伝えようと努めます。
最初にお客の関心をしっかりと惹きつけることができれば、続く料理への期待感も高まり、トータルでの充実度も大きく違ってきます。アンティパストにはそうしたお客の心をいち早くつかむためのアイデアやテクニックが詰まっています。
本書は、今、旬の実力派シェフ3名によるアンティパストの競演。モダンあり、トラディショナルあり、クリエイティブあり、三者三様のスペシャルなアンティパスト計108品を集めました。アンティパストだけに留まらず、さまざまに活用できる発想のヒント満載の1冊です。
春夏秋冬、季節ごとに計108品のアンティパストを紹介しています。
その本編とは別に、コラムのページでは3名のシェフが、
1.常備菜、2.粉ものフィンガーフード、3.小皿のコース仕立て
とそれぞれ異なるテーマを受け持ち、別の角度からアンティパストの広がりを探ります。
また、各シェフのアンティパストに対する考え方も中ページに挟み込みました。料理を見る前に読むのもよし、料理を見てから根底に流れる考え方に触れるのもよし、いずれにしても一品一品の料理に対する理解が一層深まることと思います。
巻末には素材別の索引を付けましたので、手元にある材料からいろいろなアイデアに行き着くことができるでしょう。なお、目次は人別の料理索引として使えるようになっています。
料理写真は1ページ1品のゆったりとした構成で、実際に近い盛付けの雰囲気や、食感、温度といった料理のディテールまで感じられるようなレイアウトを心がけました。
写真の下には日本語・イタリア語の料理名とごく簡単な解説を付け、ひと目で料理の概要がわかるようにしました。
レシピについてはそれぞれ次々ページに詳細を掲載、工程をいくつかに分けて見出しをつけ、わかりやすく整理しています。頻繁に使うブロードやソース、生地などについては、補足のレシピとして巻末にまとめてあります。
マダイ、アユ、ウナギ、白子、グリーンアスパラガス、ホワイトアスパラガス、カルチョフィ等々、本書では季節ごとに、同類の素材を使った料理を敢えて近くに配し、下処理から味の組立て、盛付け、演出法にいたるまで、各シェフによる違いを実感できるような構成にしています。
ある素材からは、思いもよらない発想に出会うかもしれないし、またある素材からはディテールの違いに学ぶところがあるかもしれない。読者の方の店のスタイルや料理のカラーによって、さまざまな発見があると思います。
*編集部だよりは、こちら