◎ナポリの「魂」、野菜が主役の料理
ナポリはじめ南イタリアの「食文化の土台」である野菜料理の本。
それは肉料理や魚料理の脇役ではなく、あくまで「野菜が主役」の料理。つくり方はシンプルで、美味しさのインパクトはとてつもないもの。
南イタリア庶民のグルメパワーにあふれ、世界中の人々を惹きつけてやまない料理ばかりです。
本書は、ナポリ料理のエキスパートとして知られるシェフが、ズッキーニのマリネ、ペペロナータ、青菜のソテーといった基本の伝統料理を中心に、79品を紹介。本場の料理ニュアンスと調理のポイントを、プロの視点でていねいに分析、解説します。
◎「野菜天国」ならではの素材バラエティ
ナポリといえばトマト?――いやいや、トマトが普通に使われてたかだか200年。そのはるか以前から凡百の野菜があり、人びとはそれをおいしく、バラエティ豊かに味わってきました。夏はナス、ズッキーニ、ピーマン、みずみずしい豆料理、冬はキャベツにカリフラワー…etc。
そして南イタリアのソウルフード、青菜料理!トマトはトマトで、ステレオタイプのイメージとはちょっと異なる、南イタリアならではの使い方のニュアンスがあります。
世界中でおなじみのポピュラー野菜から地方色あふれる青菜類まで、「野菜天国」ならではの1年の素材バリエーションが本書の主役。それぞれの素材の特徴から基本の使い方、レストラン料理への展開まで幅広く紹介します。
【テーマ素材の例】
ズッキーニ/ナス/ピーマンとシシトウ/トマト/フレッシュな豆/ルーコラ/レモン/カボチャ/ラディッキオとプンタレッラ/青菜(フリアリエッリ、スカローラ、黒キャベツ、チーマ・ディ・ラーパ、ブロッコリ・ディ・ナターレなど)/キャベツ/カリフラワー/ウイキョウ/アーティチョーク//乾燥豆、オリーヴ、クルミ
◎「イタリアらしい美味しさ」って何?
野菜でお腹をいっぱいにするための工夫、ひとつの素材を飽きずにおいしく食べるための工夫――それが、南イタリアの野菜料理の原点です。めったに肉は食べられなくても「今日収穫した野菜」で美食生活を堪能してきたのが、この土地の人たち。だから野菜料理のあらゆるディテールに知恵があり、美味しさとはかくあるべしというポリシーがあるのです。
1品1品はとてもシンプル。だからこそ目指すべき「おいしさの着地点」と、そこに行き着くための「調理の勘どころ」が大切になります。本書のレシピ解説を通して、イタリア料理のコンセプトが見えてくるはずです。