いまや恒常化している「バター不足」。パティスリーとしてはバターのリッチな風味や香りなしでケーキをつくることはできません。それでも現実的にバターの入手が危うくなった時、もしくは満足のいく量が入手できない時にはどうすればよいのか、本書ではこれらのリスクを少しでも回避できるヒントとなるレシピを紹介します。
バターのかわりに用いるのは「良質な植物性オイル」。太白胡麻油(ごまを生搾りした透明なごま油)、米油、ナッツ系のオイル、ココナッツオイルなど、著者おすすめの植物性オイルをうまく利用し、バターを使わない“不足感”を感じさせないケーキ40品をつくります。植物性オイル100%でつくるケーキも、バターと併用するレシピもあります。
第1章『植物性オイルを使う』では、バターを植物性オイルで代替する際のポイントや、それぞれのオイルの特徴をまとめています。これらを踏まえ、具体的にパーツやケーキを紹介する実践的な第2章『パーツから生まれるレシピ』に進みます。この章では「スポンジ生地」「シュー生地」「サブレ生地」「シフォンケーキ」「クルスティヤン」「焼き菓子」「ショコラ」の括りで展開。パティスリーのフランス菓子として自信をもって提供できるレシピを紹介します。
さらに第3章『プティ・ガトーから発想するレシピ』では、著者の店「レザネフォール」で実際に販売しているプティガトーを例にとり、試みに油脂をバターから植物性オイルに置き換えたレシピを提案しています。
本書のこだわりは、バターを植物性オイルに代替しても、「パティスリーのフランス菓子」のレベルを落とさないこと。それはケーキの完成写真のビジュアルにもみてとれます。
また、基本となるパーツに関してはなるべくプロセスカットも掲載し、植物性オイルを使う際の生地の状態をわかりやすく伝えています。
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