秋が深まり、ジビエの季節が到来しました。
これまでヨーロッパからの輸入物が中心でしたが、近年国産ジビエも脚光を浴びています。国内での野生鳥獣による農作物被害が深刻な問題となり、この対策が推進され、捕獲された鳥獣をジビエとして有効活用しようという動きが活発になってきたからです。
肉ブームの昨今、新しい食肉として注目されているジビエを使ってみてはいかがですか?
さて、使うにあたってジビエはどこからどのように仕入れたらいいのでしょうか?
また良品を選ぶために、どんな点に注意したらいいのでしょうか? 相場価格は?どのようにさばいて、どんな料理に使う?
そんな疑問に、自ら猟師たちのもとに出向き、仕留めたジビエを見て仕入れている「ラ・ブーシェリー・ドゥ・ブッパ」の神谷英生氏が、料理人の立場からわかりやすく答えてくれます。ジビエの目利き・仕入れから料理までを網羅した、はじめてのジビエガイドです。
全4章で構成。
第1章はジビエの仕入れ知識。ジビエの仕入れにあたって、知っておきたい狩猟時期、狩猟方法、仕入れ方、適正価格、流通工程など要点をしぼって説明します。
第2章、3章は野鳥と獣の図鑑篇。料理によく使われるジビエをピックアップし、種類ごとに解説。各々写真、概論、コラムで展開しています。コラムでは当該ジビエの情報をまとめました。料理人に必要な情報(産地、猟期、肉の特徴、性別による味の違い、季節ごとの味の違い、仕入れ、おもな使用部位、熟成方法、適した料理、合うソース・コンディマン)を簡潔に解説しています。
第4章はジビエ料理篇。害獣対策として地方自治体でも注目しているジビエ料理の筆頭はシャルキュトリ。サラミとモルタデッラソーセージは詳しい製造工程を写真つきで詳解。他にパテやフランクフルトソーセージ、燻製も登場します。
その他、各種野鳥や獣の炭火焼きを中心に、クラシックなパイ包み焼き、ポトフやカスレ、カレーまで、本格的な料理からカジュアルなメニューまで幅広く紹介しています。
ジビエ本であることがひと目でわかるよう、また書店店頭でインパクトを与えたくて、表紙カバーは青首鴨のオスとメスの写真を選択しました(野鳥図鑑と間違えないでください!)。
2章、3章では、生きている野鳥や獣の姿ではなく、仕入れの目安になるよう、あえて仕入れ時の状態を写して載せています。
野鳥類、獣類は、仕入れた状態から羽を抜くなどの下処理、さばいてフィレにするまでの工程を写真で追って解説しました。
サドルや半割り、骨付きもも1本など大きな単位で仕入れる場合、メインの焼き物に使えないような、スジばった、かたい部位が残ってしまいますが、これらを利用したシャルキュトリやカスレ、ハンバーグなど、ジビエをあますところなく使い尽くすためのレシピが豊富なところも見逃せません。
ジビエはクセが強くて食べにくいからメニューにのせるのを躊躇している方もいるかもしれませんが、適切な熟成を施せば、クセのない旨みのある肉が楽しめます。こうした熟成方法についても個々に解説。熟成庫がない小さな店舗の冷蔵庫内でも手軽にできる低温熟成法も注目です。
*編集部だよりは、こちら