東京・南麻布の日本料理店「分とく山」のコース料理は、前半に「前菜」、後半に「組肴」という2つの献立を組み込んでいます。
これらは食べやすくつくった酒肴を5品から6品盛り合わせた八寸のような内容で、コース内の献立ではカバーできない焼物や和え物、寄せ物などを盛り込んで、食材や調理法にバラエティをもたせています。少しずつ沢山の味を楽しみたいというお客さまの要望で始めたスタイルで、その内容は毎週入れ変わります。
その膨大なレパートリーの中から1月から12月まで各月2コース分、全250余りのレシピを紹介。季節感あふれる、これまでに味わったことのなかった新しい味や食材の組合せが登場します。
1年間かけて撮影した料理を春夏秋冬で分類しました。
日本料理になくてはならない四季の自然や風物詩を料理に表現するために、これだけは知っておきたいという行事や自然、盛りつけに使う掻敷や旬の野菜と魚介を各季節の冒頭にまとめて、献立づくりに役立つ構成としました。
そのあとに月ごとに4アイテムの「前菜」と「組肴」を紹介し、盛りつけのコツやそれぞれに盛り込んだ料理のレシピを1品ずつ収録。
タレや衣や合せ調味料については、すべて配合が明記されています。
季節の変化を料理に表現するうえで役立つように、本書の料理撮影担当の小林庸浩氏が、四季折々日本各地で撮った膨大な写真のコレクションから、その季節ならではの自然風景を写した写真をお借りして冒頭に収録しました。
一つの器に複数の料理を盛り込むときには、器の形状に合うように料理一つ一つの形に変化をつけるとバランスがとれます。
盛り込みには、中心となる「台」と呼ぶ料理があり、この位置や形状によって盛りつけが決まります。こうした盛りつけのポイントを、器の形ごとにわかりやすくイラストを使って解説しています。
1例ごとに、盛り込んだ複数の料理を隣の頁に単品で掲載し、料理名のわかりにくさを解消しました。料理のレシピも次頁に写真つきで収録しています。
本書のおすすめは「分とく山」で実際に週替りで提供している新しい感覚の酒肴250品余りのつくり方と盛りつけがよくわかるところ。
野洋光氏のアイデアと思いがけない食材の組合せによる、今までに食べたことのない新しい味が収録されています。
これらの250品はもちろん酒肴として楽しむものですが、分量や盛りつけを変えるだけで、
一品料理としても、またコース内の料理としても充分使えるものばかり。1冊あれば毎日の献立の幅がぐっと広がること間違いなしです。
*編集部だよりは、こちら