肉料理ブームのなかでも、とりわけ注目を集めている「熟成肉」。
いわゆるドライエイジングといわれている手法のことで、長期間一定の環境下におくと、たんぱく質が多い赤身のアミノ酸量が増加してうま味が増すうえ、肉がやわらかくなって、格段に美味しくなるといいます。サシが入ったA5ランクの高級牛肉とは一味違う、健康的な赤身を楽しむことができると評判です。
こうした熟成肉ブームが追い風となって、最近このドライエイジングを店内で行なうレストランが増えてきました。熟成庫を設置し、仕入れた肉に合ったエイジングを施す…そのやり方は店によって千差万別です。
本書では、人気の高いレストラン6店に取材し、各店ごとに使用する肉の選択や熟成方法、熟成庫について解説。
肉のカッティングとトリミングの工程、提供している料理などをプロセス写真を用いて詳解し、「熟成肉の魅力」を追いました。なお本書では牛肉とジビエのドライエイジングを紹介しています。
まず最初に「熟成肉とは一体どういうものなのか?熟成肉を安全に食べるためには何に注意したらいいのか?」といった熟成の基本的な知識を、実際に熟成肉を加工販売しているエスフーズ株式会社の東京営業所長が解説。
本編では、店内熟成をしているレストラン6店のドライエイジング法と料理を紹介。各店ともまず熟成前と、熟成後の肉の比較。つぎに肉について。肉の選択、肉に合った熟成方法など熟成全般について話を聞きました。
そしてプロセス写真を使って熟成後の肉の準備(カッティングとトリミング)、熟成を生かす調理法を説明しています。
最後に各店で用意する肉料理、熟成肉を支える野菜料理やサイドディッシュなどもレストランの大切なメニューアイテムです。これらの料理とレシピも掲載し、その店の魅力を丸ごと感じ取ってもらうための構成にしました。
熟成肉を理解していただくために、写真を大きく使ったことが一番のポイント。
まず熟成前と熟成後の肉を比較しました。最初は肉の表面はフレッシュな色だが、長期間熟成にかけることで、黒ずみ、肉が少し縮み、脂身も薄く変質してくる。熟成方法によっては、白いカビがつく場合も。
このように、写真で熟成前の肉の質感や表面の状態と熟成後の変化を感じとることができます。このほかに取材したレストランの熟成庫、庫内の様子も大きく取り上げました。厨房内での表面のトリミング(削る)、カッティング(切り分け)から、グリラーで焼き上げるまでの調理工程とコツをプロセス写真で詳しく紹介しています。
かたい赤身肉がおどろくほどやわらかくなり、うま味もぐっと増します。そして何よりロースなどについている脂身が食べやすく変化するのが不思議。しっかり肉を噛んで、本来の味を楽しむ。こうして一度食べてみると、今までの肉のイメージが変わるにちがいありません。
ロスが多く、時間と手間はかかるものの、既存の肉料理に差別化ができる点がドライエイジングのおすすめな点。実際にドライエイジングを取り入れて、連日満席が続く繁盛レストランの事例と料理を紹介しました。
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