日本料理の「煮る」という技術に焦点をあて、基本的な各種煮物を取り上げた便利な料理集。「筍土佐煮」や「鰯月ヶ瀬煮」などといった約200種類の料理の写真を掲載し、レシピと作業のポイントをまとめました。
著者は茶懐石や精進料理でも名高い有馬温泉の高級旅館「有馬古泉閣」の総料理長を長く務めた中西彬氏。素材の色を美しく生かしつつも、しっかりと味を含んだ野菜の炊合せなど、その技術の高さには定評があります。
事典仕立てになっており、各種煮物を野菜や茸、魚、貝類、肉、乾物などのジャンル別にまとめて、96種類の食材ごとにアイウエオ順で整理しました。
また八方だしや精進だしなど基本のだしの作り方は冒頭で解説しています。煮る前に欠かせない下処理や、蒸し煮込み、二枚蓋などの特殊技術の一部についてはプロセス写真入りのコラムをつけました。
小社刊行の大人気の一冊『お通し前菜便利集』にならったレイアウトで、見開きページに最大4品の料理を掲載しています。
料理写真のすぐ下にレシピをのせ、作業のポイントや別の作り方などの耳よりな情報はわかりやすく赤丸で示しました。なお複数の煮物を彩りよく盛り合わせる「炊合せ」については、巻末に別コーナーを設け、盛り付けのポイントを解説しています。
煮物というジャンルは派手さがない反面、味のよさがものをいう日本料理の基本中の基本ですから、若い人はもちろん、料理長クラスであっても原点に立ち返って、本書を活用してください。