日本料理を世界に発信するために、日々奔走している著者、村田氏。その村田氏の想いを海外でもよりいっそう伝えるために、日本語版に続き、英語版でも刊行します。
「日本料理はサラダの宝庫」とは著者の弁。和え衣やたれ、浸け地にひと工夫加えるだけで、素材の組合せや盛付けの発想を少し柔軟にするだけで、日本料理がサラダに生まれ変わります。
本書では、日本料理の技法をベースに、それをサラダとしてブラッシュアップするアイデア、世界を知る著者ならではのグローバルなサラダをたっぷりと紹介します。真空調理、低温調理、ガストロバックやパコジェットなど、科学的裏づけに基づいた新しい調理法や機器類も駆使しつつ、野菜のおいしさの本質に多角的に迫ります。
Master chef of kaiseki haute Japanese cuisine, Yoshihiro Murata, will showcase contemporary interpretations of salads. Combining classic Japanese techniques and modern global techniques, he introduces the reader to more than 120 new dishes. Sous-vide cooking, infusion, and micro-pureeing deep-frozen food are often utilized by the chef, in order to express the freshness of ingredients, maintain natural textures, or highlight the flavors unique to each season. He composes dishes by developing umami savoriness ―― sometimes drawing out the inherent umami from the food, sometimes infusing other umami components into the food. Thus even light vegetables show tremendous flavor and presence. Japanese aesthetics in knifework also take on unique forms; vegetables cut artistically into the right sizes and shapes make salads taste better and endow them with a tranquil beauty.
春夏秋冬の章立てで、120品のサラダをカラーページで一挙に紹介しています。
各季節の冒頭扉には、盛付けの全体図がわかる全料理のフォト・インデックスを付けました。また、春は梅、夏は金魚、秋は紅葉、冬は鶴と、扉に入った図柄が日本の季節感や風情を伝えるデザインに仕立てています。
ダイナミックな料理写真の美しさを楽しんでいただくため、料理写真は前半に、料理解説は後半にまとめました。
英語版では日本語版にはなかったオリジナルのGlossary(用語集)を追加し、外国の方になじみのない素材や調理法を端的に解説しています。そして、世界で注目を浴びている二人のシェフ、ヘストン・ブルメンタール氏(ザ・ファット・ダック)とレネ・レゼピ(ノマ)による推薦文も掲載しています。
推薦文:Heston Blumenthal (The Fat Duck) / Rene Redzepi (noma)
本書のビジュアルの特徴は、ご覧いただければ一目瞭然です。とにかく、野菜や魚介などさまざまな素材の美しく斬新なカットや組合せが、紙面狭しと並んでいます。
たとえば、新玉葱を照り焼きにしてバルサミコ酢のソースをかけたものにあしらうのは、フレッシュのイチゴ。その大胆な見た目や味の組み合わせに驚きます。また、彩り豊かなゼリーが皿に浮かぶ一品は、「水のサラダ」。トマト、キュウリ、甘夏を液体にしたものをゼラチン、寒天、パールアガーという3種類の凝固剤でそれぞれ固めたもの。そして、スープだって“飲むサラダ”。
本書には真空調理したゴボウを使う「ゴボウのスープ」や、だしをきかせた「えんどう豆のスープ」など、サラダの変化形もたくさん登場します。
英語版は日本語版よりもひとまわり大きいA4判にしたことで、美しい料理写真の数々がさらにダイナミックになりました。表紙は日本語版とコントラストをなす黒を基調としたデザイン。豪華なハードカバーなので、ギフトにも最適です。
本をひらくと、まずはビジュアルの斬新さ、不思議さに驚きます。ページをめくると、おそらく過去経験したことのないプレゼンテーションや野菜の表情、素材の組合せ等々が、次々に登場します。「これ、何だろう?」。そう思ったら解説をじっくり読み進めてください。そこにはさまざまな発想やテクニックが詰め込まれています。
なんでもない「なます」に見えるものが、実はガストロバックという減圧調理法でこれまでにない歯ごたえを追求したものであったり、はたまた「焼きなす」や「若竹」といった日本の伝統料理がちょっとしたアレンジで世界仕様の一皿に仕上げられていたり…。
昔ながらの厨房と、最新のラボ(実験室)と、芸術性を極めるアトリエと、そんなあらゆる創作空間の集合体から生み出されたのが本書といえるでしょう。読者の方々の受け取り方次第で、いろいろな楽しみ方をしていただけると思います。
*編集部だよりは、こちら