プティフール(petit four)は、ひと口、ふた口サイズのお菓子の総称です。クッキー、マドレーヌ、シュー、タルト……。焼き菓子も生菓子も、ギモーブやヌガーなどのコンフィズリーも、どれも小さければプティフール。
フランスではパーティーなどの宴席に欠かせない伝統的な仕事ですが、日本でも、日本人好みの食べやすいサイズとかわいい形が注目され、どんどん人気が高まっています。パティスリーにとってはギフト用に欠かせない重要アイテムであり、また、レストランではデザートのあとのミニャルディーズとして力を入れるお店が増えているプティフール。
本書では8店の実力派パティスリーに、プティフールのバリエーションと詰め合わせ例・提供例を紹介してもらい、その魅力を存分に伝えます。
とても手がかかるプティフールに力を入れる、超実力派パティスリー8店に紹介してもらったお菓子は110種。
取材店ごとにレシピを掲載しています。
ピュイサンス、アトリエうかい、シュシュクルの3店にはおもにプティフール・セック(クッキーなど焼き菓子)を。
オーボンヴュータン、オクトーブルにはプティフール・フレ(生菓子)を。
ノリエットにはプティフール・サレ(塩味のプティフール)とプティフール・フーレ(ガナッシュやコンフィチュールなどのガルニチュールをはさんだり詰めたりしたプティフール)を。
ブロンディールにはコンフィズリー(ギモーブ、キャラメル、ヌガーなどの砂糖菓子)を。
デセール ル コントワールには、テイクアウトを意識しない季節感あふれるプティフールを紹介してもらいました。
「アソートであること」
取材中、シェフたちからよく聞いた言葉です。
オーボンヴュータンの河田シェフは「プティフールは、1種類作ればいいものではない。アソルティ(assorti:取り合わせ)でなければ」と日ごろから言っています。
色とりどりのアイテムを取り揃え、そこからひとつ、ふたつと選ぶこともプティフールの楽しさ。クッキーの詰め合わせひとつとっても、サブレ、フイユタージュ、シガレット、メレンゲとそれぞれ生地が違い、バニラ味、ショコラ味、ジャムがはさんであったりナッツがまぶしてあったり、形も丸や四角、絞ってあったり……とさまざまだからこそ、ワクワクするのです。
じつはこの「アソート」は、「いろいろなものを少しずつ食べたい」という日本人にぴったりのスタイル。ギフトや取り寄せ需要が高い昨今、プティフールのセットはパティスリーとしても店の主力商品になりうる、今後さらに注目のジャンルです。
本書では、取材店のトップページに、紹介するお菓子を並べた写真を掲載しました。
形、大きさ、色など見た目のバリエーションのかわいらしさ、豊かさにも注目です。
片手でさっとつまみ、パッと口に入れられる、手も汚さないお菓子の数々は、パティスリーにとって大事な仕事のひとつでした。日本ではパーティーの需要は少ないかもしれませんが、焼き菓子の詰め合わせなどはギフト用に手堅い人気があり、店を支える大事な商品です。なにより「小さくてかわいい」プティフールは日本で受けないはずがない! おもたせ・お取り寄せ需要の高い昨今、大注目のジャンルです。取材店の豪華な顔ぶれにもご注目。ぜひ、お店の商品開発にお役立てください!