パスタの発祥、名称の由来、地方性、形状、食感や味の特徴、伝統的な使い方から、生地作り、成形法、ソースとの組み合わせ方、料理の仕上げまで、すべてを網羅して解説したこれまでにないパスタ全書です。
3名の著者はいずれもイタリア料理界を担う東西の実力派シェフ。それぞれイタリアの北部、中部、南部での豊富な修業経験があり、パスタについても熱い持論の持ち主です。
パスタのプロフィールをしっかりと理解した上で、そのおいしさをどう表現するかがシェフたちの腕の見せどころであり、本書のおもしろさ。
紹介するパスタは手打ち・乾麺あわせて112種。さまざまな素材やソースとのマッチングで計152皿のパスタ料理が登場します。プロの目線で知識と実践を結ぶ、料理人必携の1冊です。
第1章は「それぞれのパスタ論」と題し、生地材料(粉、卵、水など)へのこだわりや、ゆで湯の塩分濃度、アルデンテ、パスタとソースを和えるコツなど5つのテーマについて、著者の考え方が率直に披露されています。おもしろいほど3名の個性が際立ち、読み応えのあるページになりました。
第2章は「パスタ基本のテクニック」と題し、生地の作り方や成形法、保管法などについて、実際にプロセス写真を使いながら詳説しています。こちらも3者3様の特徴があらわれており、第1章、第2章を通して、各著者のパスタ作りのベースの部分が理解できるようになっています。
第3章から第8章は、手打ちパスタのロング、ショート、詰めもの、ニョッキ&粒、乾燥パスタのロング、ショートと、カテゴリー別に、152品のパスタ料理が続きます。
メインのカラーページは、パスタの写真と料理の写真をセットで展開。
まずパスタの写真で、発祥地域や形状、生地の特徴など、パスタのプロフィールを詳しく紹介しています。料理の写真では、ソースの地方性や味の組み立て方、この料理を作った著者の意図などを述べ、続くモノクロのページでは、詳細レシピに加えて、おいしさのポイントや応用例など、1歩突っ込んだコメントをできるだけたくさん掲載しました。
パスタごとに見出しを立て、事典のように引きやすく、わかりやすいレイアウトを目指しました。
たとえば、「同じ形状のパスタでも、この地方では○○と呼ばれ、別の地方では△△と呼ばれる」、あるいは「このパスタの細いものが○○で、幅広にしたものが△△である」、また、「このパスタとこのパスタは、大きな意味では同じグループとして括ることができる」というようなこと。
膨大で複雑なパスタの世界──本書を読み込むことで、少し整理しながら、理解を深めていくことができると思います。そして、それらをコンパクトにまとめたのが、「パスタ名 小辞典」と題した用語解説のページです。